1998年2月13日更新
THE EASYBEATSのイギリスにおいて10位以内チャートインを果たした2曲目にして最後の曲「Hello How Are You」。数少ないバラードです。この曲はシングルとアルバムでは完全に違ったヴァージョンになっていますが、再発CDの中でも両方収録しているのは「Vigil」のみでしょう。
そもそも、なぜイージービーツがバラードに取り組んだのか、そこから始めます。この曲に至るまでに彼らは3度に渡る大きな失敗をしでかしています。1度目は「Who'll Be The One」のシングル・リリース、2度目は「Heaven And Hell」に関する数々の問題、3度目は、先の失敗から得た教訓を生かせず「The Music Goes Round My Head」をシングルカットしたことです。いずれもほとんどヒットせず、「Friday On My Mind」で得た勢いは完全に失ってしまいました。そこで彼らが選んだ道が、当時人気を博していたトム・ジョーンズのようなバラードだったというわけです。
「Hello How Are You」の最初のヴァージョンは、リバーブが深く、ストリングスの大仰なヴァージョンです。明らかにオーヴァープロデュースで、この曲のほんの1年前のイージービーツとは似ても似つかぬスタイルです。もはやVanda/Youngの曲をスティーヴィーが歌っているだけと言ってもいいかもしれません。このヴァージョンがシングルカットされ、最高で14位にランクされました。
第二のヴァージョンは、「Vigil」収録のために新しく取り直されたものです。こちらはストリングスを控えめにし、ヴォーカルのエコーも浅くされました。複雑さを感じさせていた部分をカットし、全体にシンプルになったのがこのヴァージョンの特徴です。なお、両テイクともピアノはニッキー・ホプキンスが弾いています。
この曲の後、「Land Of Make Believe」「Good Times」といずれも水準以上のシングルをリリースしたイージービーツでしたが、定評もなく、楽曲の一貫性もなく、固定ファンが全くないままでヒットは望むべくもなく、遂にヒットチャート入りは果たせませんでした。
無論、地道なライブ活動でファンを増やすという方法もあったはずですが、ハリーとジョージはその頃、スタジオに入り浸っていて、バンドとしての活動は極めて乏しく、経済的に困窮するほどのものだったようです。契約問題が立ちはだかって、収入が閉ざされてしまっていたのもその一因でした。そこで、「Friends」では、この契約問題に対する対策がなされました。