パコを訪ねて

『なんだかおとぎ話しに出てくるようなかわゆーいお家だねぇ!』

メキシコにあるパコのお家は、いわゆる新興住宅街の立ち並ぶ一角にあった。アメリカの住宅に比べると、こちらのお家は小さくてコンパクト。しかも、半年前に購入したという、新築2階建ての彼のお家は、外壁はピンクで、窓枠はブラウンという、なんだかお菓子でできたお家のようで、とてもカワイかった!

先月のメモリアルデーを含めた3連休、私たちはダーリンの友達のパコ(メキシコ人)を訪ねて、2泊3日でメキシコはメキシカリに出かけたのである。

ダーリンとパコがひょんなことで知り合ったのは、かれこれ10年も前のことだ。当時の2人は、お互いに英語もスペイン語も話せないのに、なぜか意気投合!(パコは少しずつ英語を勉強し、すっかりバイリンガルになった今ではアメリカで働いている。毎日、メキシコからアメリカへ仕事に出かけるのである) あっという間に親友になり、しばしば国境を超えてサンディエゴとメキシカリのそれぞれの家に遊びに出かけるまでになったのだが、しばらくしてダーリンはハイスクールを卒業。そして大学に進むためにオレゴンへ。パコは、兄弟のようにいつも一緒にいたダーリンがいないのはつまんないと、だんだんとサンディエゴに来ることもなくなってしまった....。

それでも、やはり何か縁があったのだと思う。いつも『アイツ、どうしているんだろう?』と思い出したころに、どちらかが電話や手紙で連絡を取るというのを繰り返し、お互いに何度も住所が変わったにもかかわらず、決して音信不通になるということはなかった。でも、2人が実際顔を合わせたのは7年前が最後だというから、再会するのは本当にしばらくぶりになる。

このメキシコ行きの2週間前、実はパコは7年ぶりにダーリンに会うために、サンディエゴまでやってきてくれた。もちろん、ダーリンだけでなく私に会うために。そして、パコの方もまた、去年の5月に結婚した6つ年下の奥さんを私たちに紹介するために、2時間かけて(2時間でメキシコ-アメリカ間をドライブできちゃうのも、やはりサンディエゴならでは、かな?)ここにやってきてくれたのである。この時に、『次は君たちがメキシカリに来なきゃ!メモリアルホリデーの3連休はどう?』というパコの一言で、今度は私たち2人がメキシカリにあるパコのお家を訪ねることになったのである。

コレキシコから国境を超えてメキシカリに到着したのは、お昼を少しまわったころだった。日差しは強く、さすがに暑かったぁー。私は、今までに2回メキシコに行ったことがあるのだけど、今回訪れたメキシカリは初めてで、しかもメキシコ人のお家に泊まりこんで、メキシコの人の日常生活を垣間見るのも初めて。パコは『メキシコは3回目なんだよね。でも、こうやってメキシコ人のお家にステイするのは初めてでしょ。今回は、観光地とは違うメキシコを見せてあげるから、楽しみにしておいて!』と言ってくれた。

さて。パコとパコの奥さんのクラウディアは、すごい美男美女カップル。お家には、去年結婚したときにスタジオで撮った写真が飾られている。これが、まー、すごいヤツ。最初見たときはこれ、ポスターかと思ったよっ。ポスターサイズにまで引き伸ばされた写真が、バーンってフレームに入ってるんだもん。パコは、自称「メキシコ版アンディ・ガルシア」。「自称」って、けっこう『ちょぉーっと違うんじゃないかぁ???』ってな人が多いけど、彼はほんとにアンディ・ガルシアに似ていて、ドキッとしちゃうような甘いマスクの持ち主なのですぅ。クラウディアも、まるで女優さんのように美しい女の子。これで24歳なんだから。クラウディアと並んだら、わたしゃ小学生ですよぉ、まったくぅ。彼女、実はプロのウェディングシンガーで、結婚披露宴で歌を歌うのが仕事。今回、お家を訪ねたとき、2人がまず私たちに見せてくれたのは、2人の結婚式&披露宴のビデオで、クラウディアは自分の披露宴でもしっかり3曲ほど歌ってました。んー、それにしても彼女のウェディングドレス姿には、ただただ惚れ惚れするばかりでした。はぁーーっ。

今回のメキシカリ滞在中には、パコは約束通り、地元の人が出かけるところにいろいろと連れて行ってくれた。実際、メキシカリには観光するところなんてなかったから、観光客はいなかったし、行く先々で見かけるホワイトはウチのダーリンくらいだったもんなー。私はと言うと、髪の色や肌の色のせいで、けっこういい感じでメキシコ人の中に紛れてました。まー、振り返ったら、顔だちはコテコテのジャパニーズなんですけどぉー。

そう、私たちはメキシコのクラブへも出かけたんです。日頃、夜10時には寝床に入るという(だって、うちのダーリンはいつも朝7時半から仕事で、毎朝7時過ぎには、私が会社まで送って行かなくちゃいけないんだもん!)、年寄りじみた生活をしている私たちには、眠くてたまらない時間帯だったのだけど、パコの案内で出かけることになった。

残念ながら、クラウディアはその日、ウェディングシンガーの仕事が入っていたため一緒には行けなかったけど、かわりにクラウディアの親友のグローセが一緒に行くことになった。話によると、メキシコでは若いカップルや若い夫婦が週末にクラブに出かけるのは、いたって普通らしく、パコ夫婦、グローセも例にもれず、毎週末クラブに出かけるらしかった。夜中も近いというのに、メキシカリのメインストリートは、クラブに出かける若者の乗った車で大渋滞!ひゃぁー。なんだか、カルチャーショックを受けてしまった。ここは日中がかなりの暑さになるから、こうして涼しくなった夜に、みんなのエネルギーは裂烈するんだわぁって思いました。眠い目をこすりながら出かけたクラブで、日頃のストレスを発散し、結局ここを後にしたのは夜中の3時すぎだった。

それからー。もう一つ、忘れられないのが、町中のタコショップで食べた本場のタコの味。小さな屋台風のお店は決してきれいとは言えなかったけど、タコは最高においしかった!4つも食べちゃいました! もう、こっちでTaco Bellのタコなんて食べれないよー。

ところで、私はスペイン語はまったく話せないのだけど、パコの奥さんのクラウディアもほとんど英語を話せなかったため、コミュニケートするのはなかなか大変でありました。でも、女の子同士、なんとかお話ししたい! で、お互いに身振り手ぶりでひたすら単語を並べ、たとえ時間はかかっても、お話しができるのはなんだか嬉しかった。メキシカリをあとにする日、別れ際には『私、もっとお話しできるように英語の練習をするからね。』とクラウディア。私も、『私だって、次に来るときにはちょっとスペイン語を勉強してくるね。』と。

ダーリンはもう何度も来ているそうだが、私にとって初めてのメキシカリは、パコ達のおかげでとても楽しい3日間になった。メキシコというと、すぐそこのティワナのように物売りの子供たちがいっぱいいたりして、あまり安全なところじゃないというイメージしかなかったのに、『こういうメキシコもあったんだ!』とひとつ教えてもらったような気がした。

パコ、クラウディア、グローセ、グローセのママ、滞在中はいろいろとありがとう。楽しかった。次に来るときは、少しスペイン語の勉強をしてくるので、どうぞ楽しみにしててくださいねー。


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