スパイ事件簿


ESPIONAGE SCRAPBOOK


Since Feb. 1999

Update 28 Feb. 2003

はじめに

 外国のために、非公然又は非合法に行われる各種の情報収集、工作活動を一般に「スパイ活動」と称し、そうした活動に従事する者をいわゆる「スパイ」と称している。
我が国における典型的なスパイ事件としては、戦前のゾルゲ事件が挙げられるが、戦後においても、我が国の置かれた国際的、地理的環境から、ソ連、中国、北朝鮮等によるスパイ活動が多く、また、複雑な国際情勢を反映して、我が国を場とした第三国に対するスパイ活動も、ますます活発に展開されている。
従来のスパイ活動は、我が国の政治、経済、外交、軍事等に関する各種情報、在日米軍情報を入手するものや、我が国を場として、米国、韓国等の政治、経済、外交、軍事等に関する情報を入手したり、日本あるいは韓国内にスパイ網埋設を図るものが中心であった。
 最近のスパイ活動は、それらに加えて、我が国の各界に対する謀略性の高い政治工作や、我が国の高度科学技術に重点を置いた情報収集、汎用技術を体現した高度科学技術機器の不正出工作のほか、ヨーロッパ、東南アジア等を拠点として、日本人を利用した海外における対日本、韓国工作等、様々な目的や方法により行われている。
 スパイ活動は、国家機関が関与して組織的かつ計画的に行われるため、潜在性が強く、その実態把握は困難を伴う。また、我が国はスパイ活動を直接取り締まる一般法規がないことから、スパイ活動を摘発できるのは、その活動が各種の現行刑罰法令に触れた場合に限られる。
 このような条件の下で、ソ連、東欧、中国、北朝鮮の国家機関の関与したスパイ活動に対して、第二次世界大戦後多数の諜報事件(レポ船事件)、ココム違反事件等のスパイ事件が検挙されたが、こうして明るみに出たものは、氷山の一角にすぎない。
 スパイを摘発しその暗躍を防ぎ止めるには、国民の防諜意識の高まり、国の機密を守ることの必要性の認識が基盤となる。こうした観点から、我が国に対するスパイ活動に関心をもたれる方々の参考になればと思い、過去に検挙されたスパイ事件の事例をまとめ公開するものである。

1999年2月 諜報事件研究会



この内容は諜報事件研究会が作成しました。
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