Tran-DS: The Side Story of Tran-D
Tran-DS
The Side Story of Tolled Armor Tran-D
Chapter 1: Awakening
Part 3
二筋の光が宇宙の空間を貫いた。
青白く光るその二本の矢はやがてその指定された標的に命中し貫いた。
貫かれた船体は爆発で内側から破られ、やがて一隻のエクセル級の戦艦は火の玉とかした。
そしてもう二本の矢がもう一隻の船体をその数秒後に貫いた。
「な、なんだ!」
「り、リキュールからの攻撃!メイローズとラファイエットともに撃沈され・・・!もう一発きます!」
光と轟音とともにもう一隻が沈む。
それも対ビームシールドがまるでなかったかのように正確に反応炉をねらってだ。
その上、戦艦だけではなく、TAもできるだけ道ずれに出来る進路をねらってある。
混乱状態に入った艦隊はあわてて戦列からはなれたりしてリキュールに主砲を打ち始める。
リキュールを囲んでいたTAがどうなったことはいうまでもなかろう。
そして、リキュールを攻撃しようとしたTAは正確にリキュールのPDS( Point Defense System)の餌食となった。
リキュールのカタパルトデッキの奥の方から光線が再び伸びた。
数機のTAを巻き込みながらそれは、エクセルシークの左舷についていたダカウのブリッジをつらぬき、戦闘不能においこんだ。
ダカウの退艦命令がでて混乱が広がる中・・・
「落ち着きたまえ!!!」
と全艦に通じてる回線にだれかがどなりこんだ。
○
-3 Ships destroyed, 1 Ship disabled 43 TA destroyed-
Wileが奇襲ともいえる攻撃の戦果をフェナにつたえた。
フェナはただ無言に背についてるダブル・レールガンの引き金を引いた。
エネルギー充填と標的指定がすんでるそれは、反動と光とともに二本の光線をはなった。
戦艦の一隻がまたきえる。
最初の一発から十分も立たない内にフェナは目のまえにある艦隊を半分壊滅状態に追い込んだ。
-I think we should be going-
「そうね」
感情がこもってない返事をしてからフェナは、スイッチをいくつかひねた。
重々しい音をたて、背についてるダブル・レールガンが背中にある、パックにおさめられる。
最終チェックとして、スラスターが動き、TVS(Thrust Vectoring System)のフィンが細かく動いた
すべて正常。
二本あるコントロールステッキを簡単に操作すると、重そうなTran-DSはカタパルトに自分の足をおさめた。
「では、ロードランナーでも狩りにでもいきますか? Wile」
-Sure, I'm hungry today-
その言葉で、Tran-DSはリニア・カタパルトから射出された。
フェナの発言が冗談だったのかどうかはWileにはわからなかった。
○
「全艦、これよりリキュールを撃沈する!各艦主砲発射準備!PDS準備!TA
も急いで再編成しろ!」
エクセルシーク艦長、コナ大佐は命令を次々と下し、なんとか艦隊の規律を取り戻した。
「格納庫!あのお方の機体の準備はできてるのか?!」
「は、はい!しかし、これは・・・・」
「いつでも出られるようにしとくように!」
「りょ、了解!」
「艦長!リキュールが動いてます!」
スクリーンへ、目をやるとそこにはPDSを放ちゆっくりと別方向に行こうとするリキュールがあった。
時々火球があらわれる、TAがPDSにやられた結果である。
-逃げる?-
と、思うのが普通かもしれない、主砲も使えず、TAに対応するものはPDSのみ。
逃げてるとおもうのが普通、その考えに応じ、艦隊はリキュール追う体制をとった
「主砲、発射準備・・撃てる船からリキュールを止めろ、TAにも射程内から離れろと伝えろ」
先ほど、かってに発砲した艦も今度は落ち着いてリキュールに対応しはじめた。
そして、今度は艦隊からリキュールへと光がのびる。
シールドが内に等しいリキュールのあらゆる所命中し、破壊していく。
フェナが目覚めた部屋も例外では無く、外から爆発があってからすぐに内部のものが外へ吸い出されて行く。
紅く輝く結晶も宇宙の虚空へと吸い込まれ消えていった。
しかし、リキュールの造りも頑丈でなかなか沈まない。
艦隊も容赦無く撃ち続ける。
あともう少しで沈むと思うところで青く輝く一筋の光が一瞬現れて、消えた。
「なんだ?」
艦砲射撃から安全な場所からリキュールを攻撃していたTAのパイロットにその現象に気付いた。
もう少しよく観測しようと彼はそれに近付く。
数秒後にもう一筋、そしてもう一つ。
そして最後になにかが突っ込んできた。
