コラム

ドリキャスソフトをマルチブート化させる
DATE 2001/5/23
書いた人−☆の人

 ドリームキャストGD-ROMのリッピングが出来るようになった事を機に、
「やったぁ、これでウチのDCソフトを全部バックアップできるぜ」
等と喜び勇んでデータを吸い出してみたものの、
吸い出したデータを展開したら900MBなのでCD-Rじゃ物理的に焼けないよ
といった具合に、みなさん厳しい現実を目の当たりにしてきたかと思います。
これはもはやGD-ROMの大容量自体がプロテクトでして、まさに
”立つんだセ○!ビバGD-ROM”てな具合(謎)にリサンプリングを行いつつ
GD-ROMの"G"が意味するところを思い知らされるわけです、"ギガGD-ROM"。
ところが、すべてのソフトがGD-ROMの大容量を使い切っているわけではなく、
DCソフトの中には”GD-ROMなのにデータは15MB”と言った具合に
実データよりダミーの方が多いよバカ
的タイトルが存在したりします。まぁ、15MBというのは極端な例ですが、がんばって吸い出した1GBの
isoファイルがextract後に100MBになってなんだか損した気分、なんて思う日もあるわけです。
100MBのゲームを焼くのに650MBのCDRメディアを使うのはもったいないなぁ・・・
というわけで、複数のゲームを1枚のディスクに収めて幸せになろうというのが今回のお話です。
用意する物
  • ドリームパスポート3(ソフト内蔵のものでも可、2_DP.BIN)
  • extract後の容量が小さいDCソフト数本
--何故ドリパス3か?
 お気づきの方もいるでしょうが、ドリパス3にはランチャーの機能があります。
ドリパス3を吸い出したことのある人ならわかるでしょうが、
ドリームライブラリ・ぐるぐる温泉ぷち・ドリームフライヤー・ドリパス2
はドリパス3から起動することが可能です。つまりドリームライブラリ・ぐるぐる温泉ぷちのファイルを
他のゲームのものと入れ替えればドリームキャストNin1ディスクを作ることができます。

ここではextract後の容量が少ないソフトとして

  • クレイジータクシー
  • JoJoの奇妙な冒険
  • ストリートファイターIII3rdストライク
  • マーブルvsカプコン2

の4本を扱うことにします。クレタクは100MB程度、他2D格闘ゲーム系はリサンプリングを行えばどれも200MB前後に収める事ができるので80分メディアを使えば一枚に収める事が可能です。

それでは具体的な手順です。

 ここからはSELF化を手動で行えることを前提として話しを進めます。まずはドリパス3が無いと始まらないので、ドリパス3のデータを吸い出します。。吸い出し後のドリパス3のディレクトリ構造は次のようになっていると思います。緑色で示したディレクトリはドリパス3のデータが入っているので変更しないでください。それ以外のディレクトリは必要に応じて容量削減の為に消してください。今回の場合は消しちゃってOKです。

COLUMNS/   :コラムス
DAIMAKAI/   :大魔界村
DF/        :ドリームフライヤー
DP2/       :ドリームパスポート2
DPETC/
DPFONT/
DPMODEL/
DPSS/
DPTEX/
DPWWW/
DREAMLIB/   :ドリームライブラリ
FLICKY/     :フリッキー
GURU/      :ぐるぐる温泉ぷち
PENGO/     :ペンゴ
PUYO/      :ぷよぷよ

次に、Nin1化したいゲームのデータを入れるためのディレクトリを作成します。ここでは、CRAZY・JOJO・SF3・MVC2というディレクトリを作り、その下に各ゲームのデータを全て入れておきます。この時、各ゲームの1ST_READ.BIN(BOOT.BIN)等はドリパス3のIP.BINを使ってBinHack(11700書き換え)処理を施しておきます。もちろんドリパス3の.BINファイルもHackしてください。最終的に、以下のようなディレクトリ・ファイル構成になります。。

data
├─DPETC/
├─DPFONT/
├─DPMODEL/
├─DPSS/
├─DPTEX/
├─DPWWW/

│ 1ST_READ.BIN   :Hack済み
│ 2_DP.BIN       :Hack済み
│ MAIGO.BIN      :Hack済み
│ SG_DPLDR.BIN   :Hack済み
│ DP3.INI
│   :
│   :

├─CRAZY/   :クレイジータクシー
│   │ 1ST_READ.BIN   :Hack済み
│   │    :

├─JOJO/    :JOJOの奇妙な冒険
│   │ 1ST_READ.BIN   :Hack済み
│   │    :

├─SF3/     :ストリートファイターIII3rdストライク
│   │ 1ST_READ.BIN   :Hack済み
│   │    :

└─MVC2/    :マーブルvsカプコン2
     │ 1ST_READ.BIN   :Hack済み
     │    :

