実はつい先日から私、アダルトスクールに通い始めた。
アダルトスクール...ちょっと怪しげな響き(?)であるが、アダルトという名の通り「大人」が学ぶためのスクールである。アダルトスクールは、それぞれのカウンティーによって運営されていて、その地域の住民であれば、国籍には関係なく誰でも通うことができる。
普通、いわゆる大学や短大に通うためには、まずハイスクールを卒業していなくてはならない。そして、その州に1年以上住んでいなければ、たとえアメリカ人であっても、レジデント(住民)とはみなされないため、レジデントとみなされるまでの1年間は、外国人留学生と同じ高い授業料を払わなくてはならないのだ(これは、State taxと呼ばれる税金との兼ね合いなのだそうだ)が、アダルトスクールにはそういった制限はない。さらに、授業料はアメリカ人であってもそうでなくても、まったく同じ金額である。つまり、アダルトスクールは、より多くの人達に開かれているところなのである。
でも、だからといって、1年を通していつでもアダルトスクールに通い始められるわけではない。一応、「学期」というものが存在する。各学期は約5ヵ月で、サマーコースはないため、9月初旬から1月初旬までと、1月末から6月初旬までの2学期しかない。大学や短大と大きく違うのは、授業を受けて、例えそのクラスを終えても、もらえるものは「終了証」のみで、「単位」を取得することはできないという点である。が、あなどれないのだ。5ヵ月の間にはしっかりテストもあるし、成績もつけられてしまうのである。
このスクールで学べるフィールドは実にさまざまである。コンピューターのクラス、外国人を対象にした英語のクラス、スペイン語やフランス語などの外国語のクラス、医療関係のクラス....と、かなり充実している。他にも、ハイスクールを中退した人達のためのクラスもあるし、就職に備えた実用的なさまざまなコース、例えばタイピングのスピードアップのためのクラスや、スクールバスのドライバーになるためのクラスなんかも用意されている。
また、カウンティーによって運営されているだけあって、アダルトスクールはいわゆる地域のカルチャーセンター的役割も担っている。勉強するというより、趣味に近いクラス、つまりお料理や手芸、お習字、水泳、エアロビといったクラスもちゃんとある。さらに、お年寄りでも気軽に通えるようにと、多くのクラスには「アダルト」と「シニア」の2クラスが設けられている。
授業は、地域のハイスクールの教室を間借りする形で行われるため、実際に通うのはハイスクールということになる。1つのカウンティーには4〜6つのハイスクールがあるから、自分で通う場所と時間を自由に選ぶことができる。ま、クラスによっては、1つの場所でしか開講されないものもあったりするから、そうするとちょっと遠いハイスクールまで通わなくてはならなかったりする。ほとんどのクラスは、週に1回。中には週に2回のクラスもある。授業の始まる時間は、受講するクラスによってまちまちだが、だいたい夜6時過ぎから始まり、約3時間続く。従って、仕事帰りの人でも十分通えるようになっているのだ。
....と、まあ、今住んでいるカウンティーが、こうして国籍も問わず、誰でもが学べる場所を身近に提供してくれているんだから、ありがたく通わせていただきましょーってなわけで、私はアダルトスクールに通うことにした。
かつて、学生という身分で、いつでも勉強できる環境にいたころは、『あー、早く卒業して働きたーい。』なんて思っていたのに、いざ仕事をはじめてしばらく経つと、今度は自分の無知さを知り、『やーん、もっとちゃんと勉強しておくんだったぁ....。』としみじみ思ったのは、きっと私一人ではないはず。後で勉強したいと思っても、なかなか時間がとれなかったりするものである。だから、学生さんたちー、勉強できる今、一生懸命勉強しておくんですよぉー。
さて。「通う」とは言っても、私の受講するクラスは2つ。それぞれ別の曜日に、別のハイスクールにて授業が行われる。どちらも夜6時過ぎから、3時間のクラスである。各クラス、15〜20人ほどのクラスなのだが、「アダルトスクール」というだけあって、年齢の幅はかなり広い。しかも、みんなやる気満々である。1日の仕事を終えてから、夜間のクラスに通ってくるくらいだから、かなりやる気があるに違いない。以前、私も仕事をしながら、翻訳の通信講座に挑戦したものの、見事にリタイアしたから大変なのはよく分かる。まあ、これは通信講座だったから、スクールに通う必要はなかったのだけど、フルタイムで仕事したあとに勉強するというのは、結構きついものである。喝を入れてテキストを開いたわりには、気がついたら辞書を片手に、キッチンテーブルの上でグースカ眠っていたなんて、しばしばだったもんなぁ....。そう考えると、今、勉強できる時間がたっぷりある私は、実はとっても恵まれているのかもしれない。
そんなわけで、6月あたままで続くこのクラス、chumpkinも久しぶりにちょっと真面目に勉強してみようと思っている。