第3回:「住民参加のまちづくり」をじっくり考える10のヒント

日米台:参加のまちづくり会議 '99
(1999年6月24日〜6月29日)

日本・アメリカ・台湾という社会文化の異なる地域におけるケーススタディの比較考察を通じて、「参加型のまちづくり」の普遍的な要素の整理と個別的なノウハウの抽出を行おうという野心的な会議が1999年6月に東京周辺で行われ、私も事務局の立場で出席しました。 各地域から10名前後の実践的専門家が集まり、各々が20分程度でケーススタディを発表した後、密度の高い議論が展開されました。詳しい会議録は日英両語で後日出版予定ですので、ここでは会議のスケジュールのみ御紹介します。

<会議スケジュール>

本会議
(埼玉)
6月24日 9:00 - 11:40 (1) 社会背景と参加(Social Context and Participation)
 Scott McCreary(US) 環境に関する意志決定における参加と代表制
 Shu-cheng Tseng(台) 社会を強化するコミュニティ参加
 Jakie Kwok/Michael Siu(香港) 香港での高齢者の生活環境づくり
 土肥 真人 日本のまちづくりの社会および空間的背景
 西村 幸夫 都市保全から考えるまちづくりへの参加
12:40 - 14:40 (2) 参加とまちづくり(Participation and Community Development)
 Randy Hester(US) 誰が「コミュニティの変化」を変えるのか?
 Hsin-Jung Liu/Li-ling Huang(台) 参加型の設計プロセスとコミュニティ政治
 林 泰義 参加のまちづくりの発展と新しい日本の社会制度づくり
15:00 - 17:00 (3) 教育(Education)
 Mark Francis(US) 能動的活動家の習慣
 Chao-Ching Yu(台) 子供達から学ぶ
 木下 勇 日本のまちづくり教育
6月25日 9:00 - 11:40 (4) 参加と環境デザイン(Participation and Environmental Design)
 Walter Hood(US)  
 Corrina Kweskin(US) 都市内の小川とコミュニティづくり
 John K.C. Liu(台) コミュニティの創造性
 延藤 安弘 人と環境の交流の質を定める参加のデザイン
 小野 佐和子 偶然性が「質」を変える
12:40 - 15:20 (5) 専門家の活動と特性(Professional Practice and Specialty)
 Michael Rios(US) 参加だけでは何も得られない:まちづくり会社
 John K.C. Liu/Shenglin Chang(台) 国立台湾大学建築計画調査機構の試み(1)
 Jeff Hou(台) 国立台湾大学建築計画調査機構の試み(2)
 浅海 義治 合意形成だけでは不十分
 永橋 為介 浮浪者問題解決に向けたコミュニティづくりとプロセス
15:30 - 18:00 小川町の有機農業を見学
6月26日 9:00 - 11:20 (6) 参加と地域自治(Participation and Local Autonomy)
 Marcia McNally(US) 地域自治と僅かな地域貢献
 Robert Ogilvie(US) 参加と地域自治
 Chu-Joe Hsia(台) 台湾のコミュニティの強化
 卯月 盛夫/倉田 直道 参加の都市デザイン・プログラム
12:20 - 13:40 (7) 専門活動を支える仕組み(System to sustain Professional Activity)
 Laura Lawson(US) 都市農園プログラムの昔と今
 小野 啓子/安藤 徹哉 どうやって参加のデザインを専門家活動に取り込む?
14:00 - 16:30 (8) 会議の総括
千葉 6月27日 全日 千葉三番瀬見学とシンポジウム
世田谷 6月28日 全日 世田谷事例見学とパーティー@玉川まちづくりハウス
6月29日 13:30 - 18:00 世田谷シンポジウム(リンクはこちら

<今後の議論の展開>

まちづくりにおける住民参加の必要性はしばしば語られることですが、様々な角度から掘り下げた議論はあまり多くありません。性急に普遍化・体系化しようとしたために具体性が乏しかったり、始めから普遍化・体系化を諦めたために単なるバラバラなケースの羅列に終わっているものがほとんどだと思います。本会議では、この難しい普遍化・体系化を視野に入れ、3年間かけて議論を進めています。

本年の会議の成果として、次回会議(来年、台湾で開催予定)での普遍化・体系化に道筋をつけるために、参加のデザイン:10のキーワードを作成しました。今後、さらなる議論を進める上で指針となるものですので、以下に御紹介します。

<参加のデザイン:10のキーワード>
  1. かたちは文化をつくる vs. かたちは文化に従う
  2. 地域固有の知恵をいかす vs. 専門家の価値観の主張
  3. ビジョンと参加のプロセス
  4. 社会的文脈
  5. デザインの方法と技術
  6. 制度化/NPOと社会変革
  7. 専門家・市民の教育
  8. コミュニティの能力開発
  9. 政治と民主主義
  10. 市民自治

【まちセン新聞No.23 990730】参加のまちづくり国際交流シンポジウム「環境デザインと市民社会」より引用

尚、昨年のバークレーでの会議の記録(英文のみ、和文なし)は、以下から出版されていますので、御興味のある方はお読み下さい。 Hester, Randolph and Corrina Kweskin, ed.. Democratic Design in the Pacific Rim: Japan, Taiwan and the United States. Ridge Times Press. 1999. (ISBN 0-934203.08.3)

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