優勝メンバー(実質の選手)*平均得点はNCAAトーナメント全体の成績
選手名 役割 背番号 学年 平均得点 マイク・ビビー PG 10 1年 18.0 ダネル・ハリス C 13 2年 3.4 ベネット・デイビソン PF 21 3年 6.7 マイケル・ディッカーソン SF 23 3年 10.8 ジェイソン・テリー PG 31 2年 7.7 マイルズ・サイモン SG 34 3年 22.0 ユージーン・エジャーソン PF 33 1年 1.8 AJ・ブラムレット C 42 2年 8.3 現在18年連続してNCAAトーナメント出場を果たし強豪校に数えられるようになったアリゾナ大ですが、優勝は結局1度しかありません。しかもそれはレギュラー・シーズン中はたいした成績を挙げず誰も優勝するなど予想だにしなかった中での殊勲でした。
残念ながら彼らが優勝したのは私がまだアリゾナ大に注目する前だったのでその模様は見てません。ここでは様々な資料を頼りにそのときの雰囲気をできるだけ再現してみたいと思います。全米優勝を果たした96−97年のレギュラーシーズン、アリゾナ大の戦績はそれほど優れているわけではなかった。
シーズン25勝9敗、AP最終ランキング15位、PAC10順位5位。NCAAトーナメントのシードは第4だった。はっきり言ってこんなチームが優勝することは普通ではありえない。理由を敢えて探せば、おそらく、シーズンが進むに連れチームがうまく機能していったのと、お祭り男マイルズ・サイモンの気まぐれ的好調さがたまたま出たためだと思われる。何と言ってもすごいのは理論通り当たれるだけの第1シード校3校(カンザス大、ノースカロライナ大、ケンタッキー大)と対戦し、NCAA史上初そのすべてに勝ったこと。
ここで戦績を振り返って見る。トーナメントのブラケットはこちら。
対戦相手 スコア 1回戦 サウス・アラバマ大 65−57 2回戦 カレッジ・オブ・チャールストン 73−69 3回戦 カンザス大 85−82 4回戦 プロビデンス大 96−92(延長) 準決勝 ノースカロライナ大 66−58 決勝 ケンタッキー大 84−79(延長) 1回戦2回戦ともに下位ランク校に競った試合をしている。実際、後半10点差をつけられる危ない展開で必死の追い上げてのすべり込み勝ちだったらしい。まったくそんなチームが優勝するとは信じられん。
そして3回戦では同じブラケットの第1シードのカンザス大を破る大殊勲。このときのカンザス大にはピアース、ラフレンツとポラード(すげぇな、おい)がいてインサイドが堅くレギュラーシーズン31勝1敗(おいおい)で優勝候補とも言われていた。選手の中にはトーナメントの中でこの試合が一番エキサイトしたという人もいるぐらいだ。左の写真はそのときのものだったと思うけど、エジャーソン最高(笑)。そして4回戦の第10シードのクローシュア率いるプロビデンス大との対戦では延長戦にもつれこみながらも勝利を収めファイナル4進出。
ここまで少ない点差や延長戦の試合などすれすれのところを勝ち残ってきたわけでレギュラーシーズン通り圧倒的な強さを誇るチームではなかった。つまりほとんどまぐれ勝ち。こうして後から見ても運がよかったようにしか見えん。
ファイナル4での準決勝。アリゾナ州知事はこの週末を「ワイルドキャッツ週間」と命名。すべてのアリゾナ州民は試合のある日は家に帰ってアリゾナ大を応援するように指令(笑)。対戦相手はアントワン・ジェイミソン、ヴィンス・カーター率いる強豪ノースカロライナ大。前半15−4のランで11点差つけられるなどこれまで通りのアブナイ試合展開。しかしサイモンとビビーの3ポイント攻勢で結局8点差の余裕の勝利。レギュラーシーズンで一度対戦して破っていることも大きな自信となっていたのかもしれない。スタッツを見て私が印象的だったのはノースカロライナ大のSGシャモンド・ウィリアムスのシュート13本中決めたのがたった1というひどさ。彼が本来の力を出していたら負けていたかもしれない。
