もう春だとは言え、久留米では朝6時はまだ暗い。雨もかなり降っている。その中をごそごそ起きだして、制服にレインコートを着て校内を行進している集団がいた。我々卒業前の修学旅行研修旅行に出発する面々だ。こんな早朝からの活動ではあるが、皆の表情は、宿酔でボーっとしているのを除いては一様に明るい。まだリゾートの季節でないとはいえ、南国沖縄への旅行には心を浮き立たせるものがある。しかも教官からの指示が:
「たっぷり民生協力して来い(金を落として来い、の意)!」
ならば、従わないわけにはいかない(笑)。昼間は研修で拘束されるとはいえ、夜は深夜まで外出可。皆の心は既に国際通り。張り切っていくぞ!
久留米から、官用車(人員輸送車1号バスの事)と民間から借用したバスで一路福岡空港へ。早朝だけに高速も空いており、かなり余裕を持って空港に到着できた。こんなんだったら、もっとスピードを落とした安全運転して欲しかったな・・・。
福岡空港から那覇空港までは約1時間半のフライト。那覇はあいにくの雨で視界が悪く、着陸する寸前まで地上の風景が見られなかったのが残念だ。那覇空港は最近改装したばかりで、非常に広くて快適。これもサミットのおかげだろう。ここから市内へ伸びるモノレールは現在建設中。空港前でバスに乗り、那覇駐屯地へ。
那覇駐屯地は陸・海・空が大体一つ所にまとまっているが、空港に隣接した空の基地から陸の駐屯地までは少し距離がある。晴れていれば歩いて行けない距離ではないが、雨のこともあるしバスで移動。駐屯地で改めて沖縄戦の経過について説明を受ける。那覇駐屯地には沖縄戦紹介用のジオラマがあり、それを使った説明は非常に分かりやすかったが・・・部屋を暗くするのは居眠り防止上問題ありだな。ちなみに説明のテープで使われていたBGMは、「1812年」と「ワルキューレの騎行」。一般人向けの説明にも使われるだけに、格調高くまとめたのだろうか?校内での授業で使われた説明用テープでは、隊歌「戦友」と「海ゆかば」が使われていたが・・・。ところでそのジオラマ室に入る経路には両軍が使用した砲弾などが展示されており、こちらの方もゆっくり見たかったが、時間の関係で断念。バスに戻って食事になった。
食後かなり時間が余ったため、駐屯地内を散歩。こういうときにまず行くのはPX(売店)だが、残念ながらこの日は日曜日でPXはお休み。自販機しか開いていない。時間をつぶすものが何もないので、広報室でひたすら第一混成団の広報紙を読んでヒマをつぶす。しかし沖縄での広報活動は大変ね、特に陸は・・・。
・・・しばらくして、午後講話する予定の元第一混成団長到着。さすがに忙しいらしく、他のパーティーを途中で抜け出してきたという。そういう忙しい人の講話途中で寝てはマズイ。でも「寝てはマズイ」と思っているほど居眠りしやすいんだよな・・・と考えていたが、見事に杞憂。戦争中や戦後の自分の経験を元にした講話の内容も、話し方もとても面白く、引き込まれているうちに2時間が過ぎてしまった。やはり人の上に立てる人は違うよな・・・。その後夕食時にたまたま選ばれて、この方と会食する機会があった。こちらから話すことはほとんど無かったものの、講話では聞くことの出来なかった話もいろいろと話していただき、非常に印象深い会食だった。F江先生有難うございました。
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