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Volume 3 ~ Issue 8 ~ February 2001
博物館の常識を破る
あなたを音と音楽の世界へいざなう
音楽の家 ウィーン

楽しさと「エデュテイメント」

ウィーン。オーストリアの首都であり、音楽の都として名高いこの街を、毎年、何百万人もの観光客が訪れます。国立歌劇場やウイーン・フィル、学友協会ホールでのコンサートは人気の的ですが、いざチケットをとる段になると、列にならんだりするのはよくあること。そもそも手に入る確証さえないのです。そこで、スケジュールに余裕のない方にも必ずチケットがとれておすすめなのが、最近オープンした音楽の家。当館は、年齢にかかわらず家族で楽しめるよう、音楽の楽しさと「エデュテイメント」を提案します。それは、遊びと楽しさを通して音楽の魅力を知ってほしいということ。さあ、ここで、音楽の世界の新しい発見があなたを待っています。
 

音楽の家は、ウイーンの高級ショッピングストリートであるケルトナー通りのすぐそば、ザイラーシュテッテの歴史ある建物の中にあります。その昔、まさにこの建物で、オットー・ニコライ(18101849)のもと、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団が発足したのです。


音楽の家クイックツアー

当館二階全体は、この建物に歴史のルーツを持つウイーン・フィルハーモニー管弦楽団に関連するフロアです。音の世界への旅は三階からはじまります。胎児の頃経験した無色の音波やオルガンパイプの内部といったものから、東京の地下鉄の音まで、驚くほどバラエティ豊かです。四階はウイーン古典派の音楽家達に捧げられています。このフロアは、生きいきした音の響きと多くの知識を組み合わせたところに特長があります。五階では、従来の楽器の観念を超えた新しい形で、聴覚の遊び心と驚きを体験できます。最も特筆すべきは、「心の森」です。これは、訪れた人の体の動きによって音楽を作ることができるというものです。最上階の六階には、ディヴェルティメントコンサートホールと素晴らしいレストランがあります。レストランからは、古都の家並を見下ろし、シュテファン大寺院を望む一大パノラマが楽しめます。

クイックツアーではなく、本来のツアーに参加される場合は、3時間以上かかることもありますので、スケジュールに充分余裕を持たせてお越しください。ガイドつきのツアーも承ります。詳しくは音楽の家またはウイーンのガイドへ。日本語ガイドのツアーは:wien-jp.com
.


バーチャル・サイト・オブ・ミュージック (日本語)(英語)(ドイツ語

音楽の家のマルチ言語ウェブサイトが開設されたのは2000311日でした。ヨーゼフ・ハイドンの「奇跡」(交響曲第96番ヘ長調Hob.1/96)の初演も1791311日ですが、これは単なる偶然ではありません。このサイトは、音楽の家とはどのような所か、前もって知っていただくためのものです。また、音楽を介したコミュニケーションの提案も行っています。ウェブピアノでオリジナル曲を作ったり、個人的なミュージックメッセージを友達にeメールで送ったりすることもできます。

Brain Opera

ボストンとウイーンの出会い ブレイン・オペラ

誰もが自分で作曲できたら!ブレイン・オペラをもってすれば、それも夢ではありません。ブレイン・オペラとは、マサチューセッツ工科大学(MIT)により開発されたもので、実際のところはテクノロジーと仕掛けの詰まった箱なのです。音楽の家はMITと密接にコンタクトをとっており、音楽のテクノロジーに関する最新情報が、ボストンからウィーンのコンピュータに送られるシステムになっています。

Virtual Conductor

求む!天才作曲家 ヴァーチャル・コンダクター

指揮棒を手にとって、オーケストラを指揮してみませんか?ウイーン・フィルにも引けをとらないアンサンブルです。ぜひ挑戦を!

Mehta and Seigner
音楽の家名誉会長スビン・メータと、
創立の父シュテファン・ザイグナー


音楽に生き、生かされた男

ウイーンの音楽の家はシュテファン・ザイグナーの発案によって設立されました。ザイグナーは信じがたいほどの経営手腕を持ち(彼は、これまで42社を順調に経営または共同経営)、また、音楽を深く愛しています。そして実のところ、音楽―とりわけウイーン古典派音楽―によって本当に命を救われたのです。「病状はかなり悪かったのですが、音楽のおかげで回復することができました。音楽という命綱がなかったら、私は死んでいたかも知れませんね」。この体験が、音楽の家を運営するにあたっての理念の一端となっています。

音楽の家の設立資金はおよそ500万ドルです。ザイグナーは、シーメンス社と地元の保険会社の資金協力を得ることに成功しました。ザイグナーは、彼自身の経営投機の経験を踏まえ、同じ経営者として、彼らにこう助言することができたのでしょう。「スポンサーというものは、無理のない範囲ですれば良いのですよ」と。音楽の家は設立1年目にして既に、ビジネスとして成功するために必要な要素を全て持ち合わせていることが証明されました。これまでのチケット売上枚数は、1,000をゆうに超えているのです。

ウイーン大学医学部・心理学部の伝統にのっとり、ザイグナーは、音楽療法をテーマとする、さらに綿密な構想をはぐくんできました。と同時に、自分が創立した音楽の家がその中で果たすべき役割についても考えています。彼は音楽の家を博物館ではなく、カウンセリングの場に、また、新しい流れを生み出す場にしようとしているのです。

参考のリンク:音楽の冒険 マースィー・メイソンによる記事、シカゴトリビューン20001022日発行


レギュラーベースのウイーン・オンラインに掲載する文章をたんとうしたのはレナ―テ・ムルスさん。ウイーン出身で弁護士です。ウイーンでの新しい発見についての記事を英語、ドイツ語、スペイン語、日本語で作成する作業にも、多くの時間を割いていただきました。ジオ・シティ.comのホームページ「ウイーン・ガイド」や「ザルツブルク・ガイド」の管理も行っています。