MinMin's Diary
遂に三月です。
お雛祭りももうすぐですね。
ところで、名前ってなんなんでしょう。
ここで私はMinMinですが、日本で普通に生活している時には日本人の名前です。
たとえば山田花子とか、音無可憐とか...(お笑い系に走ってるな)
でもって台湾では日本語の名前が長いから中国語の名前を時と場合によっては使ってみたりします。
説明し易いしね。「双木林」とか「木子李」とか。
山田花子程度なら説明し易いけれど、畑冴子なんて名前だと...中国語で使える漢字は「子」だけ...。
火田牙子になるのがオチ。
でもね、おかしいのが、中国語の名前で日本語の文章を書いていると粗探しをする人が登場すること。
日本語の名前さえ使えば「日本人」という証明になり、書いている日本語は「問題なし」と判断される。
ところが中国語の名前で書くと「見苦しいことこのうえなく」、「商品として使うには問題があり」、「書いている本人も自分の文章に問題があるくらい解る」だろうという批評をいただくこともあるのです。
ずっと前に日本人の名前で「銀世界」とかいう映画の本に投稿している人がいました。
その人の書いた手紙をそのまま掲載していたのだけど、仮に日本人だとしたら海外に長く住んでいる人か、日系人だろうなと思いました。日本語ネイティブの書いたものではないのです。
日本語ネイティブが日本籍ばかりでないのと同様に、日本籍であっても日本語ネイティブでない人もいるから、「日本人が書いたものじゃない」と言い切れないのです。
逆を言えば、中国語の名前を使っていても、日本語を外国語として習って日本語の文章を書いている人ばかりじゃないという風に考えることも出来ます。
在日韓国人の友達は韓国の名前ですが、日本語ネイティブです。彼らにとっては韓国語は「母国語」であっても後天的に修得した言語です。
名前って記号だと思います。
仮に私がキャサリン・スティーブンスなんて名前で日本語を書いて、「ひらがなタイムズ」だかに掲載していたら、みなさん、どう思うでしょう。
あるいは李淑蘭という名前で日本語を書いていたら、どう思うでしょうか。
確かに、台湾ではある程度日本語が書ける台湾人がネイティブチェックも入れずに、自分の書いた日本語を発表してしまうケースも多いです。
目を覆うような日本語を見かける時もあります。
ネイティブチェックぐらい入れろよなぁ...とも思います。
でも、だからといって、中国語の名前を使っている人は全て台湾人で、故に日本語には絶対に問題があるという思い込みはあまりにも単純じゃないでしょうか?
台湾人に正しい日本語は書けるはずがないという思い込み。
そのように日本語を教えているような立場にある人が思って見ているとしたら、その人は教師としても失格ではないでしょうか。
それは一種の人種偏見だからです。
「○○人だから」とか「○○人の名前だから」という理由だけで、相手の語学能力を判定するのはあまりにも浅はかです。
私の以前の同僚は中国大陸で育ちました。
中国人が驚くような美しい普通話を話します。
しかし、彼女の日本語は後天的に習ったものでした。
様々な事情で日本人の両親の代わりに中国人の養育係が彼女を育てたからです。
日本人の名前で日本国籍の彼女が日本語に四苦八苦するのを「どうして?日本人なのに」と無神経に言う人達。
一方、流れるような美しい普通話を語り、中国語の読み書きは中国人留学生に劣らないだけの能力を持っているために「本当は中国人?」なんて言う人まで出たりして。
あぁ、くだらない。
名前がなんだというのです。
国籍がなんだというのです。
言語と民族から由来する名前と国籍は一致してないことがままあるのです。
私は台湾のものを書く時は「台湾人の中の一人」という気持で書きます。
たとえ台湾の国籍を持っていなくても、台湾人社会の中で生きている「私」が感じていることを語りたいと思います。
しかし、たとえ「私」が書いているとしても、筆者を記す「記号」とするには、日本名では誤った印象を与える可能性もあります。
そこで台湾で生きる私が書いたものということで、敢えて中国名を使うのです。
それが解らずに、まんまとこちらの計略にひっかかり、台湾人が書いたと思い込んで、「日本語が変だ」だの「このまんまじゃ使えない」だの、勝手なことを言う人達。
挙げ句は「日本での国語教員の資格を持った人が知り合いにいるから、こんなのを使うくらい人手がないなら紹介する」なんて言い出す人も出る始末。
お生憎様。
私、日本の中学・高校の国語と英語の教員資格なら持ってます。
学校じゃないけど、教えてもいました。
こういう人って、なんでも「肩書き」しか信じないんですね。
なんでもかんでも「記号」しか信じない。
中国名という記号だけを見て、台湾人と判断する。
台湾人だという記号だけで、まともな日本語が書けないと判断する。
日本の国語の教員という記号を見て、日本語の文章で商品になるものを書けると判断する。
それなら日本の各学校にいらっしゃる国語の教員全てが「記者」になれるのでしょうか?あるいは「記者」は国語の教員の資格がないといけないのでしょうか?
