Go home Go index Go English


PLASTICS LIVE@YANEURA 12/May/'79


Plastics@Yaneura
 5月12日の夜、渋谷の屋根裏でプラスチックスの演奏を見た。

==略==

 まず、佐久間正英と島武実が舞台両脇の席につく。ピアノのようなシンセサイザーのシンプルな演奏が聞こえてくる。演奏というよりは単音の連続といったほうがいいかもしれない。次に、そのリズムに乗って、残りの3人のメンバーが立見客の間をしずしずと通り抜けてくる。
 その姿が異様である。といっても、べつにウルトラマンのような格好をしているわけではない。ちょっと風変わりな衣裳にパンク調の逆立った髪。女性ボーカリスト(注:チカ)は細身のサングラスをかけ、男性ボーカリスト(注:トシ)の服の腕の中では小型懐中電灯が光っている。歩き方や動作が分解写真のようにギクシャクとしている。客席が一瞬息を呑んだようになる。しかし次の瞬間には、あちこちから笑い声があがるようになる。

 やがてリズムボックスが、ズンズンチャッズンズンチャッというドラムのリズムと均等な8ビートのハイハットの音を伴いながら空気をふるわせて入ってくる。"トーキョー・バンザイ"というかけ声と共にギターやシンセサイザーも加わって1曲目の「TOKYO BANZAI」がはじまる。女性ボーカリストがエクセントリックな高音の声で叫び声をあげながら、透明なスティックでシンドラムをゆっくりした動作で叩く。リズム・ボックスの音は予想していたより複雑。ギターが典型的なロックンロールのフレーズを短く入れる。

 ドイツのシンセサイザー音楽やパンク・ロックの一部にも通じる無機的なイメージが喚起される。デジタルなリズム。しかもいっさいがっさいが軽くて薄いのだ。このあたり電卓の宣伝文句に近い。
 歌の大半は英語もしくは日本語のチャンポン。いずれも大変シンプルな歌詞で、その割には聞きとりにくかったが、英語ぽく迫ろうとして気持ちの悪いイントネーションになるのではなく、日本式の英語に開き直ってブツ切りでうたっているところがかえって新鮮である。たとえば「COPY」という歌の頭の部分はこんなふうだ。

==略==

 以下、"輝けコピー"とか"ぼくらがコピー"とか"さすがはコピー"といったフレーズも登場する
 歌詞の引用だけではニュアンスが汲み取れない部分あるが、物真似(コピー)文化と言われてきた東京の文化に対する複雑な気持が込められていることは明白である。しかも彼らは、リズム・ボックスの送り出すサウンドに乗って、機械体操のように動きながら、ほとんど楽しそうに"ぼくらがコピー"とうたう。
 これはマゾヒズムだろうか。
 しかしそこには自虐の重さや暗さはまるでない。あっけらかんとしている。書類を複写機でコピーしたら、オリジナルとは別のものがコピーされて出てきてびっくりした、というおもむきである。


To be continued.....


Mail
When you have comments or further information, mail me please!