「Fenway Faithful 1999 ALDS」
1999 ALDS 当時の掲示板のログです。
「解けたCURSE (ALDSを見て)」
By ノマー渡辺
INDIANSとの対決となったALDS。否が応でも昨年の嫌な記憶が蘇ってきた。今年はPEDROの調子がいいといえども、残りの先発陣に今ひとつ信頼をおいていない私としては、戦前2勝3敗で敗退すると予想。この予想も当然PEDROが勝つことを前提としていた。多分ほとんどの人が同じ予想をしていたと思うが。
9月にCLEAVELANDでBOSTONの試合を見る機会があり、INDIANSの先発オーダーを見たとき、NAME VALUE・成績に驚かされた。1番から9番まで足・小技・長打ときっちり役割分担されており、現に観戦した試合も初回から猛打爆発だった。観客を10番目の選手として讃え、選手はファンに優しいし、ファンも選手に温かい、本当に雰囲気の良い球場で、こういうチームなら負けてもしょうがないとさえ感じていたほどだ。
第一戦、敵地だというのにNOMARのHRで先制。PEDROも快投を続け、BOSTONらしい勝ち方だと思っていたら、まさかのPEDRO降板。誰もが嫌な予感を感じたはずだ。流れは一気にINDIANSに。そして悪夢のサヨナラ負け。
短期決戦は真の実力より流れを掴んだ方が勝つもの。立ち上がり不安の残っていたCOLONをうち崩せず、PEDROは怪我。打線もNOMAR・STANLEY以外は音無し。昨年より悪いSWEEPかも。
第二戦、序盤から一方的なINDIANSペース。猛打が炸裂しSABESは3回持たず撃沈。打線もNAGYに手も足も出ず。予想された2連敗だが、ここまでボロ負けすると、悔しさもない。今季もあと1試合で終わり、WSを観戦しに行くという夢は早くも潰えていた。TVでも盛んにBABE RUTHの呪いについて説明している。そんな呪いがあることさえ知らなかったが。
第三戦、場所はホームに帰ったが、NOMARが欠場と最悪の流れにさらなる追い打ち。BOSTONのオーダーを見て、全国区は皆無、ましてや日本で知られている選手もいない。INDIANSの先制で始まり、今日もペースを握られた。
転機が起こったのは5回。好投していたBURBAを交代させて、WRIGHTに。結果論になるかもしれないが、この交代がこのシリーズの流れを変えたと思う。INDIANSは勝負を焦りすぎた。これが地区5連覇をしていながら、その間WSで優勝できない理由かもしれない。これはINDIANSにCURSEがかかっているのかも。
伏兵VALENTINが火を噴き、下位打線にも点火させてしまった。点が線になった試合だった。観客の声援も凄い。サッカーの様にホームアドヴァンテージを感じさせた。
第四戦、昨日死刑執行を逃れたといえども、負けられない状況には変わりない。しかも相手の先発はCOLON。唯一の救いはRAMIREZが不調な事くらい。
ラッキーボーイは意外な選手だった。前日から火がついたVALENTINがまたもややってくれた。シリーズが始まる前、僕は打撃を期待してVERESの登場を望んでいた。VALENTINも数年前まではいい選手だと思っていたが、怪我が多すぎて、正直今季は全く期待していなかったし、信頼を置けないでいた。その選手が・・・。
取りも捕ったり、23点。ほとんどのファンが次の試合にその得点を回したいと思ったのでは。流れは完璧にBOSTONの物となった。一日も休まず、すぐに次の日に試合というのも好都合。
第五戦、投手陣に不安が残る物の、打線は上位から下位まで絶好調。特に下位打線でチャンスを作って、上位打線がホームに帰すという切れ目のなさ。後はノーガードで打ち合って、うち勝つのみ。
先制するもTHOMEの2発で流れはINDIANSに。はらはらするシーソーゲームで流れを引き戻したのは、PEDRO。皆、怪我の影響が心配だったであろうが、6イニングをノーヒットと完璧に抑えた。彼の投球を見ていて鳥肌が立ち、勝った瞬間目頭が熱くなった。自分も含め下馬評を覆し、ALDSに勝利。TVを見ながら何度もガッツポーズをしている自分がそこにいた。
シリーズを見て、WILLIAMS監督の采配には本当に驚かされた。2連敗で来た、後がない第3戦、よくNOMARをはずせた物だ。確かに後のALCSを見れば、NOMARの肘の具合が相当悪かったのは判るが、後がない試合ではずした英断には感服した。もしあそこで試合を落としていたら、日本だったら相当マスコミにたたかれると思う。そして1日休ませた事で、NOMARは打撃で大活躍できたのであろう。代役で出場したMERLONIが期待に応えたのも大きい。手堅く行きがちな短期決戦で、選手の状態を冷静に見極めた采配は見事の一言につきる。
結果としてALCSで敗退してしまったが、CURSEは解けたと思う。選手層や試合運びではまだYANKEESにかなわないが、BOSTONに無限の可能性を感じた。 シーズン前、BOSTONがワイルドカードを取れると誰が予想したであろう。同じ地区のチームが続々と大型補強する中で、BOSTONはMOに逃げられ、FAでもことごとく競争に負け、ファンでも地区3位がいいところだと感じていた人が多いはず。それがここまでのチームになったのだから、投手陣が確立されれば、近い将来、必ずファンをワールドシリーズにつれていってくれるであろう。来年こそBOSTONにワールドシリーズを見に行けるはずだ。そこにはもうCURSEは存在しない。