ナポリ(イタリア)旅行記

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3泊4日の日程で,ナポリを訪れた.

もともとの旅程では,早朝発の飛行機でフランクフルトからミュンヘンへ飛び(おかげで朝4時40分起き),そこでナポリ行きの飛行機に乗り継ぐ予定だったが,ルフトハンザ機の不調のためミュンヘンへ飛ぶことができず,いきなりの旅程変更とあいなった.ルフトハンザに提示された代替案は,エールフランス機でニース(フランス)へ飛び,そこでエアー・リトラールのナポリ行きに乗り継ぐというものだった.ちなみに,この旅程によるナポリ到着時刻の遅れは,2時間くらいだったので,この時点では,この変更は大した問題ではないと考えていた.新しい航空券を受け取り,エールフランスでニースへとんだ.ところが,ニースへ着くと,乗り継ぎ便が3時間遅れになっていて,空港で待たされることになった.随分時間があったので,ルフトハンザのカウンターで,ナポリからロンドンへ飛ぶ便の座席指定をするなどして時間をつぶすことにした.1時間ほどして,モニターを見てびっくり,まだまだ先のはずの搭乗が開始されていた.ゲートまでダッシュするが,ぎりぎりのところで,間に合わず,夜9時発の便に振り替えられてしまった.おかげでさらに6時間の待ち時間を抱えることになった.しょうがないので,ニースの海岸を散歩することにした.延々続く砂利浜を,足が棒になるまで歩いた.ドイツの涼しい気候になれている我々には,南国の日差しは少々強すぎて,空港へ戻って来たときには,汗だくで,くたくたになっていた.食事を済ませてゲートに行くと,飛行機はまたまた遅れていて,担当者に聞いても,いつ飛べるか分からないと言われた.何でも,この日は隣町(モナコ)でF1グランプリの決勝が行われていて,大量の臨時便のために空の交通が完全に麻痺していたらしい.結局ニースを飛び立ったときには夜11時を回っていた.

おかげでナポリ到着は深夜1時になっていた.そのため,予約していたレンタカーを借り出すことができなくなった.レンタカー会社のカウンターの前をうろうろしていると,すぐに,4,5人のタクシードライバーに囲まれた.イタリア語でまくし立てられ,少し緊張感が漂った.彼らは,我々のホテルまで,10万リラで連れていくと言っていた.彼らは,日曜の深夜で,この値段はお得だと主張していた.イタリアのタクシーの料金体系が分からない我々には,それが高いのか安いのか見当が付かない.とりあえず,ホテルに電話して,タクシー料金のことを聞いてみた.すると,その料金がかなり割安だと言うことが分かった.結局,そのタクシーに乗ることにした.ホテルまでは,延々真っ暗な道が続いた.高速道路に乗ったり降りたりを繰り返し,途中いくつかの街を通り過ぎた.後で分かったことには,これが料金所を通らずに目的地に到着するテクだったようだ.何とも物騒な雰囲気だった.料金が格安だったこともあり,本当にホテルに連れていって貰えるのかかなり不安になった.しかし,そうこうするうちに,40分が過ぎ,何とか宿泊予定のホテルに到着することができた.もう深夜2時になっていた.部屋にはいると,翌日のことを考えるまもなく,すぐに寝入ってしまった.ようやく長い1日が終わった.

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ニースの海岸
ポンペイ遺跡

2日目は朝から,レンタカーを借りてドライブに出かけた.エイビスレンタカーからもらった地図を頼りに,ポンペイを目指すが,ホテルを出てすぐに道に迷った.まあ,もらった地図がイタリア全国地図だったので,少し無理があったようだ.それでも,なんとか,高速道路(アウトストラーダ)を通って,1時間ほどでポンペイへ着いた.途中,イタリアの交通マナーの悪さにはびっくりさせられた.車線を守らないし,スピード違反もへっちゃらといった感じだ.

ポンペイで駐車場を探していると,調子のいい,呼び込みのおっさが出てきて,ここがポンペイ遺跡に一番近くて,しかも一日たった1万リラとか言って来た.半信半疑ながらも,他にどうすることもできないので,そこに車を預けることにした.ポンペイ遺跡とは,1900年前のヴェスビオ火山の大噴火で,一瞬のうちに灰に閉ざされてしまった街を掘り返したもので,紀元前の街が,その当時の雰囲気のまま残されている所だ.街は,紀元前のものとは思えないほど,しっかり形が残っていて,大変驚かされた.祭壇や,かなり立派な公衆浴場,パン屋,野外劇場などからは,当時の生活レベルの高さをうかがい知ることができた.豪商の家のフレスコ画などは,とても綺麗に残っていて,特に印象に残った.遺跡の観光を終えて,車を無事に取り戻し,次の目的地であるアマルフィへ向かった.この辺りは,断崖絶壁の海岸線が続き,風光明媚なことで知られている.小さな街がぽつぽつあるのだが,急な斜面に,びっしりと家が建ち並んでいる様には,とても驚かされた.何もこんな所に住まなくても良いのになどと,要らぬ心配までしてしまった.この海岸線を運転してるときに,再び,イタリアの交通マナーの悪さには,閉口させられた.併走するスクーターやワインディングロードで無茶な追い越しをする車など・・・.こんな所に住んでいたら,命がいくつあっても足らないんじゃないのかと思った.アマルフィのそばで少し休憩した後,次は,ソレントへ向かった.

