内容は大きく以下の3つに分けられます。
主な論題は以下の通りです。
本科目からは、米国の都市地域開発が土地市場経済に頼る比重は予想以上に大きく、またその市場のコントロールに自治体が非常に大きな役割を果たしていることが理解できました。市場が不完全であることを承知した上で、経済理論を個別のケースに合わせて応用することは、自治体の政策立案及び民間の投資判断の目安として頻繁に行われています。
しかしながら、日本の土地市場メカニズムは様々な社会的要因のために十分機能していないため、その応用の際には日本の実情を十分反映することが不可欠となります。
自分のケーススタディは、オークランド市のベッドタウンであるピエドモント市の住区の形態分析でした。当住区は富裕層ばかりが住む緑豊かな高級住宅地で、市のデザインガイドラインによって住宅の形態が大変厳しく規制されています。また、インフラの整備やメンテナンスも市によって計画的に行われており、それら全体が相まって端正で快適な住環境を醸し出しています。これを裏返せば、市の厳しい都市環境管理の成功は貧困層を周辺に排斥することによって初めて可能となっており、広域レベルでの市の社会的位置付けを微妙なものとしています。クラスでは、デザインガイドライン等による都市環境管理の有効性と社会背景を結び付けて考察した点が評価されました。
数多くのケーススタディを比較検討して得られた結論は、現代の都市地域計画においては「地域コミュニティ」がその根幹を成しており、都市デザインはその形成を支援するための二次的な位置付けであるということです。それ故、都市デザインにおいては、社会、経済、地理的背景に応じて望ましい形態を模索していくことが不可欠です。本科目からはその模索の方法を学び取ることができました。今後の都市地域計画及び都市デザインにおいては、安易に歴史的な都市のデザイン要素を引用せず、より丁寧に都市固有の文脈を読み取る作業が重要になると思われます。
ケーススタディはランドスケープアーキテクト2人を含む4人のグループで行われました。テーマは「都市広場の成功度評価:サンフランシスコ市広場デザインガイドラインとの比較考察」で、調査対象には都心オフィス地区内の4つの広場を選びました。その中の3つは容積率ボーナス制度の一貫で設けられたものです。調査は、最初に仮説を立ててからそれを検証していくという手法で、以下の様な3つのフェーズに分けて行われました。
今回のケーススタディの最大の成果は、この利用者インタビューより考察された以下の2点です。
プレゼンテーションには市都市計画局のプランナーやC.C.マーカス名誉教授など、広場デザイン、研究の第一任者が多数出席し、大変盛況な議論が行われました。デザインガイドラインの見直し提案は市都市計画局に提出され、またC.C.マーカス名誉教授からは本の改訂に協力して欲しいとの要請がありました。
本科目からは、問題点の発見からその検証及び改善提案まで、環境評価の一連の手法を会得することが出来ました。とりわけ、フィールドワーク調査の技術は、とかくオフィスにこもりがちな日本のプランナーに欠けているものでしょう。
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このページは<プランニング・データ分析手法>
本科目は都市地域計画において必要なデータ収集及び分析手法の基礎科目であり、コンピューターを統計分析の「道具」として適切に使いこなすことに主眼がおかれています。担当のJ.ランディス助教授は、社会経済動向の予測及びそれを反映した政策立案の分野で、今後のカリフォルニアの都市地域計画をリードする新進気鋭のプランナーです。それ故、数学的な統計学に過度に陥ることなく、都市地域計画の視点からのデータ分析技術を体得することが出来ました。
本科目からは、米国の都市地域計画の特色である合理的なアプローチを学ぶことができました。数多くのデータ及び統計学を駆使した客観的な分析及び計画は、圧倒的な説得力を持っています。
<土地及び住宅市場経済>
市場経済原理から土地市場のメカニズムを把握した上で、事例を引用しながら実際にはどのような要素によって市場が動いているかを学ぶ基礎科目です。とりわけ、政策及び社会条件から受ける影響に重点が置かれていました。担当のM. スミス・ハイマー講師は、現在も教鞭の傍ら経済コンサルタントとしての仕事を続けていられます。
また、期末レポートでは日米のオフィス市場の動向を、市場経済理論を用いて比較分析しました。米国の郊外化と日本の都心集中という対照的な動向の背景には、両国の社会背景の相違が大きく作用していることが確認できました。
<都市形態及びデザイン理論>
都市のフィジカルな形態の歴史的変遷を、社会、経済、地理的背景から分析し、そこから現代の都市デザインに応用できる要素を考察する科目です。まず始めにケビン・リンチなど著名な都市計画家の都市理論を集中的に学び、その後ケーススタディを重ねてそれらを検証していくというアプローチがとられました。担当のM.サウスワース教授は現在(当時)バークレーの都市地域計画学科長も務めていられます。
<環境デザインの為の調査手法>
都市環境及びプロジェクトの影響を分析、評価する手法を学ぶ基礎科目です。一学期を通じたケーススタディ(フィールドワーク調査)に重点が置かれており、プランニング・データ分析手法の科目と併せて履修することで環境の調査、分析、評価の全容が把握できるようになっています。担当は環境シミュレーションで有名なP.ボッセルマン助教授で、彼は私の学習アドバイザーでもあります。
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