沖縄本島を自転車で縦断





 平成15年12月29日から翌年1月2日まで、沖縄本島を自転車で縦断する旅に出た。安い「特割」運賃の便を使うために、29日の深夜に那覇空港に到着するスケジュールを組んだ。



「異国」を感じさせる那覇の街並み
(12月30日 那覇〜沖縄)



 那覇に到着した翌朝は、首里城を通り、沖縄市まで走る。首里城は小高い丘陵地の上にあり、そこまでぐいぐい坂を上っていくと、海を背に広がる那覇の市街地が一望される。強い陽射しを受けた市街地は、全体的に白っぽく見え、青空と白い建物群のコントラストは、かつて訪れたスペインの街の景色を連想させる。建築様式もだいぶ本州とは異なり、コンクリートの角張った建物が多いこともあって、異国の街角にいる気分を味わうことができる。

 建築現場で働く作業員たちの顔は浅黒く、表情もおだやかで、道端にしゃがんでゆっくりと休憩をとっている。そんな姿も、当方の思い込みもあろうが、本州の忙しげな工事現場とは違う、南国を感じさせる風景に映るのだ。

 首里城は、13世紀半ばより4世紀半にわたり栄えた琉球国王の居城である。舟により中国、日本をはじめ周辺諸国との盛んな交易がなされ、商業、文化の花開く海洋王国であった。華やかな赤い壁や、原色を多用した装飾には、特に中国の影響が強く出ている印象を受ける。





 ペダルを踏んでさらに北上を続ける。気温は20度を超えて暖かく、南国の陽射しをじりじりと浴びながら走っていく。丘陵地に沿って、住宅地の広がりは意外に大きい。那覇の市街地は、周辺市町村も含めると人口70万人クラスの都市圏であり、県庁所在地の中都市としてはかなり大きい部類である。

 2000年に世界遺産に登録された勝連城跡に立ち寄る。丘の上にごつごつした石垣が残り、かなたの海や島々が遠望される。

 このあたりまで来ると、家並みもさすがに田舎びてきて、赤い瓦にシーサーなどを乗せた伝統的な民家も多く残る。海のどまん中を一直線に進む海中道路を走って、対岸にある平安座島、さらに浜比嘉島へと渡る。小島の集落は伝統的な趣を残しており、重厚な瓦屋根と高い石垣に囲まれ、身を低くし、じっと息をひそめているかのようである。台風による暴風雨に備えた、琉球独特の建築様式である。





 この夜は、沖縄市で宿泊する。嘉手納基地をはじめ、島の中部を占める広大な米軍基地の玄関口となる街である。英語の看板を掲げた店が目立ち、年末の休暇を楽しむ大柄なアメリカ兵が街を行きかう。夕食はメキシカンレストランでとった。タコスなどメキシコ料理が広く根付いているのが沖縄の特徴で、これも米軍がもたらした文化の産物である。




翌日の記録へ(沖縄〜名護)

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