サターンを振り返って

もうすぐサターンも終わりだということで、この場を借りてセガサターンを振り返って
みたいと思います。今思えば、前述のメガドライブほど心に残ったソフトは少ないですね。
筆者がサターンを買ったのは、1996年の秋頃でしたそれまでは別にやりたいゲームがなか
ったので、メガドライブやPC-ENGINEソフトを中古で買って遊んでいました。ではなぜ買う
気になったかといいますと、夏頃に某ときめいているソフト(エメラルドグリーンのパワー
メモリ付き)を買ったからです。(笑)余談ですが、PSも「プライベートコレクション」
のために買いました。このゲームの関連商品に大量の金をつぎこんだことは、筆者にとって
「認めたくない若さ故の過ち」となりつつあります。好きなキャラはともかくとして、好き
でもないキャラにまで資金を投入していたのですから、もったいないことをしたものです。
 などといいながら、筆者は某せつないソフトにも大量の資金を投入しましたので、(タロッ
トカードが欲しい・・・)「毒喰らわば皿まで」というところでしょうか。このことは後述します。
ああ、さて話が横道に逸れました。本題に戻します。なぜ思い出に残るソフトが少なかったの
でしょうか。筆者なりに愚考しましたが、この一因はハードメーカーのセガにあるという仮説を
立てました。つまり
1.アーケードゲームの資産に頼りすぎたこと

・メガドライブのころは、性能の差が大きかった為、コンシューマ向けに大作ソフトを開発する
必要があったので、オリジナルソフトの開発にサターンより力が入っていた。(と思う)
・アーケードゲームの移植作業が、メガドライブ時代より大規模になってオリジナルタイトルが
疎かになったのではないか。
2.オリジナルタイトルにもいくつかの大作ソフトがでたが、その多くが技術力に溺れるあまり?
グラフィックの綺麗さのみが目立ったゲームであった。
そのなかのいくつかを糾弾します。
・グラフィックが綺麗といったって、1年、2年もすればもっと綺麗なゲームがでるんじゃないの?
・太正女のゲームを100万本売るなんて本気ですか?(グランディアはPSならば、100万本う
れていたでしょう。)この際だから言わせていただきます、私にはこの作品のよさを理解する能力が
ないのです。ユーザーへの媚びがそんじょそこらのギャルゲーよりきついし、キャラも割とありきた
りだし、話も深みがないし、歴史の歪曲がるろうに剣心同様許せないし、(天外魔境まではいい、
だめなのは、他に火魅子伝 恋解)あかほりさとるだし、と生理的に受け付けられません。
商品展開、販売戦略も某ときめきの二番煎じが多いし、広井王子氏もセガも遠くにいってしまった
ような悲しさを感じます。広井王子氏は、「魔神英雄伝ワタル」のころが一番好きだっただけに、
全くもって遺憾です。余談ですが、「超魔神英雄伝ワタル」はただのショタコンアニメです。(半ズボ
ンがそれを象徴している)、戦神丸は公衆電話で呼び出さないと駄目だろ?ギャグが冴えない、気の利
いたパロディがなりを潜めたなど、筆者にはただ見苦しいだけでした。
リメイクものを創るときはたとえそれが古臭くともよい部分や、印象深い部分は昔のままにするべきで
はないのですか?どうせ新しい視聴者は制作者が思うほど多くはみないのだから。
また横道にそれました。軌道修正します。
・「ナイツ」って面白い?

これも筆者には理解できません。こんなのを出すぐらいならなぜソニックをださなかったのですか?
海外市場の敗因は最早これ以外にはないでしょう。そのせいでサターンの寿命が一年縮まり、時期尚
早な新機種の投入、PS2の発表による消費者の買い控えによる売り上げ低迷。それがサードパーティ
の参入やソフト開発の逡巡を招いているのだとしたら、セガの誤算はここに始まったといえます。
ですが、それでも二万円ジャストにまで値下がりすればDCを買いますよ。
理由は前述の通りです。

