唱歌と賛美歌

 日本の唱歌には、賛美歌と同一の曲を使用しているものが多くあることをご存じかな。  誰もが知っておる『蛍の光』や『むすんでひらいて』の曲も賛美歌として使われておった曲じゃ。(『蛍の光』の曲は元々スコットランド民謡じゃが、日本に紹介されたときにはすでに、西欧の教会で賛美歌として歌われておった。)
 明治時代、政府は日本の近代化のために西洋音楽の教育をしようと、アメリカからルーサー・ホワイティング・メーソンを招いた。このメーソンが熱心なクリスチャンじゃったのじゃ。彼は唱歌集を編集するときに、欧米の教会で歌われていた賛美歌の曲をたくさん取り入れたのじゃな。
 今も教科書に載っておる「星の世界」の原曲は、日本語では『いつくしみ深き』という題で有名な賛美歌じゃ。婚約者を亡くした作者が、その悲しみの中からも「イエス様にまさる友はいない」と同じく悲しんみの中にいる自分の母を慰めるために作った曲じゃと言われておる。
 また、『おたまじゃくしはかえるの子』または『友だち賛歌』として有名な曲は、もともとイエス・キリストの再臨を歌う『リパブリック賛歌』じゃ。
 『アニー・ローリー』や『埴生(はにゅう)の宿』は、『蛍の光』のように原曲は賛美歌ではないが、賛美歌として歌われておった曲じゃ。
 『しゃぼん玉とんだ』のメロディーが、有名な子ども賛美歌『主われを愛す』に似ているのは、『主われを愛す』が唱歌としても紹介され、かなり浸透していたためではないかとも言われておる。
 『故郷(兎追いし〜)』の作曲者岡野貞一はクリスチャンで、教会のオルガン奏者じゃった。『故郷』のリズムは宣教師がもたらした賛美歌のリズムから影響を受けたと言われておる。また、多くの人に親しまれておる童謡『赤とんぼ』の作詞者三木露風もクリスチャンじゃったのお。
 唱歌が多くの人々の心をなごまして来たのは、曲の持つ美しさや暖かさが大きく関係しておるじゃろう。そして、その雰囲気は賛美歌から来たようじゃ。神をたたえるために作られた曲は、日本人の心を動かすものを持っておったということでしょうか

参考:「心のふるさと〜童謡から賛美歌へ(解説)」(ライフ企画カセット)


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