ひょえ〜っ!

それはこないだの金曜日のことだった。

私たちビンボー夫婦には車が1台しかないので、私は、毎朝8時から仕事のダーリンを、車で10分の彼の職場まで送ってゆく。

さて。その日もいつものように7時40分をまわったころ、ダーリンとアパートを出てパーキングに向かった。『あーあ、今日は花の金曜日。今日がんばれば、週末だぁー。』あくびをしながらパーキングに向かう私の目に、突如飛び込んできたものがあった。それは、大きな大きな「消防車」、そして事件・事故現場に張りめぐらされるあの黄色いテープ & 警察の方々...。なにやら、ものものしい雰囲気である。

うぉー、一体何があったのだぁ?? ダーリンと顔を見合わせる。

パーキングをさらに進んでゆき、そして私たちが目にしたもの......。そ、それは真っ黒に焦げた車だった。パーキングにあったこと、そしてフレームが残っていたから、あれ、車だったんだと分かった。真っ黒に焦げていた車は実際には3台あって、中でもヒドかったのが、真ん中にあった車(らしきもの)だった。もー、まっくろけっけ。どうやら、この車が火元だったようだ。

『ねぇ、ちょっとぉ、あれって自然発火だったのかな?えっ、それとも放火だったとか??』びっくりして、眠気も一気に吹っ飛んだ私は、そんなこと分かりもしないダーリンに聞いちゃいましたよー。アメリカには、すんごオンボロ車も走っていたりするから、何かの拍子に止まっている車から自然発火しちゃった、なんてこともあるんじゃなかろうか....(そんなことナイ?)と思って。ダーリンは『いやぁ、何か事件じゃないかな。』と。きゃー、どうしましょー、事件だなんて!?しかも、私たちの車は、焼け焦げた車からはそう遠くないところに止めてあったのですぅ。(うちのアパートは、駐車するスペースが番号で決まっているのである。)すぐに自分たちの愛車を目で追う。ホッ、どうやら平気らしいよー。よかったぁー!

とりあえず、平静を装ってダーリンを送りとどけて帰ってきたけれども、頭はしっかりパニックしてました。自然発火?放火?って。それに、あれだけ見事に焼け焦げていて、よくガソリンに引火しなかったなぁって。トータル3台が炎に包まれて爆発しなかったのは、ほんとにラッキーだったのかもしれないって。でも、一体何があったのだろう....?

結局、コトの真相知ったのは、翌日、同じアパートに住むヴィンスとパーキングでばったり会って話を聞けたからなのである。ヴィンスは、私が以前勤めていたメール関係のお店での常連のお客さんだったこと、そして同じアパートに住んでいるということで、すっかり仲良くなったのであった。な、なんとヴィンスの車は、焼け焦げた3台の車の2台隣りに止めてあったのだ。彼の車は、お隣りの車(焼けた車のすぐ隣り)が盾になり、被害はまぬがれた。車は、無傷だった。

ヴィンスによれば、彼がガラスが割れる音を聞いて、目を覚ましたのが夜中の3時半ごろだったという。まるで銃が発砲されたような音だったって。心配で窓から覗いてみたら、なんとパーキングで車が燃えていたらしい。すでに、住人の誰かが通報していたようで、間もなく警察と消防隊が到着。ガラスが割れたのは、炎の温度がかなりの高温に達したためだったようだ。ヴィンスは、自分の車も燃えてしまうかもしれない!って思い、すぐに外に飛び出したのだそうだ。

『え、ってことは、木曜日の夜中3時半ごろのことだったの?』と私。

『そうだよ。そりゃもう大騒ぎだったんだから。消防車が到着したの聞こえなかった?』ヴィンスの答え。

『.........。』私。

.......何を隠そう、外でそんなことが起こっていたなんて、私たち夫婦はまったく知らず、平和にぐーすか眠っていたのでありました(^^;)。いやはや....。

で、この騒ぎのもとというのが、これがボーイフレンド、ガールフレンド関係のもつれで、彼氏が彼女の車に発火装置を仕掛けたことだったらしい。そう、いわゆる「放火」だったというわけ。

そして、ヴィンスの解説は続く....。『まったく、何を考えているんだかっ。それで結局、彼女の車以外にも被害を出してしまったんだよ。ま、発見が比較的早かったから消防隊も到着していて、ガソリンへの引火はなんとかまぬがれたみたいだけどね、それよりも怖かったのが、黒焦げの彼女の車の真向かいに止めてあるトラックがあるでしょ。(←とトラックを指差す)あのトラック、プロパンガスのタンクを積んでいるんだよ。もしも、あれに引火してたら、それこそ「くるま3台焼けましたー」じゃ済まなかったかもしれないんだから。ま、犯人は誰だか分かっているみたいだから、すぐ捕まると思うけど。』

なにーーーーっ、プロパンガスですってぇぇぇ!ひょえ〜〜っ。冗談じゃないぞ。一体、発火装置を仕掛けたという彼は、何を考えていたんでしょう!!そういう個人的な動機で、そんなものしかけるんじゃなーーい!ぷんぷんっ。

こちらにやってきて、ほんとに身近に起こった事件。やっぱりこわかった。だって、この手の事件からは、どうにもわが身を守りようがないもの。

いやー、それにしても、あの賑やかな消防車の到着にも目をさまさなかった私たち夫婦って、いったい....。


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