何で目覚めてしまったんだろう。
目覚めの瞬間の気持ちは最高に正直だった。
まるで積もったばかりの雪の上に裸のまま放り出されて、
きっとそのままでいたら身体が自然と動くのを止めてしまいそうなくらい寒くてまっさらな気持ち。
こんなに何にもなくなってしまったなんて。
早く何か身にまとわないと。
少なくとも今日は誰も温かい布をかけてくれる人はいないから、
自分で暖めないといけないんだ。
でないと雪にうずもれて身も心も凍ってしまうけど、
万年雪だったらそれもいいかもしれないな。
もしかしてそのうち雪と同じくらい白くなれるかもしれない。
そしていつか透き通って、他の滴たちと一緒になれたら、
どんな狭い洞穴だって通り抜けられて。
そしてもっともっとたくさんの滴たちと一緒に長い長い旅に出て、
気がついたら今度は青くなってるかもしれない。
今度は泳げなくても大丈夫で、深い地球の切り込みの中までだって行くことができて。
大地を潤す存在にはならないけれど、
もう二度と光が差し込まないところで誰も知らない存在になれるよ。
今度は誰かを傷つけないし、誰にも傷つけられないんだ。