そして決勝。相手は前年優勝の名門ケンタッキー大。ケンタッキー大の愛称もワイルドキャッツであることからこの試合は:“ワイルドキャッツ対決”となった。このときのケンタッキー大にはロン・マーサーとスコット・パジェットがおりました。この試合は文字通り一進一退の展開だったらしく、同点回数が16回、リードチェンジが18回で過去のファイナルでも稀に見る好ゲームだった。しかも前後半40分を戦っても決着が着かずゲームは延長戦に。延長戦ではこの試合の立役者マイルズ・サイモンを中心にもらったフリースローで10点を稼ぎ(延長戦の点数はすべてフリースロー)、他方ゴールを決められないケンタッキー大に対してリードを広げ逃げ切った。優勝が決まった瞬間笑えたのは、選手たちがここぞとばかりにオルソン監督のきちんとセットされた銀髪の頭をぐちゃぐちゃにしたこと(上の写真左)。やりだしっぺはベネット・デイビソンでテレビでもしっかり放映された。
会場ではアリゾナ大OB、スティーブ・カー、ジャド・ブシュラー、ショーン・エリオットも観戦。ショーン・エリオットは試合前ロッカールームで選手たちに「懸命にプレーして、楽しめ」とのアドバイスをしたとか。試合後後輩たちの殊勲を褒め称え、オルソン監督のタイトル獲得を祝った。これで私のサイトもR指定だ!(笑)優勝が決まったその夜、ここツー村はえらい騒ぎだったらしい。アリゾナ大が学生は皆目抜き通りに出て「ナンバー1」となったことをお互い祝いあった。大学に近い道路では車がクラクションを鳴らしっぱなし。叫んで踊るのは当たり前、店を荒らしまくり、パトカーをひっくり返したり、お尻見せる男とか(いらん!)、胸を見せる女の子もたくさんいてもりあがったらしい(そこにいたかった・・・(笑)。しまいにには騒ぎを治めようとした警官に石や空き瓶を投げる始末。警察側も催涙ガスなどで暴徒と化した学生たちを鎮圧にかかった。少なくとも5人がケガをして病院に運ばれ、パトカーをひっくり返した学生だけでなく、銃を持ち歩いていたなどのどさくさ紛れの犯罪などで同じく5名が逮捕された。意外と少ない。
アリゾナ州知事なども4月1日を「ワイルドキャッツの日」と定めることを宣言(今は聞かんが)。優勝の影響はツー村だけでなくアリゾナ州全体に及んだ。
また優勝パレードではツーソン市長も優勝した日を「ワイルドキャッツ火曜日」と認定。このときのスピーチでエジャーソンとビビーが「オレたちの優勝を信じてなかったヤツらは地獄へ落ちろ」と発言したことが少し問題になったりした。優勝祝賀イベントはキャンパス内のフットボール・スタジアムを使って盛大に行われ、その日のたくさんの授業がキャンセルになったとのこと。こうして写真を見ても客席満員ですごい盛りあがりようだったのが分かる。左の写真はサイモンとビビー。
イヤーブックの写真によれば、クリントン大統領とゴア副大統領への謁見もしたみたいですが、ディッカーソン、大統領の前なのにポケットに手なんかつっこんじゃってえらそうだった。これもアメリカだからええのか。第4シードのくせに優勝してしまった97年のワイルドキャッツ。優勝候補に挙げられることなどなかったはずで見ている方からすればあれよあれよという間に勝ち進んでしまった印象だったろう。まるで優勝を盗んだかのよう。これもチームにマイルズ・サイモンという当代随一のすっとぼけ男がいたことも大きかったように思える。前回2つのファイナル4では優勝候補と言われながら優勝できず、こんな綱渡りのような試合で勝ち進んだチームが優勝とは皮肉なものである。このおかげで「アリゾナ大は評価が高いときは優勝しない」などというジンクスまで生まれてしまった。2000−01年のワイルドキャッツは大学史上最強といわれるほど評価は高いが果たして彼らはこのジンクスを破ってくれるのだろうか。乞うご期待!
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