3.なぜ「レンタヒーロー」をださなかったのか。

なぜこんなことをいうのかというと、サターンにはこういった個性的なゲームが以外にすくなかった
からです。そういったタイトルはセガサターンマガジンの読者投票の下位の方に多かったと思います
が、それはいわば「副産物」でしょう。ゲームとしてそれなりに遊べるものがもっと欲しかったので
す。一定のクオリティが伴わないと一部の好事家の間に於いてしか盛り上がらないのです。そこで、
「バカゲー」の誉れ高く名作?と言われているレンタヒーロー(もしくはそれに準ずるオリジナルタ
イトル)を出し、ハードメーカー自らが範を垂れなければならなかったのです。むろんそれには、馬
鹿げた企画やアイディアも真剣になって取り組む姿勢が必要ですが。
PC-ENGINEのあの「トイレキッズ」を見習え。といったところでしょうか。 
       
    

いかに時が流れようと時代が移り変わろうとゲームの根幹は2Dゲームにあり。   
     
          

せっかくだから俺はこう言わせてもらうぜ。

      それではサターンのお気に入りのタイトルをいくつかあげましょう。

・ゲーム天国
アーケード版の同名タイトルをサターンにリファインして移植したもの。
これはゲーム歴が長ければ長いほど、ゲームにくわしければくわしいほどおもしろさが
あがっていきます。プレイヤーはエクセリオンにフォーメーションゼットにぶたさんに
プラスアルファにももこ120%にフィールドコンバットです。こう聞いただけで往年のゲ
ーマーは懐かしいと思うでしょう。しかしそれだけでは終わりません。ステージクリア
後には会話デモが追加されており、そこで敵のボスジーニアス山田の野望は「使い捨てに
されるだけの存在でしかなかったゲームキャラ達の理想郷をつくりあげる。」というもの
であることが語られるのです。
会社とっては、金儲けの道具、ユーザーにとっては消耗品でしかなくなりつつある、最近
のゲームキャラですが、ゲーム天国キャラもそうなってしまうのでしょうか。
有名人にそっくりなことが評判の四角い会社のRPGは、もう従来のゲームキャラでは、
一般受けしないということを暗に言っているのでしょうか。

ルームメイト 〜 涼子IN SUMMER VACATION 〜

こんなのをとりあげるとギャルゲー嫌いな人は眉をひそめるかもしれませんが、これは従来の
ゲームとはひと味違いますよ。Vジャンプの増刊号では本作を「井上涼子日時計」などとよんで
いましたが、まさにその通りです。一作目は殆ど朝と夕方以降にしか会えないので、筆者
とはリズムが合わない上に、涼子嬢の声が素人臭かったのでイマイチでしたが、本作ではプレイ
期間を1週間に限定した上で、イベントの密度を濃くし、ミニゲームを追加するなど、大幅なバ
ージョンアップを遂げています。更に「年頃の女の子の成長は速い」と言われる通りに、涼子嬢
も声が大人っぽくなり、声優共々成長したようです。まあ、涼子嬢は一部で指摘されているよう
に、性格が結構親父臭いし、蘊蓄を語るのが好きですが、筆者も雑学の類は好きですから、
夏休みの一週間をとても楽しく過ごせました。しかし、主に平日の昼間にイベントが発生しますから、
社会人の方にはきついですね。これぞサターンででしかできないゲーム・・・・だったんですが、
PSでも発売されるようです。一体どんなゲームになるんでしょう。

MARICA 〜 真実の世界 〜
本作を一言で説明すると「羊の皮を被った狼」とでも言うのでしょうか。一見ギャルゲーにみえるの
ですが、そんな偏見は10分もしないうちに吹き飛ぶでしょう。舞台は1997年の東京都代々木区渋谷
です。登場人物は神崎まりか「あなたを非日常の世界に誘う第一の媒体」金本あきら「〜 第二の媒体」
藤堂かなめ「〜 第三の媒体」、オルガ、真実の人(トゥルーマン)などです。18歳以上推奨のレー
ティングがついているのは、猥褻描写のせいではありません。それは、カニバリズム(人肉食)などの
過激なシーンが出てくるためです。筆者がストーリー面で大きなショックを受けたのは、日本ファルコム
の「ダイナソア」以来でした。それぐらいの問題作なのですが、一般での知名度は低いようですね。
制作者の遠藤正二朗氏は他にもMEGA-CD「魔法の少女シルキーリップ」や「Aランクサンダー」
SS「ひみつ戦隊メタモルV」「プリティファイターMIKU」(脚本)が知られていますが、いずれも
通好みですね。そういった取っつきにくさが、本作の推定販売本数を1万本(DREAMCAST-MAGAINE調べ)
足らずにしているとしたら、みんな見る目がないと言わざるをえません。

