このページの引用は文庫六刷によっています。
裏表紙の紹介
「気欝にとりつかれた三人の紳士が犬をお伴に、テムズ
河をボートで漕ぎだした。歴史を秘めた町や村、城や森をたどりつつ、抱腹絶倒の珍事
続出、愉快で滑稽、皮肉で珍妙な河の旅がつづく」(後略)
英語のテキストは、
San Antonio Collage's Lit Webで読めます。
ヴィクトリア朝英国を舞台にした、爆笑紀行小説。作者Jと、ジェロームの実在の友人 をモデルにしたウィリアム・ハリスとジョージ、そして愛犬モンモランシーが、虚実の エピソードを交えて、ロンドンーオックスフォード間を珍道中。不滅の三人男の写真 は、ここ。
ハリス、陽気で酒の好きな、愛すべき大男......コミックソングさえ歌わなけれ ば
...ハリスはいつも、角を曲がったところにあるごく上等
のものを飲ませる店、というのを知っている。もしも天国でハリスに出会ったら(ハリ
スが天国に行けるかどうかはともかくとして)、彼が最初に言うのはきっとこういう文
句だろう。
......
「やあ、久しぶりだね。角を曲がったところに一軒いい店があるんだ。一級品のネク
ターを飲ませるぜ」
ハリスがハムトンコートの有名な迷路で迷う、離宮と迷路の写真は ここで見られます。あと、 ヤシガニのミニ紀行
ジョージ
とろくさいのか、のんきなのか?銀行員として、仲間うち唯一の給与生活者。ただし彼 が銀行になにをしにいってるかは?昔々、ただ一度だけ早起きをしたことがある。
そして、湯沸かしと戦う不滅の勇者、我らがモンモランシー
......モンモランシーの野心というのは人の邪魔をして、
どなられたいということである。別に用もない所へ行ってゴロゴロ寝転んだり、たいへ
んな迷惑をかけて人を怒らせたり、頭をピシャリと殴られたりすれば、彼は、今日一日
は無駄ではなかったと満足するのである...
人はモンモランシーを見るとき、これは人間の理解を絶したある理由のもとに、フォッ
クステリアの形を借りて地上へと派遣された天使なのだと想像するであろう......
フォックステリアってどんな顔?ここで写真が見られます。たしかに悲しげで生真面目な外見。
勤勉で饒舌な男、J(語り手)
.....ぼくは仕事が大好きだ。何時間も座りこんで、仕事を 眺めていることができる位なのだ。......仕事を溜めておくということは、ぼくにとって ほとんど情熱のようなものになっている ...... ぼくが抱えている仕事のなかには何年間 もぼくの所有に属していて、しかも指のあと一つついてないものもあるのだ......
三人と一匹はオックスフォードまで漕ぎ上がり、そして......?
ボートが通過する、テムズ河の沿いのヘンリーや、ウォールトンやマグナカルタ島の写
真紀行が、テムズ河博物館
にあります。
おまけその一
SFファンへの付言
ところで、SFファンの方。コニー・ウィリス
の「犬はさておき」To Say Nothing of the Dog、は全編「ボートの
三人男のパスティーシュになっています。ほんわかと楽しい大傑作。ジェロームと、ク
リスティとセイヤーズを読んでおけば、ウィリスが三倍楽しめます!
あらすじ。
おまけその二
ウォータールーとハムトンコート
ロンドン中心のウォータールー駅から列車一本で行ける、ハムト
ンコート(テムズ川上流の王室の離宮)には、ヤシガニも去年(’98)行きました。
ハムトンコート駅徒歩五分、日当たりよし、美麗な肖像美術館、庭園複数つき。地理的
に半端で、ロンドン一日観光のパッケージにはいらないかもしれないが、訪問の価値が
あります。離宮のメインページは、こ
こ。
とーこーろーがー、ウォータールー駅のメインホールに行くと、込み合った回廊の真ん
中に、何人もの旅客が、中空を見上げてかたまっています。その人たちの外見は大抵普
通の欧米人。この駅は大陸への路線もありますが、基本的にロンドン近郊線の中心で英
国人もおおいはず。では、なぜかかし軍団が?はるか頭上の、出発
予定掲示板をひたすらに眺めているのです。これが字がちいさくて見にくい。電光でも
ない。
この駅、出発ホームの掲示板が、目に付くところにひとつしかなく、他の案内もわかり
にくい。
すなわちジェロームが、
......いったいウォータールーの駅では汽車がどこから出 るのかとか、汽車が出るときにその汽車がどこへゆくのかとか、そういう類のことをか つて誰も知っていたことがないのである。......(かくして、Jとハリスは汽車を探し、 偽情報に踊らされてさまよう)......ぼくたちは、彼(機関手)の手に半クラウンの金貨 をすべりこませ、十一時五分発のキングストン行きになってくれ、と頼んだ......
と書いてから、じつに一世紀と10 年。今日まで状況が根本的に変わらないとは!英
国恐るべし!長年「三人男」の愛読者でよかった(なぜ?)と思った次第。
おことわり
当ページの引用部分に関して、99年6月現在、中央公論新社に、メイルで許可をいた だきました。それぞれの引用は、著作権法の定める引用を越えていないと思われます が、引用等の際は著作権についてご配慮願います。