「!!!!」
驚きと、相手の速さに対応できず、彼の機体は青い筋に両断され、四散した。
その爆発に気付いたものは回避行動に入るが、不幸に見えなかった者は次々と火球とかした。
「うおおおお!」
突っ込んでる青い物に兵器を乱射をするもの、ミサイルを放つものがいた。
しかしそれらは、あまりの速さについて行けなくなかったか、かろうじて当たった物は、何かに弾かれた。
そして、勇気を出してのか、あきらめたのか、体当たりをしたものがいた。
光の動きは一瞬だが、とまり、その正体がみえた。
「Tran-D!!!!!!」
悲鳴ともいえた、その声は、自分の目の前にある青い機体を認識した。
「何故そんなものがここに?!」
「かなうはずがない!」
「これは、にげたほうが・・・・」
「冗談じゃない!」
その蒼き姿を見たほかのTAパイロットもあわてだした。
無理もなかった、その機体は彼らがしってるものだとしたら、エルファ星で数々のグラプリングを駆け巡り勝利してきた機体ならば、彼らの機体、彼らには勝ち目がなかった。
次の瞬間、Tran-Dは左腕を後ろへ構え、相手のTAの腹部を突いた。
ナックルショットが炸裂し、TAを貫いた。
次に右手に構えてるガトリング砲を撃ちはじめ、驚きで止まってるTAを次々と撃退する。
応戦するものもいたが、
「な、なんだ!あの動きは!」
またまた驚きの声があがる。
高速で動くものは、機動性が落ちるはずで標準をうまくあわせれば当てる事はできるはず、だった。
しかし、高速で動いていることにも関わらずそのTranーDは、よけていたのだ。
上、下、横転、回転、急なよけかた、人体にすさまじいGが掛る動きをしながらそのTran−Dに「似て」いた機体は、突っ込む形で艦隊へ向かっていった。
「戻れ!おれたちが帰る所がなくなるぞ!」
でも、彼らは,そのTran-Dと同じ所を通って艦隊に向かって行くわけにはいかなかった。
それは、そのTran-Dは艦砲射撃の空域をわずかに動いて光弾をよけながら突き進んでいったためである。
○
「Tran-Dだと?」
スクリーンへ目をやりながら、コナ大佐はその名前をはき捨てた。
「あれはエルファにあるはずじゃ?」
そうだ、そのはずだった。
つい先日もそれはグラプリングに勝利をあげ、いまはラグナス重工のトリエスタ本社へと向かってる情報があったばかりである。
それがかれらの目にまえにあり、新鋭戦艦を5隻とTAを80機以上を撃沈または撃退したのである。
「Tran-Dのデータを表示しろ」
彼らの目の前のTranーDを写してるスクリーンにもう一つウインドウが開き、エルファ星にあるTran-Dの知られてるスペックがでる。
「この機体とくらべろ」
もう一つウインドウが開き、センサー、またはTAから送られてきた情報で推定される形と大きさが表示された。
明らかに違う機体だとすぐにわかった。
大きさはエルファにあるTran-Dより少し大きく、もう少しずっしりと形をとており、肩、足と背中も何エルファにあるはずTran-Dより大きい。
武器を持たないエルファのTran-Dと違い、これは多すぎるともいえる火器を装備していた。
「宇宙用ってわけか・・・・・」
『宇宙用Tran-D、Tran-DSだ。』
格納庫の映像が現れ、さっきまでブリッジにいた男が黒いパイロットスーツに着替え出撃に準備をしていた。
後ろには真っ赤なTAが見える。
「きます!!」
「く!弾幕!PDSも応戦!」
瞬時に、戦艦の各部に設置してあるカバーがスライドし、PDSのレンズが現れた。
そしてゆっくりとひかりだし、エネルギー充填をする。
同時に船体の左舷と右舷に設置してる対空砲とミサイルランチャーがTran-DSにロック、撃ちはじめる。
無数の弾とミサイルの中をそれでもTran-DSは突っ込む。
必要な時はガトリング砲と左手にさっき構え直したレーザーライフルを撃ちミサイルを落とす。
そして光弾は、小さな六角形の形ををした小型電磁シールドが忙しく機体の中心から半径10mの球体を駆け、弾いた。
だがPSS(Point Shield System)とよばれるそれは、機体全体を護ることはできず、時に回避パターンを要求した。
「何故あたらない!」
最初の標的は艦隊の前方に配置をもっていたジェムズタウンであった。
PDSの射程内に入ったTran-DSは両手にある武器を撃ちはじめた。
正確にねらいをつけたそれはPDSのレンズを次々と割っていった。
この距離では戦艦の防御シールドも無駄であった。
だが無数の光線を正確にねらいをつけて撃ってくるPDSをすべてよけきる分けでもなく、一度か二度は命中する。
だが振動がTran-DSをゆらすぐらいで効果はまるでないようである。