以下に遠藤氏書き下ろし小説MARICAを掲載します。登場人物の名前に一部変更があります。

せっかくだから

ダイナソア裏シナリオも掲載します。ご一読ください。

小説版まりか
ダイナソア裏シナリオ
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クオヴァディス2 〜惑星強襲オヴァン・レイ〜

積極的にメディアミックスを展開していた、今は亡きグラムスの遺作です。そういえば、
95版クオヴァディスは発売間近に会社が倒産しましたが、やはり発売されなかった
のでしょうか。
一作目のことは知りません。筆者がこれに目を付けたのは、キャラデザインが、美樹本晴彦だった
からです。この人の関わったゲームは他に、「FZ戦記Axis」や、「アイルロード」などが
ありますが、ご存じでしょうか。美樹本氏のファンでなければ無理にやる必要はありません。
宇宙での艦隊戦だった前作とは打って変わり、今回はアサルトアーマーと呼ばれる二足歩行の兵器が
登場します。前作と世界観は繋がっていますが、別の銀河での出来事です。なぜ、艦隊戦から地上での白兵戦になったかと
言いますと、この銀河では宇宙を航行するエンジンの技術が未発達で、大規模な艦が造れないからだそうです。
そういうわけなので、戦闘は専ら地上戦となります。戦争は、8惑星連合とゴアという銀河を2分する2つの
勢力の、全銀河に及ぶものです。ですから世界観は往年のSFアニメにも劣らぬほど壮大なスケールを
誇ります。ですが、主人公は一介の傭兵部隊の隊長に過ぎませんので、ゲーム中壮大さが感じられないのが残念です。

  ゲームは、マクロスの「板野サーカス」という演出で知られる板野一郎氏が手掛けたアニメーションで始まります。
内容はゴアの大統領就任式に於いて大統領が狙撃され、さらに大統領を襲撃するテロリストと一戦交えるという
ものです。 この後主人公のオヴァンはなぜかテロリストの手引きをしたという濡れ衣を着せられ、お尋ね者になります。
ゴアは大統領襲撃の黒幕は8惑星連合であったとして、8惑星連合に宣戦布告します。

十年後、オヴァンは8惑星連合の傭兵部隊に身を置いていました。部隊には様々ないきさつを持つ者がいました。
曲折を経て、隊長となったオヴァンは惑星を転戦し、戦いの中で同僚だったディオンや元婚約者のヒルダと
出会います。ヒルダには大きな秘密がありました。それは、クライマックスにおいて本作と前作とをつなぐ
糸でもありました・・・・・・・・

こんな感じでストーリーは展開していきます。ですが、ストーリー面においても、ゲーム面においても不満はあります。
まず、
・武器は多いのにアサルトは基本的に4種類しかない。

これはちょっと少なすぎると思います。後半で新型が出ても良かったでしょう。

・兵科が少なすぎる。
戦闘車両や、航空機、砲兵、ヘリコプターなども欲しかった。できればモビルアーマーのような兵器も欲しかった。
そうすればもっと戦略の幅が拡がった筈。

・主人公が弱い。

これはオヴァンの搭乗するアサルトが、白兵戦向きで装甲が弱いせいでもあるのですが、ピンチになっても
知らせてくれないし、後退もしないので知らぬ間に破壊されてゲームオーバーというパターンが多かった為です
・対戦がない
敵に発見されないように地形を利用して戦うという戦略性もあるし、パイロットの能力や武器も用途に合わせて
区別されているので、通信対戦があれば盛り上がった筈なのに惜しい。

・ロードが長い
兵器のカスタマイズをする際に、アサルトのCGを表示するので時間がかかる。

ゲーム面ではこんなところです。

ストーリー面では、

・舌足らずである。
全銀河を戦場に戦う壮大なスケールなのに、ゲームは局地戦に終始するし、戦況や、2大勢力の内情の描写がない。
また、「赤い蠍」部隊内での人間関係や、主人公オヴァンや元同僚のディオンとの戦場で再会した際のやりとりも不十分。
ヒルダやリジアの出番が少なすぎる。ジャーナリストのエマも最後の決戦には姿を見せないので中途半端。

