アメリカ人のダーリンと結婚して4年、ついにアメリカに引っ越すことになった。それまで日本で生活していた私達だったが、これからの2人の事をいろいろと考えた結果、子供もいない今のうちにダーリンの国へ生活の基盤を移した方が良いだろうということになったのだ。
昨年4月、結婚後、初めて2人そろって10日ほどサンディエゴに里帰りした際、LAの入国管理局のおじさまに『将来、アメリカに住むつもりなら、グリーンカードの手続きを早く始めたほうがいいよ。最近は、取得するのに1年はかかるらしいから。』と、言われたこともあって、帰国後さっそく(と言っても、もう8月になっていたが...)在日アメリカ大使館に問い合わせ、書類を取り寄せたのだった。
国際結婚には、何かにつけて書類の山がついてまわる。そのことには我ながら慣れているつもりでいたのだが、このグリーンカード申請のための分厚い書類にはやはり驚いた。
まず、最初の書類は『わたし』という人間が実際に存在することを証明する書類である。この書類が受理されて、初めてグリーンカードを申請する手続きにコマを進めることができるのだ。まあ、他の国に永住するためのビザをもらおうとしているのだから、複雑な書類がどっさり送られてくるのは、当然のことでもある。早く手を打っておいてよかった...。幸いにも、引っ越しは1年近くも先を予定していたし、又、私たちは共働き夫婦だったので、のらりくらりとのんびり書類を整えていった。
市役所、警察署、大使館の指定する病院などなど、書類も山ほどあったが、添付して提出する書類を取得するのに出向いて行く場所も様々。そして、行く先々でお尻に根が生えるほど待たされ、手数料なるものをボッタクラレるのだ。一番うんざりしたのが、大使館の指定する病院にておこなった健康診断。要予約で、x線、そしてHIV(エイズ)の検査も含んだものだったが、いわゆる普通の健康診断。朝9:00に都内の病院に到着。検査は、1時間程で終わったが、それからが長いのなんの。なんと結果が出たのは夕方4:30すぎで、たくさんの人でごった返していた広い待合室にいたのは、取り残されたようにぽつんと座っていた(座っていたように見えたかどうかは別として)わたしとダーリンの2人だけだった。診断料として20、000円取られたが、肝心の結果を本人は知ることができなかった。なぜなら、結果票の入った封筒はしっかりと閉じられ、『アメリカ入国管理官のみ開封できる』というゴム印が押されていたからだ。家に戻って、光に透かしてみたけれど封筒が分厚くて解読不可能だった...。
こうして9ヵ月後(本当にのらりくらりだった...)の今年4月、無事に大使館に出頭する日を迎えた。
私達は千葉県成田市に住んでいた為、虎ノ門にある大使館に出かけて行くのは生易しいものではなかった(しかも、大使館には9:00には着いていなくてはならなかった)が、先日の病院での経験から『時間がかかってもしょうがない。グリーンカードのためだ。』と言い聞かせて、朝5:30に起床。6:30過ぎの電車に飛び乗り(もちろん電車では爆睡して)、ラッシュアワーの人波をかきわけ、やっとアメリカ大使館に到着した。
大使館にはすでにたくさんの国際結婚カップルがいて、何だかほっとした。世の中、こんなにたくさんの国際結婚カップルがいるんだって。そして妙な連帯感みたいなものがあった。そう、ここにいるみんなのゴールはただ1つ、『永住権=グリーンカード』をもらうこと。3時間の旅の疲れがにじみ出ていた私も『みんながんばってるんだぁー』と、がぜん元気が出できた。
さて。なぜか、出頭時間は指定されていたにもかかわらず、書類の提出は到着順。銀行と同じ要領で番号札を取ってから、順番が来るを40分も待ってやっと書類を提出した後、再びお尻に根が生えるほど待たされ、11:00を過ぎてやっと名前を呼ばれた。幸い書類の準備の段階でもそうだったが、ここでも何の問題もなく(今思えば、とてもラッキーだったと思う。大変だったというお話し、よく聞きますから)、ビザは3:00ごろにはおりるから、それまでどこかで時間つぶしてくるよう言われた。面接があると思っていた私達は、『えっ、これで終わり〜?!』とちょっと拍子ぬけ。それに、これから4時間も何するぅ〜と言いながら霧雨の降る都内へ繰り出した。当日、大使館にくるために大変な早起きをした私達は、疲れた体にムチ打って新宿や銀座をさまよい歩き時間を潰したのだった...。
3:00すぎに大使館に戻り、晴れて仮のビザである書類の束を渡され、喜んだのも束の間。そそくさと帰路の途に着いた私達が、帰りの電車の中でももちろん爆睡したのは言うまでもない。
それからおよそ2ヵ月後の7月7日、七夕の日に願をかけて、私達はここサンディエゴに引っ越してきた。渡米前は、引っ越し準備、退職、そして引っ越し(広島の私の実家で渡米前の1週間を過ごしたので、あちこち移動してばかりだった)と、忙しい日々が続いたため、これからはずぅーとアメリカに住むんだ、という実感があまりなかったが、LAでパスポートにテンポラリーのビザを押してもらった時には、さすがに『ついに来ちゃったなぁ〜。』と実感した。2ヵ月以内には正規のグリーンカード(でもピンク色らしい...)が送られてくるとのこと。
これからどんな生活がはじまるのか...期待と不安の入り混じった気持ち。でも、何があっても今までと同じようにダーリンと2人でがんばっていこう。ダーリン、これからもよろしくね。