正子1997


  「ぼんやり日和」    霧雨のふる  草原の真ん中に立っている    向こうの林が煙ってる  目を閉じると  いちだんと濃い緑の匂い    口ずさむ歌声は  この風景によく似てる    雨ふりはわりと好き  堂々とぼんやりできるから    濡れて光る一本道  あじさいの青
   「部屋」    あの窓から見た景色  はきなれたデニムみたいに  たどりつくと安心した    雨ふりの緑の匂い  変わってゆく光の色  そよそよと舞いこむ風  床にならんで足を投げだして  2人でただただぼんやりと  通り過ぎるものを見ていたね    近くはいいねと  満腹気分で店を出て  夕暮れの香り  ぶらぶら歩いて遠回り    青い青い空の日に  ラジオをかけて車で走る  リズムとともに  景色が得意げに飛んでゆく    髪をなでたり  頬にふれたりする  手の肌ざわり    大泣きしないことには  どうにもならないとき  肯定も否定もなしに  ただただ受けとめてくれたこと
  「小さな木」    地に足をつけて  呼吸して  季節のなかにたたずんでいる    やわらかいほほ笑みは  切れるほどの淋しさを知ってる    凛として そこにいる
  「ガラスのコップ」    うわついた季節がおわって  透明な緑色がふえてきたから  ガラスを磨きたくなる    窓から窓へとぬける風  かわいたメロディ    淡い光の部屋  そっと自分によりそって


   「アーモンド」    ポケットにアーモンドの気分    かりかりかじって  ぶらぶら歩いて    風にふれて  空をみあげて    鼻歌ならして  あてもないこと思ってる    のんきな顔した午前中
  「水しぶき」    雨の跡がかがやく  澄んだ木立が心にひびく    ひさしぶりに  水しぶきあげてかけてゆくもの
  「食器屋」    あてのない あったかさを  棚にならべて    まだまだ不安定で  メチャクチャに泣いたりするけど    コーヒー飲んで ホッとしたり    空を見あげて スカッとしたり
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