メトロやポートランド市などの自治体は、日本などからのまちづくり視察・調査の希望が非常に多く、そのために業務に支障をきたしています(視察・調査受入れを有料化する話もある程です)。私個人も適任者の紹介を依頼されることが多いので、ここにメトロ職員と話し合った「視察・調査団受け入れに関するメトロの方針」をまとめておきます。
自治体は地域住民・納税者のために働いています
はじめに念頭に置いていただきたいのは、メトロ職員は地域住民・納税者の為に働いているということです。地域住民・納税者にメリットをもたらさない仕事は、貴重な税金の浪費を意味します。従って、視察・調査団への対応は、地域住民・納税者にメリットがあるとメトロが判断した場合に限られますし、メリットが期待できず迷惑と思われる視察・調査団は、受け入れを拒否されることがあります。
視察・調査団が与え得る2つのメリット
これは、大きく2つあります。一つは、マスコミや論文発表などを通じてメトロ地域を外部にアピールすることです。これによって、住民が地域に誇りや愛着を持ちうると同時に、観光客や企業などを引き寄せる経済効果も期待されます。二つ目のメリットは、他の地域との情報や意見の交換を通じて、メトロの活動を向上させることです。メトロ職員は、日本など他所のまちづくりや行政から学ぶことで、自分達の業務を向上させたいという希望を持っていますから、皆さんの地域に関する「良質な」情報は最高の手土産になります。なお、これらのメリットは定量化できるものではなく、あくまでもメトロ職員が主観的に判断することになります。
視察・調査を効果的・効率的に行うために
(自分達が上記のメリットを与え得ると判断した上で)視察・調査を依頼する際には、お互いの貴重な時間を効果的・効率的に使えるように、以下のような事前準備を行って下さい。
- 視察・調査目的の明確化
目的の曖昧な視察・調査団へは、メトロ側も何を説明すれば良いのかわかりません。メトロが適当な資料を提供したり、適当な担当者を紹介できるように、視察・調査の目的は事前に明確に伝えてください。「行けば何かが掴めるはず」という姿勢では、物見遊山に終わってしまうことが多く、お互いに学べることは殆ど無いでしょう。
- 質問事項の具体的絞り込み
限られた時間を一般的な説明(メトロ成立の歴史、メトロの組織、成長境界線の定義、廃棄物処理の方法、など)に費やすのは勿体無い話です。これらは、充実したメトロのウェブページで予習すれば十分に理解できるはずです。また、雑誌記事や文献なども調べてください。比較参考用に、皆さんの地域に関する情報を準備したりすれば万全です。
- 言葉の壁の解消
英語で意思疎通ができない視察・調査団には本当に困ります。グループ内に英語に長けた方がいらっしゃらない場合には、通訳をつけてください。なお、通訳が入るとヒアリング時間が2倍近くなるなど、時間効率が著しく低下します。
- 電子メールやFAXの活用
メールやFAXによる対応は、時間を効率的に使えるためにメトロでは非常に歓迎されます。「手紙でなければ失礼にあたるのではないか?」という気遣いは無用です。また、メールやFAXを用意することは、質問事項の具体化にも役立ちますし、ゆっくり辞書を使えるため言葉の問題も少なくなります。場合によっては、電子メールによる数回の質疑応答で、現地訪問が不要になることすらあります。
上記を踏まえ、視察・調査依頼の「簡潔な」メールをメトロの公開メールアドレスへ送れば、できる範囲できちんと対応してもらえると思います。なお、同様のメールを私にお送りいただければ、できる範囲で情報を提供したり、メトロの適任者を御紹介させていただきます。
以上、うるさいようですが、お互いのために必要なマナーだと思って御理解ください。
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