オーストラリアの定番

ある日の朝食時、いつものようにシリアルを食べていると、子供がパンを取り出して、何かをぬって食べていた。一見するとチョコのように見えたが、その瓶には、『Vegemite』(ベジマイト)と書いてあった。なんか見たことないものだな〜と思っていたら、お母さんが、"試してみる?"と聞いてきたので、食べてみることにした。

パンにつけようとすると、"端に少しだけつけて食べてみろ。"と言ってきた。

どんな味がするのかと恐る恐る一口食べてみると、"マズイ"と思わず言いたくなるようなまずさだった。

しかし、このファミリーはみんなおいしそうに食べていた。どういう味かと言うと、甘くもなく、辛くもなく、痛かった。そう、舌がしびれるような感じがした。

オーストラリアの子供たちは、小さいころから無理やり食べさせられるらしい。

オーストラリアと言えばベジマイト、ベジマイトと言えばオーストラリアだそうだ。

僕が食べたとき、お世辞で"おいしい"なんて言おうものなら、毎日食べさせられそうだったから、素直にまずさを顔に出した。そのおかげで、それ以来誰もすすめなくなった。

というよりは、みんなは僕がこういう反応をするのを知っていたのだろう。なぜなら、僕が一口食べる時、みんなの目がわくわくしているように見えたからだ。