自覚なき怪人福助の被害者 
第三章 新たな自分への目覚め
作・二代目福助


その顔は・・・・
わたしは、その目隠しされた顔に息を呑みました。その顔は紛れもなくわたしでした。
彼女はいつの間にかユキオの顔をわたしの顔に変えていたのです。目隠しで、目元はわからないのですが、顔の輪郭や顎や、口元のあたりの感じは、紛れも無くわたしでした。
彼女は、ユキオをわたしに変えて何をするつもりなのでしょうか。わたしは、固く縛られたまま、彼女のする事をただじっと見つめているしかないのでしょう。
「ククク、どうだい。男に身体を撫で回されるのは。感じているようだな。あそこがはちきれんばかりになっているじゃないか。」
ユキオはその言葉に顔をそむけました。まだ、男としての恥じらいがあるのでしょう。彼女は、そんなユキオの態度には関心がないのか、ユキオの身体を触りまくりつづけていました。
「どうした。猿轡ははずしてやったのだ。声を出してもいいのだぞ。ここには、俺とお前しかいないのだからな。クククク。」
ユキオは必至に声をあげたいのを我慢していました。それが彼の最後の砦だったのでしょう。もし声をあげてしまったら、彼は、ただの淫乱な淫女になってしまう気がするからでしょう。ユキオは、清らかな乙女にあこがれていたからです。なぜそんな事がいえるのか。それは、親だからです。義理といえども、わたしも彼の母親です。
彼が純白を好み、清楚な少女の写真を肌身はなさず持っていることは知っています。そんな彼がいま、見知らぬ男に犯されているのです。(外見はわたしでも、中身は見知らぬ人物なのです。目の見えぬ彼にとっては、わたしではなく、いやらしい男でしかないのです。
彼女に、お知りの回りを触られる度に、彼の苦悩の表情から、ユキオの最後の砦が少しずつ崩れて行くのがわかりました。そんな彼の表情を見ながら、わたしの下腹部にあるあの忌まわしいものが、そそり立ち、雄叫びを上げ始めたのです。わたしと関係ないはずのそれが、わたしの身体の一部として、わたしの秘められた願望を叫び始めたのです。
『やりたい。ユキオを、わたしの姿をしたユキオをやりたい。』
それは決して口に出して言えるものではありませんでした。義理とはいえ、息子と関係を持つなんて許される事ではありません。しかし、わたしの下腹部はそれを求めていました。そして、彼の秘部もそれを求めるかのように蠢いていました。
わたしの変容に気がついた彼女は、ユキオをもてあそぶのを止めました。
「そろそろいいようだな。お前の乙女をいただく準備に取り掛かることにしようか。それではその間、これでも聞いていな。」
彼女は近くにあった、ウォークマンのイヤホーンを、ユキオの両方の耳につけると。ボリュームを最大にあげました。
「準備が終わるまで、それを聞いていな。といっても聞こえないか。さあ、今度は、光江の番ね。まあ、ギンギンにいきり立たせて、いやらしい女のくせに・・・」
彼女はわたしのアレを見て、大げさにそう言いました。わたしの下腹部のそれはそう言われてもおかしくないような状態になっていました。
「でもしかたないわね。光江、最愛の人にあんな姿をされてわね。いえ、ユキオ君と呼ぶべきかしら。ウフフフ。」
「ふぐぐぎぐ。(あなた、なにを言い出すの)」
わたしは、猿轡をされたまま、なぎさに言いました。
「わたしが知らないとでも思ったの。あなた達が無記名で送られて来たお互いのボディスーツを着て入替っている事ぐらいお見通しよ。だって、そのボディスーツを送ったのはわたしですもの。さあ、最愛の光江のあそこに入れてあげなさい。ユキオ君。」
わたしは戸惑いました。わたしがユキオ。今わたしは、母の光江のボディマスクを着ていて、あそこで、恥らっているのがユキオの姿をした光江だなんて・・・この女は何を言っているのでしょう。
彼女に自信に満ちた顔に、わたしは戸惑いを覚えました。そう、彼女が言ったとおり、わたしはユキオ。差出人不明の小包の中に入っていた義母とぼくそっくりのボディマスクを見つけた時、ぼくはためらわずに義母のボディマスクを着ました。それは、ぼくの義母へのかなわぬ恋心を癒すための行いだったのです。ぼくは、義母の下着を着けて、義母の声で、ぼくの名を呼びながらオナッているところを、PTAの会合で帰りが遅くなった義母に見つかってしまったのです。
光江がなぎさに話した事は本当に合った事だったのです。ただし、息子が自分の姿をしていた事だけは伏せられていたのですが、新たな刺激を求めて彼女を呼んだのですが、こんな事になるなんて・・・
その時あまりに信じられぬ出来事に驚き、義母はその場に立ちすくんでしまったのです。そして、自分の姿をしたものの正体に気づいた時、義母は烈火のごとく怒りました。ですが、ボクの義母への気持ちと、もう一体のぼくのボディスーツを見たとき、状況は変わりました。義母もぼくを愛していたのです。義理とはいえ母と子の境を越えられずお互いへの気持ちを隠して生活していた二人の関係が、お互いに姿を入れ替える事によって崩れました。それは、自分ではない安心感からだったのかもしれません。
出張が多い父の留守の間に、お互いに入替り、愛し合いました。若い義母とぼく。それは、少し年の離れた恋人同士。お互いの姿をした奇妙なカップルの誕生。この関係が実はこの女によってもたらされた物だったなんて・・・
