たぼー2さんの詩
南東 緑風
やまなみ はるか 1996.7.19編 ずっと南の方に 風の見える丘があります 僕が着いたのは夜だったので 真っ黒な緑色だったように思えます
ひなたぼっこ ねこ ねこ ねこさん こんにちわ 僕の笑顔をあげるから 元気をわけて くださいな お日さまぽかぽか花咲く野原 ちょうちょところころ遊んでさ
その犬は吠えませんでした もう まっ暗だったけど ちっちゃないぬの おっきな目が なにかいいたそうだったので 草木にかこまれた小さな坂道に 僕もこしかけてみることにしました きれいな毛なみに手をあてて 遠く下のほうにたくさんのあかりを見ました せいたかの葉っぱはまっ黒になって 両側から僕らにおおいかぶさろうとしたけど いぬくんの背中はあったかくって やっぱり空は高く淡く光っているのでした
仮面 はずせるものなら、はずしてごらん その仮面を そして 見せておくれ 君の素顔を はずせるものなら、はずしてごらん 汗も涙も流すその仮面を 目も口も閉ざせるその仮面を はずせるものなら、ね そうさ君は あまりにも長くそれをつけていた もはやその肌は あたたかい光にも すずしげな風にも ひとつぶの涙にも たえられないのだろ いやそれとも その仮面の下にあるものや 仮面をつけていることでさえ 忘れてしまったのかい 大義名分は 自分を守るため。 幾度にも塗り重ねられた その仮面が 重くなったら
哀楽 あんまりいい夢を見た朝は あんまり悲しいと思いませんか 目覚めてしまった後悔と 一日が始まるという事実に
Snow White 呼吸が 止まる 頭の中 言葉が舞い 仕様のない条件反射 でも君は傘に隠れて 気付かないとでも思ったのか でも視線は絡み合うことなく 細い道を僕等 擦れ違う 僕だけが振り返り この両の腕の隙間を その柔らかな背中のみが埋め得た 傘? 拡がる二人の間に 白が流れ込む ああ それでも僕は君が好きなんだね やわらかな緑に腰を下ろすと 視界を埋める花吹雪 花見 花札 花見で一杯 とてもしらふじゃやっていけない 何故 冬の次は春なんだろう 新しい息吹が妙によそよそしかった 次に出会うときには 魔女も小人もいやだな 目をそらさずに 微笑えたらいい
今 この手にあるもの ふくらまそう ふくらまそう 息の続く限り ふくらまそう ふくらまそう はきれんばかりに 透けて 重さを忘れたとき それは 風の船になる ふくらまそう ふくらまそう もっと大きく ふくらまそう ふくらまそう 風に舞うまで
冬路 連れて来なくてよかった 寒いから 木枯らしがひどく意地悪で 皆肩をすぼめて歩いているから 君の話をしよう 痩せ犬がへたりこんでいたら 猫がくしゃみしたら 君の 柔らかな毛並 ビイ玉の景色 本当によかった 君の瞳には ビイ玉色に光る 海と太陽がよく映える 黄緑の風 ふわり ああ僕は 鉄の車を駆り 満員バスの排ガスがあたたかくて アスファルトの上ずっと追っかけてる そして君の毛皮ときたら 同じ きれいなばっかりで 雨風にばらばらに擦り切れるのを 同じ空の下 見たくはないから だから例え 君が餓死しようとも 引き千切られても くはないから そして僕を 空の下 風 だから 君の話をしよう 雪の玉は 君を とかすだろう 僕を とかすだろう そしてつもるだろう
悠野 疲れている 上る階段 最後の一段 つまづき 咲いた花がすきだ それはいのち みつめて ささやき 聞かぬふりして った てしまった 僕は一歩踏みまちがえた もう 花がすきだ ささやき合う 揺れて いつまでも 水は 転がり落ちる僕の 洞窟の奥底に まだ 咲いているのか ひかって いつまでも 匂い はるかに 水 いらない
言伝 ゆらゆらと なにを思って舞う もしあなたがつらければ 落葉と一緒に燃やして下さい 一緒に空に帰してやって下さい きっと 帰りたがっているから きっと それは潤んだ春の朝 ただ一個の欲望として現れ それは風の乾く頃 見えてしまった 緑の溢れる季節から 知っていた たのだけれども 己が力も 空の息吹も 大地の夢も 全部全部 ていたのだけれども そして 失うことも それでもなお ゆらゆらと 何を願って舞う だからもしあなたが くなければ 朽ちるのを許して ぬくもりに朽ちて 溶けて染みて そしてらまた 長くかかるとしても だから コンクリートの上にだけは落とさないで アルバムに収めたりしないで 帰りたがっているから きっと帰るから そしたらまた 萌える日が来るから きっと
雪割 やあ まぶしいね どうして花が咲くのかを考えた事がありますか 大地と光の恵みを思いきり吸いこんで たとえばあの桜の樹 空にひろげた両手はこの季節の話題を独占して あなたがもしお酒をのめないとしても 大きなてのひらに包まれたくなるでしょう 香りたつ舞をくぐり抜けて 今 見えませんでしたか たとえばあの白い花 うっそうとした草木に埋もれ 花の名に詳しくない僕に見つけられて 湿った土の匂い 手を伸ばしかけたとき ほら 見えたでしょう まぶしくて目が閉じれずに 大きく息を吸いこんだ時の鼓動を 覚えている 枝葉が震えるのが怖くて 叫びをしまいこむ その瞬間の高鳴りを 覚えている
詩の部屋へ戻る ホームページへ戻る