うつろい

砂時計 止められもせず 人生の 美しきとき ただ落ちてゆく

それぞれの 想いをのせて 流れゆく ただその時を 共に過ごせし

移ろいて 確かと見ゆる ものよりも 人の心の 常なるを知る

もてあます 時間のあると 思えども すぐにも過ぐる 人生のとき

秋風に ゆったり流れる 白き雲 時は流れて 雲は変わらず

明らかに あったと思う 過去さえも あったかどうか 神のみぞ知る

止めてゆく 人を間近に 感じつつ 改めて問ふ この世の無常

気がつけば 季節は流れ 繰り返す 菅生の山に また子供たち

いつか来た 記憶を辿り 訪ぬれど 過ぎ去りし日は もう戻らない

あの夏に 救いし蝉は いまいづこ 記憶の中に ただ生きるのみ


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