6/8/1999
私はGS映画の評論なんて出来るほど観てないんだけど、スパイダースの映画をビデオにしてもらったんだから書かないわけにはいかないでしょう。まあ、ちょっとくらいはね。
●●● スパイダースの大進撃 ●●●
スパイダース映画第2作です。
これはただのアイドル映画と済ませてしまうには惜しい出来です。ビートルズの映画をかなり意識してつくられているんですが、それがいい影響をもたらしています。パッケージにあるかまやつひろしのコメントでも明らかなように「HELP!」を参考にしており、例えばメンバー一人一人に比較的わかりやすいキャラクターづけを心がけた所などが成功の一因でしょう。「俺ずっと黙ってたけど・・・」「俺は無口なんだよ」という台詞を加藤充のために準備しているところなど、笑ってしまいます。
この映画が成功している要因をさらに挙げると、観客に「メンバーの一人になりたい」と思わせるような所ではないでしょうか。タイガースの「世界はボクらを待っている」にはこういう感覚はありません。あれは沢田研二の映画です。あれを観てもタイガースのメンバーになりたいとは思わないでしょう。スパイダースの映画は、スパイダースというグループのイメージを膨らませることに成功しています。これは堺正章、井上順のふたりだけでなく、井上孝之とかまやつひろしに負うところも大きいです。
井上孝之は演技に関しては見所がないんですが、演奏シーンで光っています。Tボーン・ウォーカーかジミ・ヘンドリクスかといったアクションはどこで仕入れたんでしょうね?
かまやつの方は名脇役です。車&ロック担当、知恵者という位置づけを与えられてさらりとこなしていますね。うまく力が抜けていて素養を感じさせます。
準メンバーとしてマネージャー役の和泉雅子の存在も貢献度大です。60年代のポップ・カルチャーといえば、ステレオタイプでいいのでポップな女の子を入れないとさまにならない所がある。それを一手に引き受けて、わざとらしい役所ではあるものの、明快に演じたことがこの映画の歯切れのよさにつながっていると思います。
最大の魅力は堺正章と井上順のふたりのコメディアンによる笑いの部分ですけども、演技とばかりは言い切れない呼吸の掛け合いはさすがです。楽器を持たないヴォーカリストが二人いるバンドで成功例は少ないと思うんですけれども、映像を見ればスパイダースはこの二人が揃っていることがむしろ重要だったと理解できます。
今見るとわかりにくい所もあるのですが、大した問題ではないでしょう。
ビートルズ映画が楽しめる人にはスパイダース映画も楽しめるとまで言ったら言い過ぎかな?
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