喜多郎ミュージック・ガイド
Young Persons' Guide to KITARO Music #22
MANDALA / マンダラ
PLANET / プラネット
DANCE OF SARASVATI / ダンス・オブ・サラスバティ
SCOPE / スコープ
CHANT FROM THE HEART / チャント・フロム・ザ・ハート
CRYSTAL TEARS / クリスタル・ティアーズ
WINDS OF YOUTH / ウィンズ・オブ・ユース
KOKORO / ココロ
all songs written and arranged by KITARO
orchestrated by Randy Miller
additional musicians:
Seiho Miyazaki: shakuhachi
Yoshi Shimada: drums
Angus Clark: guitar
John De Faria: guitar
Jonathan Goldman: chanting & percussion
Keiko Matsubara: chanting & percussion
Nawang Khechog: universal horn, chanting, flute
Ty Burhoe: tabla
Ryusuke Seto: biwa
Yoko Cannon: koto
Mochi Orchestra
「THE LIGHT OF THE SPIRIT」以降のアルバムに聴かれるlive指向のダイナミックなサウンドや、「KOJIKI / 古事記」以降のアルバムに聴かれるstring orchestraを取り入れたarrangeといった、1980年代終盤以降のKITARO Musicの方向性に、しばらくご無沙汰だったサイケなimprovisation(即興演奏)が合体した、スピリチュアルなsymphonic psychedelic rockアルバム。アルバム全体の半分くらいがimprovisationを聴かせるようなarrangeになっていて、聴く者をトランス状態に導き、“トリップ”させてくれる。こういう傾向は、KITAROさんの初期のアルバムでよく見られたわけだけど(liveではいつもやってるから、久しぶりってカンジはしないけどね)、このアルバムでは、improvisationのまわりで鳴ってるサウンドがダイナミズムにあふれたsymphonic rockになっている。"MANDALA / マンダラ" なんかは、一瞬1970年代前半以前のPink Floydかと思ってしまうような雰囲気があるし、"DANCE OF SARASVATI / ダンス・オブ・サラスバティ" のような親しみやすいメロディを持った曲でさえ、サイケなimprovisationが織り込まれているし、"WINDS OF YOUTH / ウィンズ・オブ・ユース" なんかは「"TEN KAI" ASTRAL TRIP / 天界」「FROM THE FULL MOON STORY / 大地」あたりのアルバムに収録されててもゼンゼン違和感のないカンジのサイケな曲。
それにしても、このスリリングさ! KITAROさんが看板アーティストになっているDOMO RECORDSへの移籍第一弾アルバムということもあってか(もしかしたらDOMO RECORDSの第一弾アルバムなのかも)、モノスゴイ緊張感と気迫みたいなモノが感じられる。それでいて、“KITAROさんらしいアルバム全体の流れ”もシッカリある。
クレジットを見て目に付くのは「All instruments and Guitars played by: KITARO〜」の文字。わざわざguitarだけ別記してるワケだけど、こういう風に、クレジットで特定の楽器だけを目立たせるように表記してあるのは、KITAROさんの全discographyの中でも、このアルバムだけ。そしてこの表記が暗示してる通り、「MANDALA / マンダラ」はKITAROさんの全discographyの中で、electric guitarを一番フィーチャーしたアルバムになっている。しかも、その多くはdistortionのかかった(歪んだ)サウンドでバリバリッと唸りをあげている。まあ、KITAROさんは最初はguitaristだったわけだし、liveではいつもdistortionのかかったelectric guitarをカナリ轟かせてるから、唐突なカンジはゼンゼンしない。むしろ「スタジオ録音アルバムでも、ここまでやっちゃった!」ってカンジだね。
というわけで、普段KITAROさんがliveで演奏する時の音楽性や雰囲気がカナリ色濃く出た傑作アルバム。と同時に細かいところでは、liveでは再現するのが大変そうなくらいに様々な楽器からいろいろな音色が咲き誇っていて、サウンドの色彩感も実に豊かだね。モチロン、これからKITARO Musicを聴こうとしてる人が最初に聴くアルバムとしても、いいアルバム。
"MANDALA / マンダラ" と、アルバム「TUNHUANG / 敦煌」に収録された "MANDALA / 曼陀羅" は、英題は同じだけど別の曲。
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