一茶
1763〜1827。信濃の人。江戸後期の俳人。江戸で俳諧を学 び、諸国を行脚、晩年は故郷に定住。不幸の中で俗語、方言を交え 、屈折した感情に基づく独自の作風を示した。著書に「七番日記」 「おらが春」「父の終焉日記」などがある。
門々の 下駄の泥より 春立ちぬ 雪とけて 村一ぱいの 子供かな 梅が香や どなたが来ても 欠茶碗 けつかうな 御世とや蛇も 穴を出る 亀の甲 並べて東風に 吹かれけり 夕月や 鍋の中にて 鳴くたにし 夕燕 われにはあすの あてはなき 永き日の 口明け通る 烏かな 長閑さや 浅間のけぶり 昼の月 わか草に 背中をこする 野馬かな ふらんどに すり違ひけり むら乙鳥 雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る やせ蛙 負けるな一茶 ここにあり