-I believe you are pushing it a little-
「少し無理をしてるんじゃないか」というWileであったが、その忠告を完璧に無視をしてフェナは攻撃を続ける。
PSSにもかなり負担がかかりはじめる。
Tran-DSの間接部分とTVSもコンディショングリーンからイェローになった。
フェナは次から次へとパターンを入力してはキャンセルしてまた入力する。
その捜査の速さは常人ができるものではなかった。
Wileもできるだけサポートをしていた。
そしていきなりフェナはブリッジへと突っ込んだ。
PDSに一番厚く守られているはずのところへだ。
突っ込む際に左手のレーザーライフルは左膝のハードポイントに収められ、次に左腰のハードポイントに設置されていたプラズマソードがかまえられる。
その先端はブリッジに深々と刺さられるが動きが一瞬とまった。
PDSがねらいをおさめて撃つには一秒も必要ない。
しかし、PDSが撃った瞬間、フェナはTran-DSに急上昇をかけた。
発射されたものはその直後プラズマソードで破壊されたブリッジにとどめをさした。
爆発が広がり、やがて戦艦がまた一隻宇宙の藻くずとなった。
-At this rate there isn't going to be anything left for the grand finale-
『最後のうちあげの頃にはなにも残らないぞ』と言うWileの発言を再び無視し、フェナはまるで何かに取り付かれたかのようにもう一隻にしかける。
PDSが再び撃ちはじめたが再びよけながら攻撃をかける。
その動きは、自分を追う獣の手をよけるバッタかのようであった。
「何故そんなにうごける?!」
『Thrust Vectoringだよ』
格納庫にいる男が答える
「なんですかそれは」
『推力をあらゆる方向に変えてスラスターよりも機動性をあげるシステムだ、われわれも研究していたのだがね、どうやらあちらさんは完成させることができたようだ。まあそのためにわたしはここにきたのだが』
「・・・・・・・・・」
『しかし、あれに乗ってるのは、人間じゃないな、普通の者があの動きで生じるGを耐えられないだろう、奴等めどうやら・・・』
男の言葉はそこで途切れた、船体が大きくゆれたからであった。
『コナ大佐、貴方は生き残ってるTAを集めてエルファに帰還しろ、どうやらあれをとめられるのは私だけらしい』
「はい!し、しかし貴方様どうなさられるんですか?」
『なんとかなるさ』
残ってるTAに帰還命令がおくられた。
Tran−DSから逃げようと必死の彼らも急いで帰還しようとしたが、
「艦長!リキュールとの距離が!」
リキュールがいつのまにか残ってる艦との距離を詰めていた。
ブリッジの窓からその船体のダメージが見える。
PDSもほぼ沈黙していたが、残っていたものは、帰還しようとするTAを落としていった。
おそらく、Tran-DSに気をとられた時に接近してなのであろうが、なぜだ?
その時コナ大佐の脳裏で最悪の事態が浮かび上がった。
−まさか?!−
「艦長!リキュールの反応炉がオーバーロードしてます!!」
「全艦急速離脱!リキュールから離れろ!あれは自爆する!」
命令に従い残ってる船・・といってもエクセルシーク意外にニ隻のみだったが、急速反転をかけはじめた。
エクセルシークも同じように反転、ゆっくりと近付いて来るリキュールから離れようとする。
しかし蒼い機体がそれを許さなかった。
彼らの前にレールガンを再び肩につけて、火を吹く。
「ジャンプゲートを早くあけろ!」
「だめです!Tran-DSが邪魔で・・・・・」
船体がまた激しくゆれた。
しかし、今のがそのレールガンから発射される最後の一発となった。
なぜなら、その一発をはなった直後、レールガンは何者かに切断されたのである。
Tran-DSは、次の瞬間急上昇をかけ、使い物にならなくなったレールガン格納所を背中のハードポイントより解除した。
赤い陰がTran-DSを追う、右手のガトリング砲を撃つ。
しかしなぜか効果はなく陰は容赦無くTran-DSを追う。
「Wile時間は?!」
-30 seconds-
「く!」
逃げられる!そう思った瞬間Tran-DSに大きな衝撃があたえられ、吹き飛ばされた。
アラームが一斉に発生。
スラスターをうまく扱いバランスをとった。
予測してなかったもので、フェナもちょっと頭をふる。
顔を上げた時、Tran-DSの目を通して見たものは、大きな死神の鎌を構え、その目を深い緑に光らせてる真紅のTAだった。
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