注:これはフィクションです。 実在の人物、地名などとは一切関係ありません。 特に漫画家とか。 高橋和希は冨樫と初めて会った日のことを鮮明に覚えている。 和希がアニメ化が決まったその時、新連載陣を押さえ込むことに力を傾けたのにはムリはない。看板は一人でいい、それが連載を保つ方法だから。 人気のない資料庫で、最後の一人を片づけている時だった。 「わかったかよ。いいか、面白い漫画を連載するのはやめろ。」 そいつはいやいやするように首を動かした。 「返事しろよ。この雑誌で一番面白いのは、俺の漫画だ。わかったか?」 その時、後ろに気配を感じて振り返った。さえない風貌の男が三人、つまり自分と同じ職業をしているやつらだ。 「君さ」メガネをかけたヤツが言った。「サッカーは格闘技なんだぜ」 額に肉と書かれた男が続けた。「屁のつっぱりはいらんですよ」 和希が動くより早く、金色の聖衣をまとった男が光の速さで和希の足を払った。持っていた仕事道具がばらまかれた。 自分のGペンを革靴でおさえつけられた時、和希は恐怖を感じた。 ――まさか―― 革靴に力が込められ、Gペンが嫌な音を立てて折れた。 こいつら――頭がおかしい――どうかしてる―― 今度は丸ペンがセットされた。「や、やめ・・」 その時だった。資料室の扉ががらっと開き「静かにしてくれないか」という声がしたのは。 そこには背はけして大きくない、しかし十分な横幅のある男が立っていた。 あとの説明はいらないと思う。ただ、三人の漫画家がたたきのめされた。 (事実、ジャンプからいなくなったのだ。) 和希を助けた男は、和希に近づき、しばらく見てから「新しく買い直し た方がいいな」とだけ言った。そして資料室から出ていった。 和希は足元にアニメ化売れっ子作家のガモウと岡野、新人の山田の死体が転がっているのに気づいた。なぜかアニメ化売れっ子作家の一員であるはずの許斐の姿はなかった。 冨樫「俺を殺そうとしたんだよ。ガモウも・・・岡野もだから俺がやったんだ。」 和希は耳を疑った。 ガモウは特に何の能力もない、偶然アニメ化になっただけのやつだし、 それだけに冨樫には頭があがらない。 岡野はやたらエッチシーンでその場しのぎの人気をとりたがるちょっと邪道なやつだったが。 ・・・その二人が冨樫を裏切るというようなことが? だが、もう一人の死体は新人で人気取りのテクもまだ知らないかわいらしい山田和重だった。 和希自身無垢でけなげな奴だと思ったことすらある。 その山田が・・・ 冨樫「たまたまここにいたんだ、山田はにげようとした、俺はとりあえず山田を捕まえた」 冨樫「そこで俺はコインを投げたんだ。表が出たら鳥嶋と戦う・・・そして」 高橋和希「まさか・・・そんな」 信じたくはなかった。冨樫は何本もアニメ化したジャンプの看板売れっ子漫画家であり、 自分もまたアニメ化ゲーム化カード化とマルチに活躍する売れっ子漫画家だったのだから。 ぱららららららと小気味よい音がした。 冨樫「裏が出たらこのゲームに乗ると・・・」 この言葉をまっていたように和希は前のめりに倒れた。 高橋和希 岡野 剛 山田 和重 ガモウひろ椎野 打ち切り 戻る |