これでMKISOFSにてISO化する下準備はできました。しかし、このままではマルチブートできません。ドリームパスポートの設定ファイル(DP3.INI)の書き換えをしてあげましょう。
DP3.INIの書き換え
ここは、ドリームパスポート3の設定ファイルを元に書き換えを行います。ソフト内蔵型のドリパスの設定ファイルとは異なる点があるので、わからなかったらドリパス3の設定ファイルを使ってください。

まず、システム設定の部分です。これは必須ではありません、状況(趣味)に応じて各自書き換えてください。ただ、容量削減の為にドリパスの音声ファイルの設定は”#”でコメントアウトした方が良いです。こうすればVOICE.AFSファイルを削除できるので70MBぐらいの容量が確保できます(ソフト内蔵型ドリパスの場合すでに削られている場合があります)。林原さんの声無しじゃ生きて行けないとか、そんな感じの人はしなくても良いです(w)。

[System]

ScoreFiles='/dp3.dps, /softkey.dps, /vms.dps, /chat.dps, /ntp.dps, /pm.dps'
MessageFile='/message.ini'
SoundDriverFile='/manatee.drv'
SoundMLTFile='/DP3sound.mlt'
#SoundVoiceDir='/'           :システム音声ファイルのあるディレクトリ指定
#SoundVoiceName='voice.afs'    :システム音声ファイルの名前
SoundVolume=15
#StaffRollFile='file:/dpwww/staff/roll.html' :スタッフロールファイルへのパス
#ScreenSaverGDFile='/dpss/101.jpg'     :スクリーンセーバーに使われる画像のパス
FontDir='/dpfont/'
SystemFont=s20rm04s.dat
ZipCodeDBDir='/dpetc/'

「スタッフロールに自分の名前を流したい」とか「スクリーンセーバーにXXX画像を使いたい」とかアレな
事をしたい人は、対応ファイルの書き換え、入れ替え等をして遊んでみてください(^^)

次にブラウザの設定です。ここも状況(趣味)に応じて書き換えてしまって結構です(書式さえ守れば)。
この部分の書き換えも必須ではありませんが、黄色の部分のようには書き換えた方が何かと便利なのでオススメです。
StartPageはブラウザ起動直後に開こうとするURLを設定しています。この部分は書き換え前の状態だと"http://www.iso.net"となっているためブラウザはオンラインにするかどうかのダイアログを出してきます。起動毎にこのダイアログが出るのは非常にウザい仕様なので、ここでローカルファイルを開くように書き換えているのです。こうすることで、ダイアログは出てこなくなります。
ちなみにfile:/dpwww/test/index.htmlで指定しているHTMLはランチャーのテスト用に作られているので、このHTMLをちょっと書き換えるだけで独自のランチャー画面が簡単に作れます。

[Browser]

#StartURL01=http://www.sega.co.jp/
#StartURL99=http://www.access.co.jp/DC/
StartPage=file:/dpwww/test/index.html          :起動直後に開こうとするURL
DefaultFunctionKey='www.|.co|.ne|.ac|.or|.jp/|.com/|.uk/|/~|.html|.htm' :デフォルトのファンクションキー設定(書き換えて遊ぼうw)
DefaultBookmarkEntry='SEGA OF Japan|http://www.sega.co.jp/'   :デフォルトのブックマーク設定(書き換えて遊ぼう2w)
DownloadLimitBytes=1572864

#UploadIncludeFilter='PASSPORT.P**,PASSPORT.S**'
#UploadExcludeFilter='PASSPORT.SY2'
#SerialNumberIncludeFilter='PASSPORT.P**,PASSPORT.S**'
#SerialNumberExcludeFilter='PASSPORT.SY2'
#ProductPage='http://www.sonic.com'
AfterRegConnFailedPage='file:/dpwww/test/index.html' :オンラインにしなかった場合に開くページの指定


えと、ここからが必須の書き換えです。メインのランチャーの設定になります。
DP3.INIの末尾の方にランチャーの設定部分があるので、そこを状況に合わせて書き換えましょう。今回の場合は以下の様な書き換えになります。とりあえずLauncher9まで指定可能ですが、今回は4種類のマルチブートなので設定は4までです。
何を設定しているのかというと、
AppDirは起動対象のプログラムのあるディレクトリ名前
AppNameは起動対象のプログラムファイル名
となっているようです。AppUrl・AppOS・AppDAについては詳細不明です。ウチで試した段階では
適当な事を書いても問題なく動いていたので、基本的に書き換える必要な無いです。
ただ、AppOSは何となくWinCEの有無な気がするので起動対象がWinCE使用の場合は
「AppOS=1」とか設定するものなのかもしれません。誰か、この辺りの情報あったら教えてください(^^;

[Launcher1]

AppUrl='http://www.isao.net/isaogames'
AppDir='crazy'
AppName='1st_read.bin'
AppOS=0
AppDA=3