以下はネタばれが含まれているので、これからゲームをやろうという人は読まないでください。



・部下の扱いが酷い。
大半のパイロットが単なる消耗品と化しているのは、意図的なものだろう。なれない内は多くの部下を戦死させてしまう
ことで、戦場の非情さを演出しているのかも知れない。だが、序盤で気に触れてしまい、最後にオヴァンをゴアのスパイだと
妄想するシドや、終盤にゴアのスパイだった事を唐突に告白し裏切るザイコフや、兄を人質に取られて同じく裏切るネリー
などの扱いはそれまでの愛着を無にする非情さである。ここまで来ると、制作者の押しつけがましさを感じる。

・ラストの展開も酷い。
最後のステージでディオンに勝っても、ストーリーの進行上ビジュアルシーンで負けてしまう。だが、ディオンは圧倒的な強さを
誇示しながら、最後には巨大戦艦のジェットに巻き込まれるというライバルとは思えない情けない死に方をする。
「赤い蠍」前代隊長ニッタ・ヌギヴァも決していい死に方をしたとは言えないが、所詮下っ端なのでしかたないだろう。
が、これには興ざめした。もしシャアが、キシリアのザンジバルの爆発に巻き込まれて死んでいたらおそらく現在ほどの人気を
得ることはなかったであろう。もしギレンがさらに情けない死に方や、キシリアに命乞いをしていれば、「ギレンの野望」
は発売されていなかったであろう。悪役やライバルには生き様同様、死に方にも気を払わねばならない。裏の主人公なのだから
悪人はいい死に方が出来ないというが、死に方が悪いと、それのせいで評価が一変してしまう。
結局、ディオンにライバルとしての魅力は、出番の少なさと相まって感じることが出来なかった。残念至極。
このあとも話は続くのだが、ネリー、ザイコフ、シドは最早登場しない。裏切り者以外も戦死したのだろう。あんまりだ。
そして、ヒルダが別の銀河の出身者であったことが明かされる。前作の舞台である。
ゴアの大統領は、「戦争はお前が惹起した」とヒルダを逆恨みして射殺してしまう。
それを見たドナーは、自分の恋人が死んだのはあんたのせいだと言って、大統領を射殺するが、相打ちとなって死ぬ。
こうして赤い蠍は全滅する。物語はエピローグを迎える。
前作の主人公ハルが特使として訪れるが、オヴァン大使は追い返してしまい、新たな動乱予感させながら、
エンディングテーマが流れる。

ゲームに於いて、これほど空しい思いをしたことは稀である。制作者のインタビューによると、この後味の悪さも意図的
だそうである。だが、これでいいのだろうか。あまりにも酷いのではないか。劇場版EVAよりも速く、作品の受け手を突き放した
のである。EVAはファンを突き放すためにああしたが、これには続編が企画されていた。だが、この重すぎる展開にファンが
ノーという答えをだしたということなのか。同じ死ぬにしてももっと丁寧に描写して欲しかった。
グラムスの社長はこれを劇場映画にしたいと言っていたが、せめてOVAでアニメ化していれば、舌足らずな部分も補完された
のだろうか。ドラマCDが続いていれば、このストーリー面での不満は解消されたのか。これは3作目への布石に過ぎなかったのか。
もし、3作目が発売されていれば、2作目の不満や空しさは解消されたのか。
 このプロジェクトは未完に終わってしまった。2人の主人公がどう描かれる予定だったのかはもう誰も知らない。
未完の作品ほど名作という評価もあるが、これはそれに当てはまらない。まだまだストーリー面、ゲーム面で改良の余地が
あるからだ。完結編が発売されなかったのは、残念きわまりない。だが、発売されていても、まだゲームだけでは不満が
残ったであろう。現行のハードでは、まだまだゲーム性を追究すればするほど、ストーリー面は犠牲にしなければならないのだ。
完結編はシナリオだけでも知りたい・・・・・・

メガドライブの倍以上の数のソフトが発売されたのに筆者の心にのこるゲームはA級タイトルをのぞけば
とりあえずこれだけです。しかしまだクリアしていないゲームもありますし、中古で面白いソフト
をみつけたら追加していきます。