注:これはフィクションです。 実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。 藤崎は島袋の方へと顔を戻した。 「ちょっと訊いてもいいか、光年。失礼な言い方に聞こえたら謝るけど」 島袋がきょとんとして「何?」と言った。 「山田のどこがよかった?」 「うまく言えないけど、山田先生の作品はすごく面白かったよ」 「面白い?」藤崎は聞き返し、それから慌てて、 「いや、面白くなかったとは言わねえけど」と付け足した。 島袋はまたちょっと笑うと、 「ギャグでもないシーンで笑えるのが面白かったよ」と言った。 それから「女王様が中途半端に萌えだったのが面白かったよ」と続けた。 「ただの劇作家のシェイクスピアを超人にしてしまう強引さが面白かったよ」 「もうちょっとというところでいまいち乗り切れない勢いが面白かったよ」 島袋がぽつりぽつり言うのを聞きながら、藤崎はどこか無闇に納得していた。 その説明は説明になっていなかったにもかかわらず、そういうことなんだ、と思えた。 お前、だから自分の作風も中途半端になるんだよ。 戻る |