男の料理・蟹将軍編:でっぴー、料理する、の巻


はぁ〜・・・



 俺達黄金の12人(一部死人)は、ようやく怒涛の女神主催クリスマス・パーティーとポセイドン主催ニューイヤーイブ・パーティーを無事にサバイバルし(その10サカナ参照)、新年を迎えることが出来たっぴ。よかった・・・

 すっかり満腹でハラが出て、新年の抱負はここんとこ毎年「ダイエット!」な俺達、青年組を食い盛りで、いくら食ってもエネルギーに変えるらしい青銅のひよっこどもは笑いやがるが、お前らもそのうち、こうなるんだっぴ!そこここで小宇宙と一緒に脂肪も燃やそうってんで、聖域じゃ一月中はやけに活気が満ちる。そいつも2月になれば、みんな飽きてしまって静かになるっぴけどね・・・ともあれ!

 胸焼け気味の時には故郷の味に限る。そこで俺様も自慢の腕をふるって、本場イタリアのパスタを作ることにしたっぴ。アフロディテ〜、程よい酸味が胸やけに効果抜群!美容と健康にもばっちりな俺様特製トマトとハーブのパスタ届けちゃうから待っててくれよー、っぴ
 おし、まずはパスタをこねる!本場イタリアの伊達男、俺様としては、パスタにも拘るものなのである。トマトは夏に完熟時に収穫して瓶詰にした、こちらも俺様自慢のトマト。うちの裏庭は日当たりがいいから、畑作るのに最適なんだわ。なんたって獅子宮のほうに向いてっからな・・・

らんらん、うーん、いい匂いっぴ・・・と振り返ったら

あじゃぱっ!!!

「お前さぁ〜、いきなり現れるのやめてくんない?心臓に悪いっぴ」
「この私の小宇宙に、今まで全く気が付かなかったのか?デスマスクよ、修行が怠っておるのではないか?少しは、この私のように常日頃から小宇宙を高める修練を重ね続けていれば・・・云々、かんぬん・・・」
いきなり他人の台所に現れて、説教たれんなよ・・・
「るっせいなぁ。俺様、今、忙しいの。茶が飲みたきゃ、勝手に冷蔵庫から・・・ん?お前・・・もしかしてこのパスタソースの匂いにつられて来たんだろ」
シャカはこっくりと頷く。こいつは、こういう時だけは妙に素直なのだ。全く、食い意地の張った乞食坊主だ・・・

「乞食坊主呼ばわりとは何だ!天誅!」
「だーっ!!!!この癇癪もちヤロー、怒りに任せて雷落とすなっ!ソースが焦げたら食えなくなるんだぞ!!」
シャカははたと思いとどまり、上空では落ちて来損なった雷がごろごろと不満そうな音を立てて、自堕落にくすぶっている。
「ったく、もう、人の心、勝手に読むなといつも言ってるだろっぴ!」
「別に読みたくて読んでいるわけではない。貴卿の心の呟きが大き過ぎて、嫌でも入ってきてしまうのだ。迷惑なのは私のほうだ」
「嫌で悪かったな。嫌なら、とっとと自分の宮に帰ってペット牛を散歩させるなり、双児宮行って風呂を沸かすなり、何かしたらどうなんだよ」
「貴卿にとやかく指図される謂れは無い」
シャカはあからさまにむっとした表情をしたが、背後に曼荼羅を浮かべる気配も無く、大人しく食卓に座っている。
「どうせソースはあと暫く煮込まないといけないんだ。そこでお座りしてても、煮込み時間が短くなるわけじゃないっぴ。ほれ、お手!」
ぽん!と手を出す。全く食べ物が目前にあると、マンモス素直っぴね。

 ご褒美にオーブンから出したばかりのガーリックブレッドを一切れやった。こいつは熱さも感じないのか、ふがふが、はぐはぐ貪り食ってる。こういう時は結構こいつもカワイイんだが・・・
「サガもいつもそう言う」
「だから俺様の考えを読むな!そいから、気色悪いからノロけんな、あほっ!」
「貴卿が羨望するは当然の理。だかあからさまな嫉妬は見苦しい」
「嫉妬なんかしてないっぴ!で、その手は何だ?」
「・・・・・・」
「おかわり」
すかさずもう一方の手が出る。ふむ・・・
「ちんちん」
両手が出た。
 こいつってば一体・・・

いや、いや!
考えない、でっぴー、考えたらいけないっぴ!!!(ぶるぶる)
コイツの事は深く考えたらいけないのだ・・・
ふん!
気を取り直して・・・

「パルメザンが切れてるんで、ちょっくら調達に行って来る。すぐ帰ってくるから、その間、焦げないように、かき混ぜるんだぜ」
シャカはこっくりとうなずいた。こうなりゃシャカも可愛いもんだ。なんか、昔うちにいた弟子を思い出しちまうぜ。あいつも俺様のパスタが好物だったなぁ・・・でっぴー、のすたるじー・・・

おっと!パルメザンを切らすなんて、マンマが聞いたら嘆きそうだっぴ。ちょっくら下の街までテレポート・・っ・・・(ぽん!)


「だーっ!!!何だ、この匂いはー!?!」
 スーパーの袋を提げて、巨蟹宮にテレポートした途端、鼻にツーんと来るカレーの匂い・・・
「この私が味を調整してやった。有難く思いたまえ」

ああーっ!!!!一瞬でもこいつを信用するなんて!!!
俺の馬鹿、バカ、ばか〜!!!!(号泣)

 鍋を覗くと、鮮やかなにして爽やかなトマトの赤は既に無く、きちゃない茶色の物体がぐつぐつと煮えている。
「ふふふ・・・素晴しくいい匂いではないかね?これぞ正に食の真髄、セブン・テイスト・・・」

ふつふつふつ・・・・


「あほー!何すんだ、こいつー!!!!でっぴー、怒りの小宇宙爆発ぅ!!!!」

ぼっかーん!!!!!




はーはー、ぜーぜー・・・



はたと気付いたら、巨蟹宮の天井が抜けて、夜空に冬の大三角が浮かんでいた。シャカの姿は既に無い。ついでに、俺様の鍋もちゃっかり無くなっている・・・ああ無常・・・・

どうやら続くらしい



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