[Launcher2]

AppUrl='http://www.isao.net/isaogames'
AppDir='jojo'
AppName='1st_read.bin'
AppOS=0
AppDA=3

[Launcher3]

AppUrl='http://www.isao.net/isaogames'
AppDir='sf3'
AppName='1st_read.bin'
AppOS=0
AppDA=3

[Launcher4]

AppUrl='http://www.isao.net/isaogames'
AppDir='mvc2'
AppName='1st_read.bin'
AppOS=0
AppDA=3
   :
   :

この記述は、ドリパス上でジャンプやしおりから“x-avefront://---.dream/proc/launch/?”(?はソフトの種類番号で1〜9で起動するソフトが変わる)を指定したときに起動するプログラムを設定しています。
上記設定では

x-avefront://---.dream/proc/launch/1 :クレイジータクシー起動
x-avefront://---.dream/proc/launch/2 :JOJOの奇妙な冒険起動
x-avefront://---.dream/proc/launch/3 :ストリートファイターIII3rdストライク起動
x-avefront://---.dream/proc/launch/4 :マーブルvsカプコン2起動

となります。
 以上で、ドリキャスソフトNin1を焼く準備がそろいました。Selfboot化のプロセスに従ってMKISOFSにてIOSイメージを作成、IPINSでIP.BINを埋め込んでCD-Rに焼いてください。
レッツ起動・確認
 さて、ここまでの過程で無事にドリキャスNin1のディスクが焼き上がったとしましょう。焼き上がったディスクをドリキャスにセットしてレッツ起動しましょう。ドリパスが起動できたらとりあえず成功。失敗しちゃった人はまあがんばってね。ここまで成功しちゃった人はブラウザの画面まで行ってジャンプのURL指定に

x-avefront://---.dream/proc/launch/1

を入力してみましょう。これでクレイジータクシーが起動すればバッチリです。動作確認ができたらソフトリセット(A+B+X+Y+START)を2回してください。するとまた、ドリパスに戻れるので他のタイトルも起動できるか試してみましょう。どうです?ドリキャスソフトNin1できましたかね?
さらなるカスタマイズ

★ドリパス3のタイトル画面がウザい

通常のドリパス3は、起動後にドリパスのタイトル画面を経由してブラウザが起動します。この仕様はランチャーとして扱うには非常にウザいものです。しかしこれはソフト内蔵型のドリパス3(2_DP.BIN)を利用することで回避することが可能です。例えば、ジャスティス学園の内蔵ドリパスを利用しようと思ったら、

  • 2_DP.BINを1ST_READ.BINにリネーム
  • 1ST_READ.BinをBinHackする
  • ドリパス3の1ST_READ.BINに上書き

といった具合になります。


★ドリパスのシステム画像がショボい

ネット上には、なぜかフォトショップ用のPVRプラグイン等という物が転がっていたりします。そして、ドリパスの中にはPVRという拡張子のファイルがごろごろ。そんなわけでプラグインを使ってPVRを開いてみると・・ドリパスのシステム関連の画像が見えるよっ!そんなわけで、ドリパスのシステム画像が気に入らないという方はPVRファイルを書き換えて、独自色の強いカスタムブラウザなんてのを作ってみるのも一興かと思います。はげしく面倒だと思いますが(爆)


★ブラウザのシステムカラーを変えたい

この辺、じつはいろいろ変更可能のようです。詳細は書きませんが、ジャスティス学園の内蔵ドリパス用のDP3.INIの記述をみる限り各種色指定が可能のようです。いろんな所の設定ファイルを見比べながら自分流に書き換えてみると、明日はもっと楽しくなるよね?ハム太郎。


★林原さんの声じゃなくて小西寛子の声にしたい

前述の通り、ドリパスのシステム音声はVOICE.AFSになっています。上記プロセスではこのファイルはカットしていますが、実際のところリサンプリング等も可能だと思われます。試していないので憶測ですが、このAFSを展開すると、まずまちがいなく林原さんの音声ADXファイルがあるハズです。そのADXファイルを的確に入れ替えれば、ドリパス3のシステム音声をおじゃる○にすることも不可能では無いはず。そんなわけで、超ヒマな人は是非試して欲しいです。


追記
ドリパスでCD内部のSFD(MPEG)およびADXを再生する術を知っている方
いらしたら情報くれると嬉しいかもです(^^;

x-avefront://---.dream/proc/play/mpeg/dpwww/MPEG・SFDファイル
x-avefront://---.dream/proc/play/adx/dpwww/ADXファイル

でプレーヤーは起動するみたいなんですが、再生できなかったり(没)
MPEGの方はハングしたです(爆)
ビデオレート・画像サイズも何種類か用意したんですが、うーむ(>x<)
とりあえず、次期ドリパス早くでないかなぁ・・・(笑)

 

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