和尚の本からの抜粋


行動の基になっている人々の心理を知ってください。

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あるとき一人の男がブッダの顔に唾を吐きかけた。ブッダは顔を拭
うとその男に

「何かもっと言いたいことがあるかね?」

と聞いた。彼の弟子達はひどくショックを受け、腹を立てていた。
彼の一番弟子のアーナンダはこう言った。

「これはあんまりです。あなたがいらっしゃるから我々は何もでき
ませんが、さもなければ、私たちはあの男を殺していたでしょう!
あなたの顔に唾を吐くなんて。それをあなたは、他に何か言うこと
があるかね?などと仰るんですから。」

するとブッダは言う。

「さよう。・・・なぜならば、唾を吐くというのは何かを言うひと
つの言い方なのだ。もしかしたら、あの男は私の何かに言葉では言
い表せないほど腹を立てていたのかもしれない。だから唾など吐い
たのだ。言葉で言い表せないような時どうしたらいい?笑うか、泣
くか、涙を流すか、抱き締めるか、ひっぱたくか、何かするだろう
。もし耐えきれないほどの怒りがあったら、どうする?十分な強さ
を持った暴力的な言葉も見つからない。どうしたらいい?・・・唾
を吐くだろう。彼は何かを言いたい。だが、彼にはそれにふさわし
い言葉が無い。それ故にこそ、彼は不器用にも唾など吐くのだ。私
が、ー何かもっと言う事はないかねー、と聞いているのはそのため
なのだ。そしてもし、その言い分が正しければ、私はそれを受け入
れなければならない・・・」

その男は彼自身ショックを受けた。と言うのもこんなことは予想外
だったからだ。彼はブッダの面目を丸つぶしにするためにやってき
ていた。だがブッダは面目などかまいもしない。ブッダの慈しみは
その男の上にも降り注いでいる。しかも、敵対する者の言い分でさ
え、それが正しければ受け入れる十分な準備があった。彼はその夜
一睡もできなかった。何度も何度もそのことを考えた。彼にとって
はこんなことはとても受け入れ難かった。

「何という人間だろう?何というやり口だろう?こっちが唾を吐き
かけたというのに、あの男と来たらこう尋ねるだけなんだから。―
何かもっと言いたいことがあるかね?―それも途方もない慈愛をも
って。」

朝早く、彼は戻ってくるとブッダの足許に身を投げ出して

「どうもすみませんでした。お許し下さい。私は一晩中眠ることが
出来ませんでした」

と言った。するとブッダは笑ってこう言う。

「馬鹿者が!なぜかね?私は完璧によく眠ったよ。何であなたがあ
んな小さなことで頭を悩ませる必要がある?それは私を傷つけた訳
じゃない。見てごらん。私の顔は前と同じだ。何であなたがそんな
ことに気をもむのかね?」

その男が言うには

「私はあなたの弟子になるために来ました。あなたとご一緒させて
欲しい。私は、何かユニークな超人的なことを目のあたりにしまし
た。けれどもまず、私をお許し下さい。」

「それはナンセンスだ。どうして私があなたを許すことなんか出来
る?私はそれについて別に注意も払っていなかったのだよ。私には
何の怒りも生じなかった。だとしたら、どうして私にあなたを許す
ことなんか出来る?それに、もう24時間もたっているのだ・・」

彼らはガンジス川のほとりに座っていた。そこでブッダはこう言っ
た。

「ごらん、24時間のうちにどのくらいの水がガンジス川を流れて
いっただろう。それだけの生があなたの中でも過ぎたのだ。それだ
けの生が私の中も通り過ぎた。それはもう同じガンジスじゃない。
私は同じ人間じゃない。実際には、あなたは決して私に唾を吐いて
なんかいやしない。それは誰か他の人に対してだったのだ。24時
間が過ぎた。そして、あなたも唾を吐いたその人間じゃない。だと
したら、誰が誰を許せる?過ぎたことは過ぎたことだ」

(バグワンシュリラジニーシ 「般若心経」 p523より)

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nuさんの「神との対話の掲示板」への投稿より


9月11日の事件について

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