アゲハの成長観察

 

ある日、庭のゆずの木を眺めていたら、1匹のアゲハが飛んできました。花もないのに、葉っぱに止まってはふわり、止まってはふわりと飛んでいます。アゲハの飛び去った葉っぱをそっと見ると、葉の裏に小さな卵が産み付けられておりました。

 

葉っぱを家に持ち帰り、孵るのを待ちました。黄色い卵が黒くなって鳥の糞みたいな幼虫が生まれました。身を守るためにそんな形をしているんだって。虫眼鏡で見るとちゃんと幼虫の形をしていました。

 

 

黒い幼虫がゆずの葉をバリバリと食べます。まだ赤ちゃんなので、まだ若いやわらかい葉っぱを取ってきて与えます。小さいけれど、つつくと角を出して敵をびっくりさせます。成長にしたがって食べる量も増え、糞も砂みたいのから、だんだん大きな糞をするようになります。

 

幼虫の体を覆う皮は伸びません。ですから成長に伴い体がばんばんに膨れたようになります。この状態で少しの間、動かない、食べない時期があり、「死んでもうたかな?」と心配する頃、幼虫は脱皮します。むずむず動き出して、頭のほうから新しい体が出てきます。エコ志向で脱いだ皮は食べてしまいます。ただ、目の周りは残します。3回目までは脱皮しても同じ色形の黒い幼虫です。4回目の脱皮直前には茶色く伸びた皮の下がうっすらと緑がかって見えます。少し眠ったあとで、さぁ、色あざやかな第5齢虫の誕生です。

 

最終齢虫はほんとに良く食べます。毎朝欠かさず葉のついた枝を折ってきて与えておきますが夕方には枝だけになっています。当然1日ごとの成長は著しく、朝よりぐんと大きくなったのが夕方に見て感じられます。背中に体液が流れる脈が見えます。糞はコロコロの円柱状です。柑橘系の匂いがします。ニョキッと出すオレンジ色の角も、ちょっと濃い目の柑橘系の匂いがします。第5齢虫が少し長めに眠った後、どろどろの糞をします。さなぎになるお知らせです。この後ものすごい勢いで枝の上を行ったりきたりし始めます。

 

ビンに割り箸を入れて蓋をしておくと、割り箸の上を行ったり来たりしながら止まる場所を決めます。落ち着く場所を決めると、口から糸を吐きながら、その糸で体を割り箸にくくりつけます。サナギのなりたては、このように青虫の姿のままなのでした。

 

翌日、青虫の体の中から緑色のさなぎが出てきます。目も足もない、緑のかたまりがむよむよと出てきます。できたてのサナギは意外にやわらかく、また、ぴくぴくと動いています。

 

10日待つと緑色だったサナギの皮の下がうっすらと黒く見えてきます。おなかのほうからカラを破ってアゲハが出てきます。12秒ほどのできごとです。上へ上へとのぼって立ち止まり、羽を整え乾くのを待ちます。羽を閉じた状態でほぼ乾いたら、今度は羽を閉じたり開いたりします。ときどき体から水分をしぼり出し、おしっこみたいのを飛ばします。体を軽くして、ちょっと飛行練習。はじめはあんまり飛べない。だんだん上手になって、窓辺の明るいところでパタパタし始める。いつまでも一緒にいられないね。

 

さようなら〜!なんだか悲しい…

 

子ども部屋  庭の景色