なつかしのローマ・パリ

みなさん、先月のサンクスギビングはいかが過ごされましたか? 私たちも例にもれず、実家にて死ぬほどターキーをいただいて無事(?)に終了しました。今年はお料理のお手伝いをするかわりに、当日、ターキーのほかにテーブルにどんなもの並ぶのかをよーく見ておくようにとママに言われてたため、前日ものんびり過ごしてしまった....。来年は、がんばってママとターキーを焼く予定。えいえいおーっ。

いよいよ12月に入り、街は右を見ても左を見てもクリスマスカラー一色。クリスマスショッピングなるものも始めなきゃなりません。うわー、なんだか楽しーなぁ。そうそう、わが家にも天井まで届きそうな大きなクリスマスツリーが登場いたしましたぁー!! あ、でもこれ、実家から拝借してきたものなのです....。というのも、今年、パパとママは出身地であるカンザス州でクリスマスを過ごすことになっていて(私たち2人は残念ながら仕事があるのでお留守番。貧乏ヒマなしってとこです...)、特にお家の中にツリーを飾るつもりはないから、アパートに持っていけばいいわよと言われ、ありがたく借りてきたというわけ。んー、やっぱりいいもんですねー。ツリーを飾っただけで、ほんと雰囲気が出るもんです。かなりイケテます。

さて、このクリスマスシーズンが来ると思い出してしまうのが、去年、会社の海外研修旅行で初めて行ったローマ・パリである。私にとっては初のヨーロッパ。さらに「研修旅行」といえど、それは名ばかりのもの。私にとっては待ちに待った旅行でもあった。仕事上でどんな辛いことがあっても、この研修旅行に行くまではぜったい会社を辞めてやんない!と思ったものである。

一方、この話を聞いていたダーリンは当然ながらおもしろくない。仕事をしていた頃の私は、泊りがけで出かける出張が多かったので、家をあけることがよくあった。ほとんどは、毎年会社が行う研修合宿のヘルパーとして出かけるものだったが、中には、その年の社員旅行先の下見(泊りの出張)とか、新たに増やす予定の会社の福利厚生施設の下見(これは温泉旅館で、またしても泊りの出張だった...)なんていうオイシイものもあった。そういうのも知っていたから、ダーリンはさらにおもしろくないのである。『ボクなんて、社員旅行だってないのに、今回は海外に、しかも10日間だってぇ?それにしても 海外へ行けるなんていいなー、いいなー....。』ってなわけで、ダーリンのゴネようはかなりのものであった。

『ボクも一緒に行くー! おんなじ飛行機に乗って、一緒に行くー、ローマとパリ!!』

『ええー?なに言ってんのよー。ダメだよー、そんなの。これでもいちお、会社の「研修」なんだから。一緒には行けないの!』と、急に「研修」と強調してみたりもして。

『ん?じゃ、なに?ボクは10日間、一人さびしく暮らしてなくちゃいけないわけ?』

『もー、何が一人さびしくよー。いい年してぇ、まったく。』

で、もめてもめた末、私のいない間はサンディエゴに里帰りすることで決着したのであった...。

私が入社した年は、うちの会社が新卒を大量採用した最後の年で、同期はざっと数えただけでも200人ちかくはいた。入社して4年が過ぎるころには、120人ほどに減っていたけれども(...これでもまだ多い)、2つの事業所に散らばるこの同期を4つのグループに分けて、11月初旬から順次、研修旅行に出かけて行ったのである。ちなみに私は、同じオフィスで背中合わせで仕事していた仲良しの同期、「ひーちゃん」こと「ひろみちゃん」と、最終のグループで出発した。メンバーがすべて同期ということで、気をつかう必要はまったくない上に、入社時の研修合宿以来、数年振りに顔をあわせた同期もいて、行きの飛行機の中からみんな絶好調! スイスで飛行機を乗り継いで、一行はローマ入りしたのでありました。

翌日からの3日間は、ヴァチカン博物館やコロッセオ、トレビの泉をはじめとするおなじみの名所にたくさん立ち寄った。私にとっては、初めてのヨーロッパだったのだが、あの荘厳な空気、歴史の重みを感じさせられる空気は実にすごいものである。アメリカの、特に西海岸で味わうノー天気な明るい空気とは一味も二味も違う。ながーい歴史の積み重ねからかもしだされるものなんでしょうね、きっと。なんか言葉ではうまく言えないけど。正直、むかし勉強した世界史をちょっぴり復習してくればよかったかなーなんて思ってしまいました。

さらにツアーに参加し、少し足をのばして、ローマからバスで2時間ほど南に下ったところにあるポンペイの遺跡へも訪れてみた。1日かけての観光ツアーである。当日は晴天に恵まれ、まるで遠足気分の私とひーちゃん。事実、おやつまで持参(笑)した。途中、ナポリの景色もながめることができた。あるローマ皇帝が「ナポリを見てから死ね」と絶賛したほどここの景色は素晴しいもので、まぶしい太陽と海の青さ、空の青さ、そしてこの地特有の白い建物とが見事にマッチしていた。

