注:これはフィクションです。 実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。 河下水希は茂みの中で震えていた。 ジャンプ連載陣なんてだれも信用できない。憧れていた少年漫画の 世界だったが、こうなってはみんな敵だ。 敵――そうだ。連載陣が自分に襲いかかってくる。 たかが打ち切りにいい大人が殺しあいの大騒ぎをして。 そこまで考えて、ぞくっと冷たいものが背中を駆け抜けた。 打ち切り?あたしはもう、打ち切りなの? 水希は必死で、バッグの中から自分で描いた同人誌をとりだした。 それは、少女漫画誌に連載していたころに趣味で描いていた ホモ同人誌だった。 見つめているうちに、落ち着きが戻ってくる。 ああ――やっぱりあたし、ホモが好きなんだ。ねえ、あたしを 打ち切りから守ってね。そのためなら頑張って巨乳も描くから。 ざっと背後で音がして、水希はふりむいた。うすたが見ている! 後ろに回られていた!知らない間に! 水希は夢中で同人誌を巻き散らかしながら走って逃げた。 もういやだ。打ち切りに怯えて逃げ回るなんて。 でも、油断したらこっちがやられる!男の読者向けに可愛い 女キャラをやまほど出して、サービスカットだって嫌がらずに! うすたのように巻末に行くのはいや!死ぬのもいや! 水希は涙をぽろぽろこぼしていた。 容赦なく。萌えキャラを!打ち切り。おかあさん、おとうさん! 巨乳。パンチラ!パンチラ!容赦なく! 水希は狂いかけていた。 戻る |