それなら、せいぜい、御自身の身辺を立派な記号で包まれたらよろしいでしょう。
また、日本人であるという立場だけを利用したような仕事ぶりの日本人に、もっと目をむけて批評した方がよろしいんじゃないでしょうか。
日本人だというだけで、台湾でなら無資格で出来る仕事を行き当たりばったりでしているような人達の方こそ、問題じゃないでしょうか。
「日本人」という記号しか持たず、その記号によりかかって台湾では「先生」などと呼ばれている彼らは日本に帰った時に何があるのでしょう?あるいは日本にいたとしたら何が出来たのでしょう?
記号にしか頼れない人達の判断力の無さに呆れる次第です。
台湾人に日本語で論文は書けても散文は書けないと言った人もいます。
散文は感性によって書くものでしょう?不可能ではないと思います。
多くの「台湾人」が書いた日本語の散文で胸を打つものは沢山あります。
そういう発言をする人は、恐らく文章を書く感性のない人でしょう。
感性は言語を越えます。また、国籍が台湾だからとて、日本語がまともに書けないという考えは多くの在日台湾人に対して失礼でしょう。
つまりは、国籍が問題なのでなく、感性の問題なのです。
あ〜〜〜〜、とにかく、「記号」で判断する人が多すぎる。
自分の目で判断できない人が多すぎる。
おひな祭りですね。
関係あるのか、ないのか知りませんけれど、ひなのちゃんとIZAM君が結婚されましたね。
もしかして結婚式には二人でウェディングドレスを着るとか?(^^;
「李香蘭の気持」...という感情が生まれる時があります。
「李香蘭の気持」...それは行き場のない切なさです。
日本人でありながら中国名を名乗り、中国人として振る舞っていた李香蘭。
日本人としてならば当たり前の言動をしているのに、「中国人」という理由だけで叱責を受ける。
日本人でありながら、他の日本人の「中国人」に対する理不尽な差別を体感する。
日本人であれば問題にならない言動が、中国人であるがゆえに叱責されるという民族差別を肌で感じる。
同じように差別されている中国人の仲間と一緒にいても、その時には「日本人」であるが故に、彼らに対して申し訳ないという思いを抱くことになる。
既に中国人の社会にすっぽりと入り込み、中国人と同じ目の高さでものを見ていた李香蘭にとって、「中国人だから」という理由だけで彼らを下に見る「日本人」は同じ国籍を持っている存在であっても、決して「仲間」には思えなかったでしょう。
そうではあっても、「日本人」というバックグラウンドは変えられるわけもない。
恐らく、彼女は「できることならホンモノの中国人になってしまいたい」と思ったのではないでしょうか。
日本人の両親や日本人の家族を持つこともない、100%中国人のバックグラウンドしかない一人の女性になれたら、楽だったことでしょう。
彼女にしてみれば「日本人」という、自分のバックグラウンドに連なる人達が、自分が生きている社会の構成員である「中国人」を、「中国人」であるという理由だけで差別しているのを感じることの辛さは、ただ差別される者以上に辛いものだと思います。
何故ならば、「差別する側」に自分も属しているからです。
差別されることが辛いのではなく、差別する側の人間に結局は自分も見られてしまうことが辛いのです。
李香蘭の気持...中国と日本の二つの国の間で揺れた心。
中国の人々と共に生き、中国の大地に生きているという実感がある。
一方では祖国日本に対する愛情もある。
二つの国を同じように愛せることは普通なら素晴らしいことなのに、日本の人々の中国人蔑視のために行き場のない哀しみを生み出す。
彼女にとっては日本人も中国人も同じ目線にある対象なのに、一部の日本人にとっては中国人が中国人というだけで差別の対象になったために生まれた哀しみ。
彼女の心の中に生じる行き場のない切なさ。
中国にも日本にも全ての心を委ねられない。
台湾のことをよく知っているような顔をして、台湾のことを口にしたり、書いたりしている日本人でも、「台湾人」と思える相手から、「日本人」が言ってくるようなことを言われると、思いもかけぬ失礼な発言で応酬する人がいます。
「台湾なんて嫌いだけど、有名になるには手っ取り早いからね」なんて発言をしていた男が「僕は台湾が好きなんですよ」なんて言っている...。
「台湾人は馬鹿だから、自分達日本人が教えてやんないと...」なんて平然と言ったりする...。
どんなに上手に取り繕っていても、ふとした拍子に台湾人を見下している深層心理が見えるのです。
「李香蘭の気持」を持つ私にはそれが見えるのです...。
minmin@geocities.co.jp