さて。
息子のクラスについてお話しましょう。(これを書いているのは2000年1月です)
とても運のいいことに、クラスメイトの中に「アジア系」であったり、「英語が話せない」というハンデのあるわたしたちを敬遠するようなお母さんたちはいないようです。一度、あからさまに「アジア系の子とは遊ばせない」といわれたこともあるので、クリスチャンスクールの上に白人の多いこの学校にいれることに少々、びびってはいたのですが、今は安心しています。
ここを選んだのはまず1.日本人が少ない(現在、彼のクラスには彼だけです)−英語で話さざるを得ない−英語を習得できるということが主力でした。息子は人見知りゼロ、細かいことは気にならない、誰とでも仲良く遊びたいという性格なので、こういう荒療治もできたのですが、神経の細い子などにはお勧めできませんよ。息子はこんな性格ですが、それなりにやはり辛かったようで、9月中は情緒不安定でしたし、送っていくと「ママカエッチャヤダー」をやり、先生に抱っこされて泣く泣くという連日でした。10月に入っても、まだ、進んではいきたがらず、友達の名前も覚えられない様子でした。三ヶ月、様子を見て、どうしても嫌がるようならやめざるを得ないだろうとおもってはいたのですが、徐々に慣れてきて、英語が理解できるようになり(彼の場合、4ヶ月からここに住んで、ジンボリーなどにも通っていたので、耳は育っていたようです)単語が話せるようになると、俄然楽しくなってき、折もよく、クリスマス前に男の子のお友達からバースデーパーティーにも招いていただき、最近はその子とはとても仲良く遊べるようです。
ここはいっぱつ、お母さんも清水の舞台から飛び降りるつもりで「家に遊びにきてください」コールをしたほうがいいのかもしれない………。うー、英会話がなぁー。ごめーん、息子よ。もう少し待ってくれたまえ。
お友達の名前もあらかた覚えたようですし、最近は英語の歌もあやしいながら歌えるようになりました。
でもね。
「小さい子は言葉がわからなくても大丈夫」とか「すぐ覚える」とか簡単に言う人がいますが、実際には、確かに年齢が低ければ低いほど大人の目からは早く環境に順応するように見えます。でも、小さい子供にとって、その短い期間というのは、とても長いことなのではないでしょうか。
うちの息子は5月生まれ。三歳とはいえ、日本ではまだ年少さんにも入れない年齢です。そのくらいの年齢のころ、自分はどうしていたか、というと、家でのんびり、近所の子供たちと楽しく遊んでいただけ、だったと思うんですが、彼は言葉が通じないというハンデのために「楽しく遊べない」学校生活をスタートさせなくてはならなかったわけです。
だがまあ、それは彼の運命。
1999年夏、6月第4週から、彼の学校生活は始まりました。Mariners Church Preschool が火曜と木曜(ここが秋以降、通うメインの学校)と、Child's
Worldに月曜と水曜に通います。金曜日はお休みです。
というのも、メインに通うつもりの学校では、3歳のクラスは火曜と木曜日にしか開講せず、他の曜日は4歳児のクラスになるのです。
このふたつのプリスクールにはそれぞれ特色があります。
Mariners Church Preschool は、はっきりとクリスチャンスクールと銘打ち、キンダーから小学校、はては短大まで併設している、少々アカデミックで学校。プリスクールとはいえ、内容はキンダーの授業内容に則しており、18人の子供に対して、ふたりの先生がつきます。しかし、サマースクールのため、なんと生徒5人に対して先生ひとり。目が行き届くのなんのって。言葉のハンデもこのときはほとんど感じないくらい、ゆったり楽しく暮らせたのです。
対してChild's Worldの方は、日本にもよくあるアカデミックな学校とは対照的な学校です。わんぱくさんたちがたくさんきていて、こちらは14人に対して先生ふたり。しかしメインの先生とサブの先生という感じです。
