喜多郎ミュージック・ガイド
Young Persons' Guide to KITARO Music #25
CIRQUE INGENIEUX
SARAH'S WORLD
SOLAR SYSTEM TRAPEZE
THE TAILOR
COSTUME SHOP
WALL OF MASKS
CONTORTIONISTS
WINTER WALTZ
THE WIZARD
GALINA
UNDERWORLD
      PARADE OF RICHES
      COURT PERFORMERS
      PALACE DANCE
STRENGTH
THE ESCAPE
THE BOTTOM OF THE SKY
DOUBLE LIRA / FINALE
music written by KITARO
music arranged by KITARO and Keith Heffner
additional music by Keith Heffner
additional musicians:
Keith Heffner: keyboard
Colleen Ryan: vocal
Angus Clark: electric guitar
Kristin Stordahl Kanda: flute
Anastasia Patzer: violin
Nawang Khechog: tibetan horn, didgeridoo
Jonathan Goldman: chanting voice
Ty Burhoe: tamboura
Gary Barlough: fx
KITAROさん、fantasyの世界へ...。ヨーロッパのサーカスとアメリカのBraodwayが融合したshow「Cirque Ingenieux」(読みを日本語で書くのは難しいけど、強いて書けば「シルク・アンジュニュー」と「スィルク・オンジュニュー」の中間くらい)の音楽をKITAROさんが担当。その音楽をKITAROさん自身が演奏したversionを収録したのがこのアルバム(実際のshowでは他のmusicianが演奏してた)。ShowのファンタジックなストーリーとKITAROさんのいつものロマンティックで情熱的な音楽が「こんなに合うんだぁ」って思えるほどマッチしてて聴き応えがあるし、popな感覚もあるね。
1990年代に発表された「HEAVEN & EARTH / 天と地」「THE SOONG SISTERS / 宋家の三姉妹」といったサントラ関係のアルバムとちがって、「THE LIGHT OF THE SPIRIT」「KOJIKI / 古事記」「MANDALA / マンダラ」「GAIA - ONBASHIRA」で聴けるようなこの時期のKITAROさんらしさ(ダイナミズムにあふれたsymphonic rock、“静”と“動”のコントラスト、唸りをあげるelectric guitar、etc. etc....そしてモチロン美しいメロディ)が充分に楽しめる内容になっている。まあ、KITAROさん自身が演奏してるから、自然にこうなっちゃうんだろうけどね(笑)。それにプラスして "THE TAILOR"、"COSTUME SHOP"、"CONTORTIONISTS"、"THE WIZARD"、"UNDERWORLD" といった曲で聴けるような、KITAROさんの他のアルバムではお目にかかれない雰囲気(不思議なカンジというか...愛らしいというか...幻想的というか...)を持った曲があるのも、このアルバムの魅力。この新鮮な雰囲気は、もしかしたらアルバム「MANDALA / マンダラ」以降KITAROさんと親密に仕事をしてたKeith Heffnerの存在が大きいのかもしれないけど、いずれにしてもKITAROさんらしいアルバムの雰囲気の中にウマく溶け込んでいる。アルバム「HEAVEN & EARTH / 天と地」と同じように、一見KITAROさんにしては断片的な曲もあるように見えるけど、実際に聴いてみると、ほとんどの曲が前後の曲とつながっているし、演奏時間が長い曲でもストーリーが展開するかのように一曲の中でdramaticに変化していく曲が多いから、断片的な曲が目立ってマイナスの印象を与えることはない。むしろアルバム全体が一つのストーリーを物語ってるような印象...つまりアルバム全体で一曲という印象の方が強いね。そしてその収録曲たちが“KITAROさんらしいアルバム全体の流れ”をシッカリ創ってるあたりは、ニクイねえ!としか言い様がない(笑)。
"GALINA" は2001年くらいまでliveでよく演奏されてたし、"STRENGTH" も2002年くらいまでliveで演奏され続けてた重要レパートリー。KITAROさんならいつもの通り、こういうpowerfulでemotionalな曲はliveでは威力が2倍になるわけだけど、その分、liveで気に入った人がこのアルバムでoriginal versionを聴くと、チョット物足りなく感じるかもしれないね(笑)。なお、"STRENGTH" はliveで演奏される時には "STRENGTH ACT" という曲名になっていることもあるけど、同じ曲なのでそのつもりで。
チョット異色と言えなくもないアルバムだけど、KITAROさんの強力なアルバムは、どれも“他のアルバムには無い何か”を持ってるという事実もお忘れなく。これからKITARO Musicを聴いてみようとしてる人が一番最初に聴くアルバムとしても悪くないし、2枚目、3枚目に聴く分には申し分ナシ! KITAROさんが和太鼓でよく叩くフレーズが、"CONTORTIONISTS" で別の楽器の音で聴こえて来るあたりは、なんとも面白いね(笑)。
ちなみに、このアルバムの日本盤の初回発売盤には、アルバム・タイトルにも曲名にも邦題が付いていました。でも、コレらは「KITAROさんが付けた邦題ではなく、KITAROさんもその邦題を承諾してない」と伝えられてるので、ここでは邦題を表記していません。また、日本盤のアルバム・タイトルの日本語表記「サーキュ・インジュヌー」もKITAROさん本人の承認を得ておらず、KITAROさんが正しい発音とはちがうということを指摘していると伝えられてるので、ここでは表記していません。
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