イエスの誕生は、なぜ仮庵の祭のときなの?

 ルカの福音書によると、イエスの誕生の六ヵ月ほど前にバプテスマのヨハネの誕生があった(1:36)。ヨハネの父ザカリヤが神殿の祭司の務めの期間を終えて家に戻ってから、妻エリサベツはヨハネをみごもったのじゃ(1:23-24)。つまり、ザカリヤが、いつ務めをしたかが分かれば、イエスの誕生の時期を割り出せるはずじゃな。
 古代のイスラエル神殿では、祭司たちは一年を二四の組に分けて担当することになっておったそうじゃ。つまり、半年ごとに担当の祭司グループが替わったのじゃ。ザカリヤは「アビヤの組」に属しておった(1:5)。歴代誌 24:7-19には、神殿で仕える祭司の組の順番が書かれており、アビヤは第八番目の組となっておる。つまり、アビヤの組のザカリヤが務めをしたのは、第四の月の後半ということになるのじゃ。
 そうすると、エリサベツは第五の月に入った時にヨハネをみごもったことになる。そして、五カ月たって六カ月目に入った時に、イエスの母マリヤがみごもったのじゃな。妊娠期間の二八○日(約九ヵ月と一○日)をあわせると、イエスの誕生はユダヤ暦第七の月の中旬(太陽暦の九月〜一○月)となる。これが、仮庵の祭のときなのじゃ。
 イエスが仮庵の祭のときに誕生されたという考えは、次の事柄とも調和するのお。  まず、羊飼いたちが野宿できる季節は「はじめの雨」と呼ばれる秋の雨の時期(一一月頃)までで、それ以降は寒さのために無理じゃ。もちろん、一二月二五日では無理じゃな。九月から一○月なら、まだ大丈夫じゃ。
 次に、聖書にはローマ皇帝アウグストスが行なった人口調査のことが記されておるが(ルカ 2:1)、ローマへの納税のためであったじゃろうから、ユダヤ人たちが調査に積極的に協力したとは考えにくいのお。しかし、仮庵の休みの期間を利用したのであれば、彼らがそろって自分たちの故郷に帰って行ったのも納得できるのではないかのお。
 古代から定められていたユダヤの三大巡礼祭は、過越(すぎこし)の祭と七週の祭、そして仮庵の祭じゃ。このうち、過越の祭の時にはキリストが十字架につけられ、七週の祭の時には、キリストが約束しておられた聖霊が降られた(ペンテコステ)。キリストが来られて、ともに新しい意味のある時となったのじゃな。仮庵をあらわすギリシャ語「スケーノゥ」は、「ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。(別訳=私たちのうちに地上において仮に宿られた。)」(ヨハネ 1:14)という箇所で使われているのと同じことばじゃ。キリストが誕生したのが仮庵祭の時であるならば、たいへんふさわしい時にお生まれになったと言えるのお。






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