PLASTICS IN EUROPE 2
![]() Chica & Ma-chan |
飛び交うつばきは歓迎のあいさつ? ぼくが見た最初の公演は、5月2日のアムステルダムのパラディソ(パラダイスの意?)で行われたコンサートだった。オランダでは、4月30日が女王の戴冠式記念の祝日であり、続いて名産のチューリップに関するお祭りの季節とかで、アムステルダムのホテルはどこも超満員。街中が観光客でにぎわっていた。アムステルダムのダウン・タウンを歩いていてもうひとつ目立つのは、今はもうどの国に行っても非常に少なくなったヒッピーふうの若者が、やたらたくさんいることだ。これはオランダがマリファナの規制が最もゆるい国であることと無縁ではないだろう。北国で、日が暮れるのが9〜10時ごろと遅いこともあって、ダウン・タウンは深夜まで東京の新宿の夜を思わせる人手である。酔っぱらった若者が路上で気勢をあげているのは、日本の盛り場のようだ。
さて会場のパラディソは、レンブラントの絵画コレクションで有名な国立博物館と運河をはさんだ対岸に立つコンサート・ホールだ。中に入ると学校の体育館か講堂のようである。一階の片隅にバーがあり、フロアにはテーブルといすが置かれているが、演奏が始まるとみんな立ってしまう。二階は回廊式になっていて、舞台を上から見下ろせる。立見になれば2千人くらいは入りそうだが、プラスチックスの出た夜は、ぼくの概算では千数百人、会場がほどよくいっぱいになるくらいだった。この会場では、地元のロック・バンドのほか、ロカビリーのストレイ・キャッツ、レゲエのカルチャー、フォルクローレのメルセデス・ソーサなど、いろんなタイプのミュージシャンがプラスチックスと前後して公演している。 |
![]() live@Paradiso, Amsterdam |
クラッシュとポリスを足して3で割ったような地元の前座バンドの演奏が終わって、プラスチックスがステージに立ったのは、夜の11時過ぎである。オープニングは「コピー」。マーチャンが親指ピッキングのベースの強いリズムを弾き出し、トシがパーカッションを担当し、途中シマのリズム・ボックスのドラム・ソロまで飛び出す。「コピー」の演奏は、2年前に発表されたものに比べるとすっかりたくましいファンキーな演奏に生まれ変わっている。日本から来たニュー・ウェーブふうバンドという物珍しさと、ドラムなしという特異な編成にとまどいがあるのか、観客の多くは体も動かさずにじっとステージをみつめていたが、突然プッツリと切れるように思いきりよく演奏が終わると、一瞬あっけにとられたような間を置いて、拍手と歓声を送り始めた。
「デリシャス」「グッド」「ピース」など、演奏が進むにつれて、リズムに合わせて体を動かしたり、踊りながら聴いたりする人もあらわれて、いい雰囲気になる。途中、ステージの前に陣取っていたパンク少年(後で聞くと、ドイツから遊びに来ていたそうだ)たちの間から、さかんにビールのあわのようなものが、ステージの上のメンバーに向かって飛んでくるようになった。あまり勢いよく飛ぶので、ぼくにはビールのあわに見えたのだが、実はそれはパンク少年たちが飛ばすつばだった。なにしろそのつばはステージ後方でキーボードを弾くマーチャンとシマのところにまで届いたくらいだから、たいした飛距離!! |
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