「フフフ、驚いたようね。でも、驚くのはこれからよ。これからが本番なのだから。」
彼女はそう言うと、僕に被せていたマスクを剥ぎ取りました。その下から現れたのは、義母光代の姿をしたぼくの裸の姿でした。ただ、義母と違うのは、股間にそそり立つものがあることです。それは、ぼくの意思とは関係なく、いきり立っていました。
「フフフ、これはあの子を求めているようね。いいわ、あなたに与えてあげる。」
身動きのできないぼくを立たせると、うつ伏せになってガンガンに音楽を聴かされている義母の後ろに立たせました。そして、うつ伏せの彼女をくの字にさせると義母の引き締った少年のお尻を持ち上げさせると、そこにぼくのペニスを突き刺しました。義母はぼくのペニスが彼女の後の秘部を貫いた時、激しく蠢めきました。それは、ぼくがあの男だと思っているからでしょう。そして、それが刺激となって、なお更ぼくのペニスは、いきり立ったのです。
ぼくが抜こうとするのをなぎさは止めました。そればかりではなく、後から義母の少年のお尻を掴むとゆすりだしたのです。その擦れる刺激がぼくの理性を失わせました。いつの間にか縛られていた腕の戒めは解かれ、ぼくは義母のお尻を掴んで自分の腰を激しく動かしていました。
その時ぼくは気づいてはいなかったのですが、その姿を彼女は静かにデジタルカメラに撮っていたのです。ぼくは限界までたまった熱いものを我慢しきれずに義母の身体に出してしまいました。出し切った開放感と、いつの間にか自らが行っていた行為に苛まれてしまいました。
「クフフフ、いい絵が撮れたわ。これをあなたのお父様に見せたらどう言われるかしらね。息子を犯す母親なんて最低ね。でも、大丈夫よ。ユキオ三の顔は写らないように撮っているから。でも、うしろすがたでわかっちゃうかも・・・」
彼女は満足そうに微笑むと、カメラを見せびらかせながら笑いました。
「これで、あなたのお母様はここにいられなくなるわ。それにへたしたらあなたもね。これで、わたしはお父様を独り占めできるわ。フフフフフ。」
彼女の狙いはそれだったのです。ぼくは、浅はかな女の計略にはまってしまったのです。ぼくは擬似ペニスをつけた義母として息子の義母を犯してしまったのです。義母と息子の不倫。それは格好のスキャンダルです。これを父に見られたらぼくと義母はここに入られなくなるでしょう。そんなぼくの思いに気づいているのか、彼女は笑いながら言いました。
「これで、わたしの計画は完璧よ。フフフ、オホホホホホ・・・ククククク。」
彼女の笑い声が途中から変わっていきました。それは男の高笑いへと変わっていったのです。その笑い声は、彼女のではありませんでした。なぜなら、彼女はその笑い声に戸惑い、黙っているのにまだ、笑い声は続いているからです。その笑い声のぬしは・・・
「そう俺だよ。」
その男の声は、ぼくの口から出ていたのです。そう、怪人福助二世の口から。
「どうしたんだい。ぽかんと大きな口を開けて。よだれが出ているぜ。」
なぎさは、慌てれ口を拭いました。
「あ、あなたは誰?ユキオ君ではないの?」
「いや、ユキオだよ。だけどこの姿は借り物だ。俺の名は怪人福助二世。以後、お見知り置きを、といっても、お前さんにはないがな。」
「師匠ずるいですよ。自分だけいい格好をしたら。」
こんどは、くの字の光江の口から聞き覚えのない少年の声が出てきた。光江は起き上がると、いつの間にか戒めを外した手で目隠しを外して微笑みました。
「はじめまして、なぎささん。ぼくは≪人形使い」。そして、さようなら。」
なぎさは、その時初めてかれらの言葉の異常さに気がつきました。
『。以後、お見知り置きを、といっても、お前さんにはないがな。はじめまして、なぎささん。そして、さようなら』
それはまるで、今日がなぎさの最後かのようです。
「なにをいっているの。わたしをどうしようというの。」
「何もしないよ。ただ、この俺の弟子のおもちゃになってもらうだけだ。」
「そ、そんな・・・」
顔だけ光江の少年は、新しいおもちゃを喜ぶ子供のように無邪気に笑っていました。
「おもちゃって、光江や、ユキオ君はどうしたの?」
「おやおや、他人の事を心配するだけの余裕がおありのようだな。まあいいだろう。時間稼ぎをしても誰もこないからな。ここは俺の隠れ家の一つで、携帯の電波は遮断されているから外部とは、連絡は取れないよ。」
なぎさの行動は、俺に見透かされていたのです。彼女は、手に隠し持っていた携帯を床に落としました。それは、緊急コールになっていました。
「ククク、お前さんが気にしていた光江とユキオだが、新しい姿で楽しんでいるよ。あとで、ユキオのかわいらしい姿を見せてやるよ。ユキオの親父が経理部長を勤める会社の隠し資産を狙っているのかと思ったら、あの親父を狙っていたとは、俺も焼きが回ったものだ。それに、こんなちゃちなボディマスクでは、子供も騙せないぜ。」
「ふん。」
なぎさは強がる事で、身にしみる恐ろしさから逃れようとしましたが、俺や、人形遣いの冷たい視線にそのおろかな行いも役には立たちませんでした。焦点の合わなくなったなぎさの顔には薄笑いが浮かんでいました。
こうして、自覚なき被害者は、俺達の手の中へと落ちていったのです。

<完>
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