獅子宮では行儀の悪いレオの聖衣に吠え付かれ、危うく噛みつかれるところだった。
処女宮で文句の一つも言ってやろうと思ったら、乞食坊主はちゃっかり曼珠紗華畑に隠れてやがる。
天秤宮は相変わらず物置状態で足の踏み場もないし、天蠍宮ではミロとカノンがPS2でWWEトラックダウンなんてプロレスゲームに熱中してて、とばっちり小宇宙をくらいかけた。
人馬宮じゃ、毎度のごとくサジタリウスの聖衣が俺様に矢を向けて嫌がらせをする・・・兄弟そろって聖衣の躾がなってないっぴ・・・磨羯宮はタバコ臭くて咽せちまったし、無人の宝瓶宮は、宮の主が留守の間に虫が湧いたりカビが生えないように氷点下に保ってるものだから、すっかり凍えちまった。
やっと、華やかな双魚宮に辿りついたら宮の主は自慢のバラの手入れ中・・・いっそ薔薇園で果てたいが、だからといってアイツから逃れられる筈もない・・・・・・
え?アイツって誰だって?
当然憮然、なったもん勝ち結果オーライ教皇のサガっぴよ!!
「誰がなったもん勝ちだぁっ!!!!!」
あ〜あ・・・真っ黒になっちゃって・・・改心したんじゃなかったのかよ・・・(ぼそ)
俺様は今、教皇の間に呼び出されて巨蟹宮の台所の天井をぶち破ったことを、サガにぐだぐだ小言を言われている最中なのだ。シャカが俺様の宮の屋根に落雷落として穴開けてても、知らん顔の癖に・・・だいたい今度の事だって、元は全部シャカが元凶なのに・・・俺様ってば、ネロとパトラッシュみたいにかわいそう(泣)
「今回の事は、またもやそなたが一時の感情を抑えきれず激情に任せて引き起こした不祥事だ。黄金製闘士にはあらざる愚行。よって、その責任は全てそなたにある。巨蟹宮修復の補助金はゼロ。自力で補修するのだ。よいな」
こないだ俺様がお買い得物件デスクイーン島を沈めちまったこと、まだ根に持ってるっぴね・・・
「よ〜い〜な〜!?!」
あじゃぱ!背後にブラックホールが開いてるっぴ!こりゃ、マジで切れてるわ・・・・
「はいっ!わかった!わかったっぴよ!自分で全部治します」
「わかったら、さっさと帰って修理を始めぃ!!!」
「どぴい!」
双子座のあなたは巧みな話術で、いつも仲間の輪の中心。
クールな性格なのでベタベタした恋愛は苦手
どっこがクールっぴかぁ?!?そりゃ確かに、サガもカノンも口はマンモス達者だけど、サガなんていっつも、あの寝てるんだか起きてるんだか判らない乞食坊主をベタベタ贔屓しまくってるじゃんか。おかげで俺様がとばっちりを食うっぴよ --- やっぱり俺様ってば可哀相すぎ(大泣)
とぼとぼと、12宮を下る階段を下りていた俺様の耳に、ふと流れ込む美しい調べ・・・・
♪ばらは、ばらは〜、うっつくしくちるぅぅぅ〜♪
アフロディーテッ!!!!
「あらん、デスゥvvまた、きょ〜こ〜に怒られてきたのん」
そーなんっぴ!P!P!俺様、ちっとも悪くないのにぃ(TT)
「そぉんなに怒んないのっvv デスったら、そーやってすぐ怒っちゃうから、きょ〜こ〜困らせちゃうんでしょっ。ほらっ!アフロの自慢のお花あげるからっvv」
ありがとう、麗しの薔薇の君よ・・・君の微笑みと美しいバラに俺様の傷付いた心も癒され・・・
って・・・
あぎゃっ!!
ピラニアンローズじゃないかっ!?!
「あっ、ごめーん。間違っちゃったvv」
指食いちぎられるとこだった・・・・(ボーゼン)
「このコ達ったら、今一杯食べたばっかなのに、まだお腹が空いてるのかなんv食べ盛りなのねんvvお腹が空くと、ついご機嫌も斜めになっちゃうのよねん。だからデスも、オイシーものでも食べて早く機嫌直さなくっちゃvv」
ふっ・・・・アフロディーテ、俺様のことを心から気遣う君の優しさに、凍てついた心も春の小川のように流れ出してきたよ。ふっ・・・・
「そうそう、オイシーものといえば、こないだのトマトカレー!」
「トマトカレー?」
「うん、シャカが届けてくれたのん。とっても美味しかったわんvシャカがあんなにお料理上手なんて、アフロ知らなかったのんvvデスも帰り道、シャカんとに寄ってくといいわよん」
な?な?なな??
あ・・・・
アフロディーテ・・・
あの、カレーは、元はといえば俺様のトマトソースだったんだけど・・・
「サガもすっごく気に入ったみたいvアフロもシャカにお料理習っちゃおっかなvv」
あんの乞食坊主、俺様の台所から鍋を持ち出した挙句、アフロディーテを誘惑するとは・・・!!!
「ちょ・・ちょっとデス、こんなトコで小宇宙燃やさないでよお。お花畑じゃ火気厳禁なんだからね!」
あ。そうだっけ?
俺様、また怒りに任せて爆発しちゃうトコだった。でも、アフロ、君の愛の力で、俺様は怒りを克服し・・・ブスブス・・・ん?なんか焦げ臭い臭い?
「あー!!!お花が焦げてるっ!!デスっ!!あたしの可愛いお花ちゃんたちに何すんのよぉっ!デスのバカ、ばか!!」
あ・・わ・・・わ・・・・!!!
ごめんっ!アフロディーテ!!
俺様、そんな気は全く・・・
「デスマスク、私の薔薇達に狼藉を働くとは、いくら旧知の君とはいっても許せぬ・・・!かくなる上はブラディーローズをお見舞いし、貴様の血でこの火を消すまで!!」
あぎゃー!!
アフロディーテが非常事態用マッチョ・モードにっ!
「ア・・・アフロ〜!!ごめんっ!!ごめんっぴ!!ほらっ!もう火は消えてるっぴよ!!!」
「早々に立ち去れぃ!」
「はいっ!去ります!去りますっぴ!!!!」
がしがし牙を剥く黒バラに追いかけられながら、俺様は光速で階段を駆け下りた。
はーはー、ぜーぜー・・・・
「デスマスクよ・・・懲りぬ男だな。少しは俺のようにクールになれぬか」
「わ!なんだっ!お前、何時の間に帰ってたんだよ!?!」
いきなり現れたのは、この宮の主・シロクマ野郎だ。あんまり慌ててたんで、気が付かなかったっぴよ。でっぴー不覚。
「私はいち早く隣宮の危険を察知し、最果てのシベリアからテレポートしてきたのだ」
「で、その脇に抱えてるのは何だよ?今月号のプリンセス・ゴールドに「フルーツバスケット」のコミックス?そういや、さっき宅急便のネコと階段をすれ違ったな。お前、実はそれを取りに来たんじゃないっぴか」
「・・・・・それもある(赤面)」
はぁ〜
俺様はシロクマ野郎を後に、来たときよりも一層重い足取りで会談を降りていった。アフロを怒らせちゃうし(滝涙)、屋根の修理もしなきゃなんないし・・・俺様って・・・俺様って・・・
かわいそうだよー!!!!
(ダッシュ)
哀しいままに一段落
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