喜多郎ミュージック・ガイド
Young Persons' Guide to KITARO Music #27



GAIA - ONBASHIRA


released 1998

YAMADASHI / 山出し
      TANNE / 樅の木
      PRAYER / 祈りの人々
MISTY / ミスティ
GAIA / ガイア
WOOD FAIRY / 木の精霊
SATOBIKI / 里曳き
KIOTOSHI / 木落とし

all music written and arranged by KITARO

additional musicians:
Angus Clark: electric guitar, 12 string guitar
Derek Zimmerman: percussion
Kristin Stordahl Kanda: transversal flute
Masa Ito: classical guitar
Ty Burhoe: tabla, tamboura
Luis Perez: atmospheric percussion
Tadayasu Nishi: kiyari chant
Jonathan Goldman: chanting voice
Keiko Takahashi: hand drums, "human birds"
Ryusuke Seto: biwa
Gary Barlough: "human birds"
Miazawa and Rieko: "human birds"

7年に1度、長野県の諏訪大社周辺で大規模に繰り広げられる神聖でスピリチュアルな奇祭「御柱祭」をテーマにした壮大なスケールのアルバム。ホンモノの「御柱祭」と同じように、起伏に富んだdramaticな物語がアルバムを通して展開されている。

音楽的には、100%純粋な“KITAROさん自身のためのKITAROさんのスタジオ録音アルバム”としての前作である「MANDALA / マンダラ」に近く、improvisation(即興演奏)をふんだんに取り入れていて、色彩美豊かでダイナミックなsymphonic rockというカンジ。ただ、rockはrockでも、このアルバムの方がKITAROさんらしい無国籍な(world music的な)rockっぽいカンジがするね。無国籍というより多国籍かな(笑)。アルバム「KOJIKI / 古事記」と同じように、表向きのテーマは地球上のある特定の地域に根差していても、音楽はglobalになってるあたりはKITAROさんらしいね(笑)。アルバム「MANDALA / マンダラ」はサイケ色が濃かったけど、この「GAIA - ONBASHIRA」はサイケ色よりもスピリチュアルなpowerの方が強くなっている。「MANDALA / マンダラ」「CIRQUE INGENIEUX」に続いて相変わらず出番の多いelectric guitarは、アルバムのopeningを飾る "YAMADASHI / 山出し" からイキナリ力強くツヤのある唸りをあげ始める。そして聴こえてくる「御柱祭」には欠かせない“木遣り”。紆余曲折があるアルバムの物語の中で中央に据えられた "GAIA / ガイア" では、KITAROさんにしては珍しくclassical guitarを前面に出した演奏が聴ける。スピリチュアルに繰り返される重々しいリズムをバックにclassical guitarによるスリリングなsoloが延々と続くわけだけど、こういうarrangeはKITAROさんが得意中の得意とするところだね。多種多様なpercussionが創りだすノリノリのgroove(powerは控え目だけどカッコいい!)をバックにサイケがかったimprovisation(即興演奏)が聴ける "SATOBIKI / 里曳き" を経て、そして最後には豪快なsymphonic rockと“木遣り”と、そしてホロッと泣かせるメロディが織り成すクライマックスの "KIOTOSHI / 木落とし" へ...。わかりやすい起承転結があり、典型的な“KITAROさんらしいアルバム全体の流れ”を持ったアルバム。

神秘的で壮絶なドラマを雄弁に語る“言葉なき音楽”が聴ける傑作だね(“木遣り”は一応言葉だけどね)。これからKITARO Musicを聴こうとしてる人が一番最初に聴くアルバムとしてもオススメ。

ちなみに、次作「THINKING OF YOU」では、新しい音楽的スタイルが表れ始めるんだけど(「THINKING OF YOU」の紹介を読んでね)、この「GAIA - ONBASHIRA」をよく聴くと、"WOOD FAIRY / 木の精霊" とか、アルバムのそこかしこにちりばめられた自然界の音に、その「THINKING OF YOU」以降によく聴かれるようになるKITAROさんの新しいスタイルが現れているのがわかる。




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