2月中旬、某東大テニスサークル出身のご夫婦と一緒にサンノゼで行われたテニス・トーナメントを観戦に行き、Agassi v. Rusedskiというものすごい打ち合いを目のあたりにした辺りから、再びテニス熱が湧いてきた。そんな頃、ふとしたきっかけから、以前から耳にしていたが実態が掴めなかった日本人テニスクラブをついに発見、仲間に入れてもらった。このクラブは、地元に定着している日本人の方が多く、バークレーの学生は自分一人。日本食屋さんとか、コミュニティ・カレッジの教授とか、コンピュータ・エンジニアとか、世代も仕事もばらばらな人々と出会えるので大変楽しく、今では毎週のように通っている。いつも快晴の空の下、テニスはやっぱり面白い。日本で、会社や学校の先輩達と、テニスを通して交流していたのが懐かしい。
丁度同じ頃、転職を果たしたばかりの日本人Hさんと、彼女の友人のアメリカ人弁護士2人と夕食をする機会があった。弁護士は2人とも東京で働いていたことがあり、日本の現代(!)文化にもかなり詳しい。硬軟取り混ぜた話題は、「企業の論理」から「何故、白人男性にはアジア人女性しか愛せないタイプが多いのか?」にまで及びものすごく刺激的。でも、密かに嬉しかったのは、ジャケットを着てサンフランシスコ都心のフレンチ・レストランに行ったこと。バークレーでの学生生活は気ままで楽しいのだが、時々、都会で働く社会人しての自分を探したくなる。
大学の方では、責任者となった学生の水曜昼食セミナーを2月末からいよいよ開始。アーバンデザインとか不動産開発とか、都市計画の専門分野からトピックを選んで、学生同士で仕事経験や研究成果を交換し合うというもので、雰囲気はこの上なくカジュアル。「ふーん、あいつはこんなことを知っていたんだ」という発見の連続。改めて、クラスメートの専門性の雑多ぶりに感嘆。仲間にも結構好評で、来学期以降も続けたいという希望も聞き感無量。
そうこうのんびりしている内に学期も半分を過ぎ、日増しに忙しさが増してきた。修士論文の最終下書きの提出は3月末で、それに向けて全力投球。市のプランナーとヒアリングを重ねる内に、内容が膨れ上りアップアップに。テーマが大きすぎたか?と悩みつつ、毎日朝から晩までコンピュータとにらめっこ。春休みに入り、一気に書き上げるというところで、友人2人の来訪。訪ねて来てくれたことの嬉しさと、時間的に追い込まれて神経が高ぶっている自分の狭間で苦悩する。一緒に時間を過ごしたいし、車でなければ行きにくい隠れた名所・迷所を見て、ベイエリアの素晴しさを実感してもらいたいのだが、今回に限ってはそれがあまりできなかった。すごく、心残り。(HさんとKさん、またいつか来てね。)お陰様で、どうにか下書きは締切の日に提出。そして、爆睡。
気が着けば4月。卒業まで2ヵ月、授業終了まで約1ヵ月となり、いよいよバークレー生活も残り秒読み状態。これから先、修論と課題の連続で、あっという間に過ぎて行くのは必至。少し寂しい。でも、卒業後のことを考えると、本当にわくわくしてくる。
一つは、6月上旬にイタリアで行われるワークショップのメンバーに選ばれたこと。これは、バークレー、早稲田、フェラーラの日米伊三大学の生徒25名ほどが、Massa Marittimaというローマの北160kmの街に集まり、同市と市民に対してアーバンデザイン提案を行うというもの。中世の歴史が色濃く残る丘陵都市へ行けるだけでも嬉しいが、そこで地元の人々と触れ合えるとは最高。また、早稲田の人々との協同を通じて、自分の考え方がどこまでバークレー色に染まっていて、またどこまで日本的なのか、確認してみることにも興味津々。
もう一つは、卒業後にそこで働くことを夢見て、ポートランドの自治体と面接をしてきたこと。ポートランドの街は、サンフランシスコよりもずっと小さく、こぎれいで、湿度が適度で、緑が大変多い。(でも、昨年の洪水はひどかった。)ここでは都会の刺激は期待できないけれど、自然と共に暮らすには居心地の良いところ。実は、この街は創造的な都市計画の成功で全米をリードしており、急成長中のハイテク産業と良好な生活とが高度にバランスしているところ。自治体のオフィスを見学したところ、まるで民間企業のように、やる気溢れる職場環境に感動。官僚臭がない!なるほど、創造性はこういうところから生まれるのだと納得。おまけに、先方は本当に暖かく歓迎をしてくれた。そこに自分の身を投じてみたいという希望は、ふくらむばかり。果たして、念願かなうかは、近日中にわかるはず。大きな期待とわずかな不安。でも、自分の将来目標を切り開いて努力している実感は、何物にも代え難い満足を与えてくれる。
明日から、San Diegoで行われる全米都市計画協会のコンベンションに、クラスメート約25人と大挙して参加する。アメリカ人はイベントが好きだ!でも、僕も好きだ!行ってきます!