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アマルフィ海岸のパノラマ
ソレントの裏路地

ソレントは,イタリアでも有数のリゾート地で,郊外には,立派なお屋敷がたくさん建っていた.ナポリ郊外の物騒な町並みとは,対照的な所だ.ここでは,簡単な買い物(お目当てはワイン・オリーブオイル・バルサミコ酢)を済ませた後,街を観光した.路地裏に,少し危なそうだが,おしゃれな雰囲気が漂うエリアを見つけ,その辺りをうろうろしながら,夕食を食べるためのレストランを探した.いろいろ迷いながら入ったレストランは,どうやらアメリカからの観光客に有名なレストランのようだった.そこで,魚介のパスタ,カルパッチョ,ピッツァ・カプリチョーザを食べた.どれもとても美味しく,ハッピーな気分になれた.9時過ぎにソレントを出て,ナポリ郊外のホテルへ帰りついたらもう11時半になっていた.

3日目は,朝8時にホテルから出るシャトルバスで,メルジェリーナ港へ行き,カプリ島に渡る予定を立てていた.しかし,連日のハードスケジュールからくる疲れなのか,朝起きがままならず,バスに乗り遅れた.レンタカーで,港へ向かうが,ナポリ市内の道がよく分からず,迷いながら,港を目指した.何とか港には辿り着いたが,車をどこへ止めて良いのか分からず,港の周りでうろうろする羽目になった.レンタカー会社の人には,絶対路上駐車はするなと言われ,ホテルの人にも,有料の駐車場以外はかなり危険だと言われていたので,しっかりしたパーキングを探すも,路上でチケットを買って止めるところ以外は見あたらず,途方に暮れてしまった.言葉の通じる人に会えず,ぐるぐる何度も同じ所を回る羽目になってしまった.最後に,バール(喫茶店のようなもの)の中で,片言の英語をしゃべれる人を見つけて,その人に,比較的安全に駐車できそうな所を教えてもらい,ようやく車を止めることができた.

手間取ったが,何とか水中翼船に乗り込み,40分ほどでカプリ島のマリーナ・グランデに到着した.港に着いたら,一目散に青の洞窟へ向かうボートに飛び乗った.青の洞窟を見るには,午前中が良いと聞いていたので,焦っていたが,何とか昼前には,洞窟へ辿り着いた.洞窟の入り口で,手こぎのボートに乗り換え,いざ洞窟へ入っていった.船底にべったり座っていても頭を打ちそうなくらい小さな穴を抜けると,そこには青の世界が広がっていた.不思議に光る水の青さは,この世のものとは思えなかった.その青く光る水の上で,船頭の歌うカンツォーネを聴きながら,少し夢見心地なった.ゆっくりを洞窟の中を2周して,洞窟を後にした.船頭には1万リラのチップを要求された.随分ぼったくられているのは分かっていたが,それを許してしまうぐらい感激する青だった.

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青の洞窟
カプリの
見晴らし台から
アナカプリから
マリーナグランデを
見下ろす

モーターボートで港に戻り,ケーブルカーに乗って,カプリの街へ向かう.とても小さな街が,観光客でごった返していていた.街のはずれに,展望台があり,そこから見下ろす海もまたとても綺麗だった.次に,バスに乗って,絶壁を登って,アナカプリの街へ行った.山頂へ向かうリフトがあるのだが,運行されていなかった.しばし,街のはずれの絶壁から,カプリの街を見下ろして,帰路へ着く.サンタルチア港へ帰って,ご飯を食べようかと思ったが,歩いてみてもめぼしいものが見つからなかった.と言うことで,ホテルに帰って,食事を済ませた.

翌朝は,飛行機の出発時刻まで時間があったので,久しぶりにゆっくり朝食を取って,支度をしてホテルを出る.このとき,手持ちのリラをすべてホテルの支払いに充ててしまったため,高速道路を避けて走らないといけなくなった.ホテルのくれたいい加減な地図とエイビスのくれたイタリア全国地図は,今回も役に立たず,勘を頼りに空港へ向かった.空港には何とかたどり着いたが,ルフトハンザにチェックイン後にトラブルが発生した.レンタカーの鍵を無くしてしまって,車を返却できなくなった.さんざん探し回っても見つからず,警察へ紛失証明書をもらいに行った.それをエイビスに渡したところで,飛行機の出発時刻になっていた.どうなるのかよく分からなかったが,とにかく飛行機に飛び乗り,ナポリを後にした.ミュンヘンを経由して,ロンドンへ向かった.



ロンドン旅行記へ続く!




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