注:これはフィクションです。 実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。 島袋を待つ藤崎はいったん外に目を向けた・・・ なにか黒いごみ袋が目に入った。 それはごみ袋でも荷物でもなかった。 一方の端に網目もようのけずりかすがついていた、そうトーンカスが! 漫画家だった。 ぴくりとも動かないその体は最近連載はじめたばかりの小栗かずまた・・・ そして、その背中には銀色に光る棒が・・・アンテナみたいに斜めに突き出ていた。 棒の先には小さな小さな45゜の刃がついていた。 トーンナイフ・・・ ヒュンと鈍い音がして、藤崎の眼前を銀色のものがかすめた 考えている余裕はなかった。 藤崎は地面からトーンナイフをつかみとり影に向かって投擲した。 とにかく相手の意表をつければと思ったのだが、 ナイフはひどく速く、美しい軌跡を描いて一直線に影に向かって飛んでいた。 この点は、かつての天才トーン貼り師、藤崎ならではだったかもしれない。 影は「うっ」とうめいて顔のあたりを押さえ、そのまま落ちてきた。 その大柄な影は一番最初に脅えた表情で出発したあの和月だった。 藤崎は、血の気の引くのを感じた。 疑いない、こいつは始まっている。 少なくとも和月ははじめたのだ! ちょうどその時、島袋が状況を見てとってはっと息を呑むのを見た。 小栗かずまた 打ち切り 戻る |