ポンペイの遺跡は、中学、高校時代、世界史が大好きだった私には非常に興味深いところでした!この遺跡、2000年ほど前に高度な技術とともに栄えた大きな町であったが(町にはすでに鉛で作られた水道管があったそうだ)、すぐ向こうにある火山が噴火。町は3日3晩降り続いたと言われる火山灰の下に埋もれてしまった。当時の住民のほとんどは硫黄ガスによる窒息死だったらしい。ただ幸運にも、火山灰の下に埋っていたために、当時の町の様子は驚くほどきれいに保存されていたということである。

ツアーガイドのメグミさん(とてもおしゃれな日本人で、かなりの美人でもあった)の案内で、ツアーは進んでゆく。遺跡はかなりの広さで、今でも発掘作業は完了していないとのことだった。町の中は、2000年も前でありながら、かなり整然と整備されている。道には石畳がきちんとひかれ、この上を馬車が走った。歩行者用の道は、この石畳よりも高い位置につくられ、区別されていた。

さて。当時の薬屋さんや、まじない師の家、お金持ちの豪邸の壁には、いわゆる壁画が施されていたらしいのだが、それら壁画も完全とまではいかなくても、かなりはっきりと当時のオリジナルの色で残っていた。ガイドのメグミさん、遺跡内で壁画を見かける度に、それらの意味するところを細かく説明してくれて、最後に『こちらの色、当時のままのオリジナルですっ。』と付け加える。2時間ちかい遺跡のツアーで、この『オリジナルですっ。』が何度も繰り返されたため、『こちらの色』とくれば、ツアーの参加者がみんなで『オリジナルです!』と答える、妙な合言葉のようになってしまっていた。

このツアーの間、私たちは2人して『ほぉー』とか『へー』とか、おやじくさいため息ばかりもらしていた。けっして退屈だったからではない。ツアーバスの運転手のジョルジョさんがバスをぶつけるハプニングもあったし、高速を走ってナポリに向かっている途中、エンジンが火を噴いて止まっているオンボロ車(ローマ辺りを走ってる車はとにかく汚いし、ボディーはボコボコ。なにせ車の盗難が多いところなので、車を買っても廃車になるまで1度も洗車しないなんて当り前。あと、狭い道路で路上駐車が公然と行われているので、ボディーもボコボコなんだとか...)とも擦れ違ったし。ため息ばかりもらしていたのは、とにかく歴史の重みのすごさに圧倒されていたからなのである。

新しいものと古いものが、不思議なかんじで同居する歴史と芸術の街ローマを離れ、次に乗り込んだのは花の都パリ。またまたひーちゃんとは、「オー、シャンゼリゼー、オー、シャンゼリーゼー...」(このフレーズしか知らなかった...)と鼻歌を延々歌いながらパリ入りした。ちょうどクリスマスシーズンとあって、シャンゼリゼ通りはライトアップされてすごいことになっていた。凱旋門からはるか向こうまで、まばゆいばかりのシャンゼリゼ通りには実におしゃれなお店がたくさん並んでいる。ローマとはまた違った雰囲気である。

さてさて。パリではエッフェル塔、ノートルダム寺院(ここのステンドグラスは素晴しかった!)、念願のベルサイユ宮殿などに足を運んだ。ベルサイユ宮殿への思い入れがことのほか強かったのは、大の宝塚ファンである私の妹の影響によるところが大きい。宝塚の「ベルサイユのばら」を何度一緒にビデオで見たことか...。ま、それはさておき、とにかくここは豪華絢爛きわまりない、ぜいたくな宮殿で、時代が時代だったとはいえ、私はちょーっと住みたいとは思わないところだった。ぜいたくを極めると、ぜいたくに見えなくなるのはどうしてなんだろう?と、ふと考えさせられてしまうところでもあった。

それから、パリ市内にも繰り出し、昔の芸術家や文化人が多く集ったといわれるカフェでお茶もした。寒かったせいもあって、ここで飲んだホットチョコレートの味は格別だった。今回のパリ滞在中は、時間的な問題もあったので、残念なことにルーブル美術館などには立ち寄らなかったが、ローマと同じで、なんでもない街角の景色や、どっしりした建物1つなんかから長い歴史を重ねている空気の重みみたいなものを感じることはできた。...ヨーロッパはなんだか面白いところである。

こうして夢のような10日間はあっという間に過ぎてゆき、同期一同、たくさんの思い出を胸に日本に帰ってきた。とくにこのクリスマスのシーズン、今でも目を閉じると、去年ひーちゃんと歩いたローマやパリの街を思い出すことができる。ローマの下町の雑貨屋さんに自転車をこぐサンタクロース飾られてたなー、パリのディズニーのお店にミッキー&ミニーのサンタもいたなぁって、1度しか行ったことがないくせに妙になつかしい気持ちになる。

今度ローマ・パリに行けるのはフルムーンの旅で、かなぁ?そのときは、ぜったいダーリンと訪れたいと思ってる。今度こそおんなじ飛行機で、二人で一緒に行くんだもんね!


Back


This page hosted by Get your own Free Home Page