俺様は、アフロディーテ
に頼まれた買い物の入った籠を持って12宮の最上階を目指していた。下界とは一番遠い、そしてそれゆえに、この世のものとも思えぬ清らかなアフロディーテ
にぴったりな双魚宮からは、買物へ出るのも一苦労。だから、俺様が下界に降りる度に、アフロディーテ
の買物もついでに済ませてあげるのだ。俺様ってば、やさぴー.....
獅子宮でレオの聖衣に吠え付かれ、処女宮では現世の記憶を失うと言う曼珠紗華の匂いをかがないように鼻をつまみ、12宮の中でも一番通り抜けるのがやっかいな天秤宮(普段、無人なのを良い事に皆が物置代わりに使っているので足の踏場が無いのだ)を身体をくねらせながら抜け、天蠍宮では、いつものようにコンピューター・ゲームに興じるミロとカノンの背中を通り過ぎ(懲りてないよな、こいつら)、人馬宮でサジタリウスの聖衣に嫌がらせをされ、ストレスの溜り過ぎかヘビー・スモーカーのシュラが青筋立ててる煙草臭い磨羯宮でアイオロスの幽霊に文句を言い(兄弟揃って聖衣の教育がなってないっぴ!)、いつも底冷えのする宝瓶宮に足を踏み入れた途端.....
えっ?
アフロディーテ
の小宇宙??
「あっ、ですぅ、待ってたのよぉん」
この世の全てを蕩けさす甘い声でアフロディーテ
が、至上の音楽の如く言う。俺様、もうメロメロ・・・
「久方ぶりだな、デスマスク。相変わらず暑苦しい事だ」
なんだよ、こいつ!!自分だって火が付いたような髪の毛してる癖しやがって!それにしても、なんだってアフロディーテが、このドライアイス野郎の処にいるんだろう?いくら、お隣だからって、こーんなお稚児趣味のシロクマと一緒に居るなんて何だか気に入らないっぴ(決してジェラピーじゃないからな!!)
「頼んだシャンプーとコンディショナー買ってきてくれたぁ?言った通りバラの香りのワイン・シャンプーじゃなきゃ、アフロ、怒っちゃうからぁ」
ふっ...勿論さ、アフロディーテ
俺様は君の期待を決して裏切りはしない。
いやん、俺様、つい背景に薔薇の花束を散らしてしまったっぴ....これも、君の美しさの成せる技さ、薔薇の君よ...ふふっ.....ぴ。
「ほらぁカミュウ、これぇ。このシャンプーとコンディショナー使ったら、もう髪が嬉しいっ!て叫んで、サラサラになっちゃうんだからぁ。ぜーったい今夜から、これ使うのよぉん」
え?え?え?
「いつもかたじけない」
ぬわんだってえ!!!???!!!
「いいのん。カミュの髪はバラみたいで素敵なんですもん。大事にしなくっちゃ。アフロ、美しいものは何でも好きなの。だからカミュの髪も綺麗にしていて欲しいの。いぃい?」
「これは、一度にどの位使えばいいのかな?」
「んー、あのねぇ...ちょっと開けるわよん」
「ああ --- いい香りだな」
「ねー!でしょうん?!」
アフロディーテと氷原野郎は、女子中学生みたいに、きゃきゃと騒いでいる。俺様、なんか居心地悪いっぴ.....二人とも俺の事なんか全く無視してるし.....
なんだか、でっぴー、アリンコ悲ぴー.....くっすん......