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日米所得税比較

2003年からこのページの今後の更新は次のサイトで行うことにいたしました。よろしくお願いいたします。
http://decatur.hp.infoseek.co.jp/taxcomp.htm

「日本では妻がパートに出ても収入が103万円を超えると配偶者控除額が減るために実質的には収入が増えない仕組みになっていて、女性の社会進出を税制が妨げている」という議論がある。また、諸外国に比べて課税最低限が高すぎ、税金を払っていない人が多すぎるともいわれる。果たしてそうだろうか、アメリカと比較してみた。
実効税率の比較

日本の税率は特に単身者が低くなっている

実効税率とは税額を収入で除したものである。日本政府が2001年9月に発行した「税の話をしよう」というパンフレットにも同じようなグラフがあるが単身者の実効税率が書かれていない。アメリカでは結婚した妻が退職すると合算課税(夫婦が均等に収入を得たものとして計算する。二分二乗方式ともいう)のために夫にかかる所得税はかなり減少する(図の太線と細線のちがいと思っていただいてよい)。実際には働いている婦人が多いようだが、子育てのために一時退職することを税制が推奨しているということもできる。日本も少子化がいわれているのだから子育て推奨税制を考えるべきかもしれない。こういう点から考えると配偶者控除を減らすなどというのはニーズに逆行しているともいえる。

日本では給与所得控除というのがあり、給与所得は給与収入よりもかなり低くなる。給与所得控除額が多すぎるという意見もあるようだが、中小企業の社長も自分と家族に給与を支払ったことにして給与所得控除を受け会社の所得を小さくして節税しているわけであり、決してサラリーマンだけが恩恵に浴しているわけではない。日本では赤字法人が多いといわれるが家族従業員に払う給与を高くしてわざと赤字にしている企業も多いのである。


1ドル160円で比較してもまだ日本の税率は低い

物価レベルを反映した為替レートを使うと結果はかなり異なってくる。それでもやはり低所得層では日本のほうが税率は低い。日本では定率減税(所得税は20%減で最高25万円、住民税は15%で最高4万円)が行われているがその分だけアメリカよりも税率が低いように見える。

所得税・住民税以外にも消費税があるし、社会保険料も違うので一概に比較は難しい。また、日本では退職金は分離課税になっていて税率が低いし、通勤交通費や安い社宅の提供などが非課税になっているという点も見逃せない。

妻の収入で税額はどう変わるか

パート収入が増えると税額が急に増えるということはない

パート収入が103万円を超えると税額が急に増えると聞いていたがそういうことはないようだ。実はその急変を避ける目的のために配偶者特別控除が設けられたのである。実際には夫の会社の家族手当とか、健康保険などで扶養家族になれなくなるというのが問題ではないのだろうか。

日本の所得税との違い


当然のことだが日米の所得税はかなり異なる。比較をすること自体あまり意味はないようにも思われるが、それでも比較をすると何かおもしろいことがわかるかもしれない。最高税率は1999年の恒久的減税を反映してある。
項目 米国連邦所得税 日本の所得税
自国民・永住権保持者への課税 全世界どこに住んでいても全所得に課税居住者のみに課税
確定申告 ほぼ全員必要特殊なケースのみ
最高限界税率 39.6%37%
地方税を含めた最高限界税率(米国はアラバマ州) 42.5%50%
夫婦合算課税 ありなし
配偶者の所得が増えると配偶者控除が減少? 減少しない減少する
所得のないものと結婚すると税額は? かなり減少(合算課税) 少し減少(配偶者控除)
同程度の所得のあるもの同士が結婚すると税額は? 増える変わらない
給与所得控除 なしあり
項目別控除(Itemized deduction) あり 給与所得控除が大きく
実質的にはない
社会保険料控除 なしあり
生命・損害保険料控除 なしあり
住宅ローン控除 ありあり
固定資産税控除 ありなし
介護費用控除 ありなし
引っ越し費用控除 ありなし
離婚した相手への支払い額控除 ありなし
利子配当課税 総合課税源泉分離課税
生命保険満期返戻金 総合課税一時所得となり、半分以上控除できる
退職金課税 総合課税(低率)分離課税
当局のホームページ 詳細な資料がある「あらまし」のみ

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