実際通うと、その差ははっきり出ていて、息子の場合、楽しかったのはChild's Worldのようです。Mariners Church Preschoolの方はしっかり椅子に座らせて、きちんと絵をかいたり、工作したりする時間があり、Child's Worldの方はやりたくなければ無理にはさせない、という感じで、こちらではほとんどなにかを製作して持って帰ってくるということはありませんでした。(息子の性格ですねー)だから、まー、親としてはほうっておいたらやらないのですから、きちんと座らせて書かせたりしてくれる学校を選びたかったわけです。進んでそういうことをやる子なら、後者の方が選択肢も多かったし、興味を持ったことに対応するのは人数が少ない分、すばやく、深い感じでしたね。だから、どちらがいいとか悪いとかいうことはなく、子供の性格によって合う、合わないがあるのだということでしょう。
しかしサマースクールもChild's Worldの方は6週間のみ。あとは8月いっぱい、火曜と木曜日だけのスクーリングとなりました。
9月は頭二週間がお休みで、三週目からはじまります。その間、日本に帰ったりしていたので、ウェルカムズデーはパスしたのですが。
行ってびっくり。サマークラスの時とは大違い。18人もお友達がいるのです。息子は完全にびびりまくって、教室に入ろうとしません。結局一時間くらい付き添っていて、最後は先生が泣く子を引き取ってくれて--という感じで帰りました。でも8時半から一時間いて、11時半にはピックアップタイム。帰宅しても適当に掃除するひましかありません。
息子はさすがに4ヶ月からこちらにいるだけあって、先生の指示などは理解することができ、それに従うこともできたようです。ですが、まるっきり話せないのは間違いのない事実。相手の言葉が理解できるだけに、いいたいことがいえないのは大きなストレスだったようです。
9月からはじまった新しいクラスも12月半ばごろまで、こんな調子でした。毎朝、行かない、とはいわないんですが、クラスに入ると、「ママ帰らないで」がはじまり、最後には大泣き。先生が引き取る、無理やり帰る、の繰り返しでした。帰宅しても、情緒不安定なままで、わたしから離れないし、いうことを聞いてもらえないと、手が先に出る。日本語の発達も日本に住んでいる子供に比べればかなり遅れているのがわかっていたし、「いえない」ということが問題を大きくしていたようです。
それでもなんとか、クリスマスごろになって、仲良しの友達ができ、落ち着きはじめました。
長かったです。
それでもうちの息子は性格的には人見知りをあまりしない、誰とでもすぐに仲良く遊ぶタイプなのです。たぶん、日本の幼稚園に通っていれば、こんなに情緒不安定になったりすることもなく、楽しく学校生活をはじめられたのに、と思うと、かなり不憫な気がしました。
アメリカのお遊戯会は「クリスマスプログラム」という名前で行われることがあるようです。わたしは知らなくて、これはいったい、なんだろうと思っていたのですが、たまたま、それの前日、日本人のお母さんにそれはお遊戯会で、なにか歌を歌うといって歌詞カードかなにかもらわなかったか、と聞かれ、どきっん。もらってました。練習もしてましたけど、そうか、あれを歌うのか、とおもっていたら、うちはクリスチャンスクールなんだっけ、と思い出し、ということはあの大きなチャペルでやるんだろうなぁ、とおもいあたり。
ばっちりそのとおりで、何十本もたてられた生木のクリスマスツリーが飾られた大きなチャペルの美しい舞台で、息子のクラスは三曲、歌いました。まあまあ歌っていたようすで、先生の指示にも従えたし、手振り身振りなどは完璧。かわいくてよかったです。プリスクールを探している人はこういうのを見るといいとおもいます。スクールカラーがばっちりあらわれますから。
ハーフデイプログラムの難点はやはり時間が短いこと、また、お休みが多いことです。冬休みは12月20日からで、始まりは1月4日から。公立学校と同じです。
はてさて、これから息子はどんなことをして大きくなるのか楽しみです。
いいブリスクール、いいクラスメイトに出会えて、わたしたちはとてもラッキーです。