ママのお仕事

ダーリンの実家では、ダーリンのママが「デイケア」をしているため、毎日がホントにぎやかである。朝、早いときは7時すぎから、チビちゃんたちがそれぞれの親に連れられて続々とやってくる。従って実家に泊まると、子供たちの声で目を覚ますことになる。

「デイケア」とは、仕事を持つ母親が働いている間、母親の代わりに子供を預かってケアをすることで、ダーリンのママは自宅を開放してこの仕事をしている。ダーリンのママがこの仕事を始めたのは、ダーリンが2歳ごろのこと。なんでも、当時住んでいたお家の周りには、ダーリンと同じくらいの年の子供たちが女の子ばかりだったため、男の子とも遊ばせてあげたい!ということで始めたんだとか。もっとも、自分の子供が成長してしまっても、自宅でできる仕事だから、家族のためにいつでもお家にいてあげられるし、何よりも、子供が大好きなママだから選んだお仕事なのである。今では、25年近いキャリアを持つベテランで、「デイケア」の広告を出さなくても、クチコミで評判を聞いて子供を預けに来る母親があとをたたない。『もう歳も歳だし、そろそろリタイアしようかしら〜。』なんて言ってても、なかなかそうもいかないようである。

現在、ママのところには7人のおチビちゃんたちがいる。基本的にはプリスクールに通い始める前までの子供たちを預かるのだが、午後になると学校帰りにやってくる2人の小学生も加わって、しめて9人になる。こんなに簡単に「おチビちゃん7人」って言っても、10ヵ月の赤ちゃんから5歳のやんちゃ坊主まで、めちゃくちゃ手のかかるお年ごろの子供たちばかり。あっちではケンカが始まり、こっちでは自分でつまずいて転んで『イタイよーん!』と泣きじゃくり...。いやー、タフでなければつとまらない。子供好きの私でも、きっと2時間が限界じゃないでしょうか。

ダーリンのママのところのように、アメリカには子供を預かってくれる施設が数多くあり、料金もリーゾナブルなので、ワーキングマザーにとっては非常に働きやすい国である。日本で仕事をしていた時、私は総務課で働いていたのだが(「総務課」の名の通り、何でも屋さん。社員の勤怠管理、新入社員の受け入れをはじめ、社員に対するケア全般に関わっていた。当然、子供が生まれてからも仕事を続ける女性社員へのケアもしていた)、子持ちのセンパイ達のグチをよく耳にしたものである。『仕事は好きだから続けたい。でも、せっかくもらったお給料も子供を保育園に預けるお金になって消えていくの...。何のために働いてるんだか!お迎えの時間も過ぎるとマズイから大変よ〜。』 働く女性にとって、様々な制度ができつつあるけれども、実のところ日本はまだまだ....のようだ。

さて、こうして幼い時期から母親と離れて時間を過ごすおチビちゃんたちは、仲間と楽しくやってゆくためのルールやマナーを、早い時期から学んでゆく。ママのところでも、ルールを守れない子には「タイムアウト」というお仕置きが待っている。ソファーに座ったまま、誰とも話してはいけないし、誰とも遊べないのである。ママのお許しがでて、やっとみんなの輪の中に戻れるのだ。それでも、聞き分けのない年ごろ。数時間おきに、誰かしらソファーへと送り込まれている。他にも、仲間に暴言を吐いたりなんかしたら、辛〜いサルサをお口の中に入れられるというものもあるのだそうだ。

そんなこんなで、あっという間にお昼がきて、みんなでランチを食べ終わると、間もなくお昼寝の時間になる。みーんな、それぞれにダーリンのママが作ったお昼寝用の枕を手に2階へ向かう。これが、みんな違う枕なんだから笑ちゃう(^^)。実は、ママの趣味はクラフト作り(手作りのお人形など作ってます。カントリー調のものが多いかな)で、お家の中はクラフトでいっぱい。だから、残った布きれで子供たちの枕も作っているのだ。このお昼寝時間が、ママにとっては少しホッとできる時間。しばらく休んだら、お昼寝から起きた子供たちのためにクッキーやブラウニーを焼きはじめるのが日課である。ん〜、私、かなり歳くってるけど、なんか今からでもお世話になりたい気分...。枕も作ってくれるかなぁ...。ちょっと不安。

時計の針が4時を指すころ、仕事を終えた親達が順に子供を迎えにやってきはじめる。自分の母親の姿を見つけてかけ出してゆくチビちゃんたちの姿は、けっこう胸キュンものである。まるで映画の1シーンをスローモーションで見ているみたい...。チビちゃんたちも、母親抜きでそれなりにがんばって生きているのねー、なんてウルウルきてしまう。涙の(?)ご対面の後、一人一人の母親に、その日1日の出来事を伝えると、母親も安心した様子で帰ってゆく。6時を過ぎて、最後の子供が帰って行ってしまって、ママの1日はやっと終わるのである。

これが、ダーリンのママのお仕事。人の子でも我が子のように、時には叱って、時には抱きしめて、ながーい戦争のような毎日を過ごして25年。どうぞ、体に気を付けて、これからもがんばってね。たくさんの子供たちのために。そして、わが家にも待望の赤ちゃんが生まれた日には、どうぞよろしくお願いしまーす。


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