冬になると、屋外に駐車してある車は、エンジンが始動しにくくなる。ましてや、ウチの Uno は、夏でも朝一番の起動には、10回ほどセルのオンオフを繰り返さないとエンジンが回らない車である。冬に備えて暖房装置を備えた駐車場を予約する必要があった。アパートの管理会社にサウナの予約に行った際に紹介されたのが、地下駐車場である。この駐車場、入り口は常時シャッターが降りていて、散歩の際に「これ何だろうね」と、家族共々不思議に思っていた施設であった。賃貸料は、月120マルッカ(3000円)だから、地価の高い日本の水準からすると割安間がある。
(トンネル) (地下駐車場) (歩行者入口)
駐車場は地下8階(ヘルバンタのスイミングホールと同様、核シェルターとしての使用を考慮して、このような地下深くに作った施設なのではないのだろうか。普段はエレベーターを使うが、ら螺旋の様に交差する二つの階段は、緊急非難用に思える)、岩盤の中をくり抜いて作った施設で、岩肌に直接塗装をほどこしてあるところも、スイミングホールと同じである。シャッターの前で、管理会社からもらった磁気(だと思う)キーを装置にかざすと、閉まっていたシャッターが上がり始める。まるで、サンダーバード(知ってる人は若くない)の秘密基地、少しカッコいい(現在、我が家ではは、秘密基地と言えば、この駐車場を指している)。シャッターをくぐると長い下り坂のトンネルが続くが、たちまちフロントガラスが曇ってくる。外は吐く息が白くなるような寒さ(日本人の感覚では十分寒い)でも、中は上着のいらない春の温度である。当然、地上の駐車場のようなエンジン保温用のコンセントは姿も形も無い(この装置を使うことを密かに楽しみにしていたので、少々残念な気もする。地上の駐車場は、どこが管理しているのだろう)。
指定の場所に車を止めて、出口のエレベーターに向かう。ところが、厚い鉄の扉に阻まれてしまう。どこに鍵を当てるのだろうと考えていると、向こうから知り合いがやってきた。職場で廊下を挟んで向かい側に部屋を持つラッセさんである。彼なら英語が通じる。「この駐車場、使うのが初めてなので、出方が分からないのだが」と言うと、出口まで案内してくれた。エレベーターには1階(地上)と2階(地下)の表示しかないが、乗っている時間は長い。外に出ると、素子の保育園のすぐ北隣、今まで Uno を置いていた場所から100mと離れていない。